1シーズン 第二話 孤独な殺人者
「んー、やっぱり良いねぇ部活ってのは」
グラウンドで練習中の学生達を見ながら、新田がそう呟いた。すると背後から北山が合いの手を入れる。
「そうですね~。僕も昔は野球部に所属してたんですよ。毎日休み無く必死に汗水垂らしながら練習してました。あの日々が懐かしいです。あぁいう青春はもう二度と帰ってこないんですかね~?」
背後の北山に気付いたのか、新田が怪訝な表情を顔に張り付けながらゆっくり後ろを振り向く。
「君、何言ってんの?」
呆気にとられた北山が
「えっ?」
と聞き返すと、すかさず新田は
「僕が言いたいのは野球部じゃないよ。その奥だよ、奥。」
北山は手前で練習中の野球部の奥にいる学生達を凝視した。そこにいたのは陸上のユニフォームを着た小麦色の肌が目立つ女子部員がいた。
「えっ、あの女の子ですか!?」
「やっぱり青春は良いなぁ~」
慌てて北山は新田の言動を指摘した。
「いや、ダメですよ新田さん!女子学生をそんないやらしい目で見ちゃ」
「ち、ち違うよ~、何言ってんだよ君!
バ、バカじゃないの?(笑)
僕はね、体力がないけど彼女は長距離を同じペースで走り続けられる体力があって良いなっていう。そういう話をしてたんだよ。」
「本当ですか~?」
北山は新田に疑いの目を向けたまま、そう言った。
「そ、そうだよ!で、あの~考えてみたんだけどね。被害者に恋人いたじゃない?えーっと百美さんだっけ?彼女のことがねちょっと気になるからね。話せるときでいいからさ予定取り付けてくれない?」
北山はまたも呆気にとられた表情になり、
「確かに被害者には彼女がいましたが、どうして名前まで分かったんですか?」
「デスクの上のカレンダー、二十三日の欄に赤文字で『百美 誕生日 プレゼント』って書いてあったのを見てね。それで思ったんだよ。
あ、きっとこの人[百美さん]って人と付き合ってるんだなって。まぁ、彼女も忙しいから時間に余裕のある日でいいよ。」
北山は言った。
「それなら普通科職員室にいますよ。」
「ん?」
「被害者、職場恋愛してたんですよ。英語科の山口百美先生っていう人ですけど。」
「…北山くん、普通科職員室に案内してくれる?」
「分かりました、着いてきてください!」
第三話へ続く
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