第3話 死んで生き返った
俺自身の意識が目を覚ます。
中央界は基本的に「死ぬ」ことはないが、天国だか地獄への強制送還はある。
周りを見ようと目を開けようとするが目が開かない。
読者諸氏も瞼を閉じたまま物を見ようとしてほしい。
光は認識できるが、周囲のものは分からない。
では、感覚はどうか?
これは若干の痛みがあるが他に不快感はない。
ただ、動かない。
手も開かない。
でも、周囲の音は分かる。
「くとぅ」
俺の意識の中にあるクトゥルフの幼体の分身が声をかけてきた。
「くとぅ、うとぅ!」
俺とクトゥルフの精神の一部は
『気が付いた』
『先生、先生!』
と言ったところか……
だとすれは、俺は病院か何か、施設にいるのだろうか?
「あら? 生き返ったの?」
遠くからスリッパで速足で歩く音がする。
声からして若いし、女性みたいだ。
「早いわねぇ……お爺ちゃんなのに回復力が高いのね」
様子を見たいが見えないのはもどかしい。
体も動かそうにも拘束されている。
無様にもがく。
「はいはい、拘束具と呪符を取るわね……少しまぶしいから目を閉じていて……」
声とともに体の自由を感じた。
目の包帯も取られる。
確かに、瞼を通しても明るい。
『生き返るってぇのはこんな感じなのかな?』
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