第6話 究極最終戦争(アルティメット・ラグナロク)
クタニドの影の意味は、分かった。
「今日、こちらに伺ったのは主神ゼウスの使いとしてです」
小さく、ささやくように言うと彼女は俺の許しも得ず仕切り用のカーテンを周囲に引いた。
その言葉で大まかに事が分かったが、あえて素知らぬふりをする。
「……ゼウス? これまた、大掛かりな神様が出てきたな……」
「彼は、強硬派です。現在、反体制派の主要メンバーであるニャルラトホテプを半ば強引に吸収・合体したファウストを追っています」
そのファウストは彼女の元旦那だ。
だが、ファウストというのはとても強欲で研究熱心だったが故に新しき邪神ニャルラトホテプを自らの研究と秘儀、命もろとも同化させた。
これは文字通り万物に精通しないといけない究極の魔術と言っていい。
分身として幼体としてのクトゥ坊の友達のニャルは彼のダミーと言っていい。
「……なるほど、彼の身近にいたあなたが現場の指揮権を得たのですね?」
「そうなりますわ」
俺の皮肉に彼女も同じように笑う。
「ただ、ファウストの見たい未来への計画書を入手してみた時、ゼウスが激怒して……」
「俺がとばっちりを受けたと……」
わかっていたが、実際言われると笑うしかない。
人間の世界なら過失致傷罪で裁判沙汰だぞ。
「今、神や邪神、悪魔たちは非常に微妙なバランスの上に成り立っています。例えるのなら四方にピアノ線が貼られているようなものですわ」
「剣呑な話ですね。しかし、神や悪魔の激突はしょっちゅうじゃないですか? 聖書や日本書紀でも一族を皆殺しにしたりしたでしょ?」
その言葉に彼女は、クタニドは首を振った。
冷たい言葉で言った。
「今度ばかり起こる戦争は、そんなものではないです……我々、現場の人間は『
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