第11話 彼岸の境界線
生前、俺が情報屋として使っていた書店にバイトの青年がいた。
俺よりもチリチリパーマで養父になった店主兼友人も言った。
「その頭髪をどうにかしろ!」
「嫌です! これは祖母ちゃんが褒めてくれたヘアスタイルだから変えたくないんです!」
仲が良かったのか、悪かったのか。
友人の孫娘の『婿』になったバイト青年は皆から「婿殿」と呼ばれていた。
……はて、名前は何だっけ?
そんな、どうでもいい思い出を俺はしていた。
チリチリパーマの毛のほとんどは風で飛ばされる。
ニョダクの腕は確かで、丁寧だった。
「お前さん、上手いねぇ」
と褒めてみる。
「そりゃ、そうよ。だって、剃毛もするのよ……あなたのもしてあげましょうか?」
「俺は、そこまで歳を取ってねぇよ」
『剃毛』とは外科用語で毛を刈ることを指す。
主に陰部の毛を剃るときに使わえれる用語だ。
想像してみろ。
俺は恥ずかしくって銭湯に行けなくなる。
三十分後に俺は解放された。
残った毛を払う。
そういえば、五厘刈りなんて学生以来だ。
そのせいか、頭が涼しい。
……
それぐらい、見ていたんだろう?
気が付いたら、夕闇が空を覆っていた。
深い闇には星が輝きだす。
すると、海が不思議な現象を起こした。
海の中が小さな光、それこそ、赤や緑や青が発色する。
幻想的な風景だ。
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