第17話 夜語り2
「現れたら、政府や組織に所属しているのか、ヒロシの様に個人なのかで接触の難易度が変わってくるな」
「サウスはどう対応しようと考えている?」
「政府や組織に所属しているなら、潜水艇にある発信機を相手方の乗り物に付けて尾行出来る。個人の場合は…ヒロシの会話スキル頼みだな。状況を見て、どう接触するかも考えないといけないからな」
「何処かに所属してくれていた方が探りを入れる難易度は低いな。しかし、潜水艇は万能だな」
「グプ人と言えば、潜水艇で星々の海を調査する種族だからな。だから文明の発達に偏りがあるんだ。潜水艇の度重なる改良や生物研究に伴い、潜水艇その物やナノ技術は発展したが、それ以外は地球並みか以下なのは、その他はあまり重視してなかったのが理由だな」
「侵略されて攻撃されたから同情はあまり出来ないが、研究や探索に精を出していた民族が上位種に戦争に駆り出されて…可哀想ではあるな」
「そうだな…少々話が脱線したが次は?」
「そのグプ人が地球を侵略し切れなかったと言っていたな…マトモな生存者に会っていないから、実感が湧かないけど人類は善戦していて生き残りも多数いるのか…な?」
「あのグプ人の装備では地球人に苦戦しているのは推測出来るな。兵士は操られて特攻に近いし航空戦力もノロい。俺達からすれば、地球人が善戦してたり、戦火から避難出来た人間を見ない限りは、ヒロシの言う通り実感が無い話だな」
「その内、確認出来るのを祈るとするか…。
ここからが重要だな。上位種、つまりはヴァラャルと呼ばれる種族は他所で苦戦中で地球への到着が遅れていると言っていたな」
「済まんなヒロシ。俺もヴァラャルに関しては何も分からん。前に寄生していたグプ人が操れているのは分かっていたが、どんな存在から支配を受けているのか全く読み取れなかった」
「サウスが謝る事じゃないさ。有り得ないだろうが、このまま地球に来ないのを祈る位だな、今の俺達に出来る事は…」
「希望を持つ事は悪い話じゃ無いし、案外有り得る話かもだぞ。旗艦の司令官は支配が外れたと言っていた。グプ人の支配や洗脳が解ける程、他所の星で苦戦中との見方も出来る」
「そうだが…司令官の精神力が強かった可能性も考えられないか?学校で遭遇した兵士の様にさ。コントロールルームを2人で攻めた時に兵士2人と乗務員は普通に俺達を殺そうとしていたからな」
「確かにな。司令官は陰腹を切って既に死の淵にいたから、洗脳が解けたは辻褄は合うな
…ただ、乗務員の目は正気を失った感じでは無かったな。それこそ俺も学校で洗脳が瞬間的に解けた兵士を見て、また支配される所も確認した…自分達は侵略者で地球人は許してくれないだろう、だから最後は雄々しく戦う選択をしたかもしれないな」
「司令官も死を受け入れてたからな…その推察も間違っていない気がするよ。世界の彼方此方でグプ人の洗脳や支配が解けていたら、どんな風に世の中なって行くだろうか…?」
「明日から俺達自身で確かめないとな…ヒロシは他人と行動する気はあるか?」
「そうだなぁ…異星人の侵略が終わって、日常に戻れたりするタイミングがあるなら…な。混乱はまだ続くだろうし、どうしたんだ急に?」
「俺の存在の所為でヒロシが人を遠ざけているんじゃないかと…ふと思ってな…」
「それは考え過ぎだサウス。お前がいなかったら、俺はデパートで既に死んでいるよ…サウスがいたから生き延びれた。感謝こそあれど、人を遠ざける存在なんて思って無い。大体まとな人間にも会ってないからな。もし、まともな人間に会うなら…そうだなぁ…サウスにはオープンフィンガーグローブにでも変身して貰えば問題が無いんじゃないか?とにかくだ…頼りにしているよ、相棒」
「…そうか…ありがとうよ相棒。あっ、俺がヒロシの肌色に擬態すればいいのか!そしたら不自然じゃなくなるな」
「おー…それはまた…そんな事が可能なのか
…?」
「可能だな。薬品を取り入れて、発射する球体をパワーアップしたからな。きっと肌色に近い色素を何らかの形で取り込めば出来る筈だ。それも目標の1つにしよう!」
「じゃあ暇が出来たら、肌色の塗料や絵の具なんか取り入れに行ってみるか?」
「おう、やってみよう!」
「あ…話は変わるが、司令官のタブレットはどうする?一応所持はしておくか?」
「グプ人のヤツだからな。下手に操作して通信すると、俺達の居場所がバレるかもしれんな。常日頃持っておくのは邪魔になるから、後でスタンバイ状態にして潜水艇に放り込んでおこう」
「ああ。取り敢えず、話しておく事は以上かな?」
「そうだな。周りは警戒しておくから睡眠をとってくれ、相棒。明日からまた忙しくなるぞ」
「頼むよ相棒。おやすみ…」
「おやすみヒロシ」
(さて、管を伸ばして周りを警戒しますか…この奇妙なコンビがいつまで続くモンかと考えていたが、ヒロシは本心で相棒として俺の事を認めてくれている。ハハ…グプ人のドゥメルクをやってれば、絶対にこんな考えにならなかったな…こんな世でも楽しく生きようぜ、ヒロシ!)
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