第13話 旗艦内部
2人がドアを開けた先の光景は地球の工場や発電所の様だった。部屋の中央で巨大なタービンがヴィィィィィィンッ!と音を立てて稼働していて、機械のガッチャンガッチャンと動く音とビーッブーッとセンサー音が鳴っていた。
「ここで天然ガスや海水を採取しているんだろうな。無人て事はグプ人達は旗艦のコントロールルームに纏めているって事だな」
「監視カメラは……」
「無いな。本当にハリボテ装備で上位存在に送り込まれたんだな…だがヒロシ、グプ人が着ているボディスーツだけはマジで性能が良いから保管場所があるか探そうぜ」
「ボディスーツを頂いて、コントロールルームを襲撃だな?」
2人は次のエリアに繋がる扉を開けた。廊下の左右には5枚ずつドアがあった。
「乗務員室が10部屋。何人かいる気配があるな…」
「サウス、射撃音を消す事は?」
「…サイレンサーだな?出来るぞ。ヒロシの記憶が流れ込んで来た」
「イメージが上手く伝わって良かったよ」
サウスはグニャニャとサイレンサー付き銃に変形した。
「お?なんか変身が早くなってないか?」
「俺も訓練次第でヒロシの隙を減らせるって事だな。さて、静かに部屋を開けて休んでいるグプ人を始末しよう」
ヒロシは頷き、身を低くしてドアを開けた。最初の部屋は無人だった。
「2段ベッドに簡易な机か…コップの中は…水か?」
「深層海洋水だな。ミネラルと栄養素が豊富だからな…これが地球が侵略された原因の1つだと前に寄生していたグプ人の記憶を読み取ったよ」
「異星人からすれば手に入りにくい完全栄養食みたいなもんか?」
「そうだな。この件は後で話そう。次の部屋に行こうか」
ヒロシは頷き、向かいの部屋を静かに開けるとグプ人が仰向けに2人寝ていた。ヒロシはスッと彼等のこめかみにサウスを構え、パスッパスッと撃って殺した。
「随分、躊躇が無かったな。無理をしてないかヒロシ?」
「俺達には目的がある。だろ?」
「ああ。次に行こう」
2人は全ての部屋に入り、寝ていた8人のグプ人を静かに葬った。
「ロッカーが無かったな。ボディスーツ置き場はこの先かな?」
「先に行けば分かるさ。コントロールルームも近いかもしれない。油断せずに行こう」
次のエリアに繋がる扉を開けると廊下が広くなり、左右に大きな扉が2つずつあった。
「これは随分と分かり易い格納庫だな。ヒロシ、左の奥が武器庫だ」
「……グプ人の文字を読んだのか?」
「そうだ。入ろうぜ」
武器庫のドアは無機質で未来的なデザインにヒロシは感じたが、手動の両開きでガッカリした。
「ヒロシ、グプ人はそんなモンだって…まぁボディスーツは中々の品だから気を取り直せよな」
「心を読むなよ…これが合いそうだな。ジャケットの下に着ておくよ」
「ハハッ。悪いな。後は…下の棚にある…そう、そいつだ。地球で言う所の手榴弾だな」
「ポケットに入れといて大丈夫な物か?」
「安全装置はしっかりしている。スイッチを入れない限り、中の液体は混ざらないからな。コントロールルームの制圧がマジで困難になった時に使おう」
「すんなりと行けば良いな…」
ヒロシはボディスーツを装着。ジャケットを着てスティック型の手榴弾を左右のポケットに4本ずつ入れた。
「他の部屋は…機械の備品庫2つに生活用品庫か。ナノマシンインジェクタが生活用品庫にあるかもしれん」
「またエラく未来的な固有名詞が出てきたな
…やはり体内にナノマシンを?」
「ちょっと未来的でテンション上がっただろう?グプ人は他の星々に出向き色々採取して来るのが好きな種族だからな。だから俺みたいな生物を研究して、使用してたりする訳だが…そんな中でナノ技術が進歩したんだ。体内に入れておくと傷付いた場所を内部から急速に治療してくれる。詳しくはまた後で教えるよ。探してみようぜ」
生活用品庫を開けると所狭しと何に使うか分からない物が大量に置かれていた。
「生活物資ってのは分かるんだが…」
「凄いアイテム数だな……あった。ヒロシ、右側の…そうだ。引き出しを開けろ」
「これ…さっきの手榴弾じゃないか?」
「形は似ているが先端から針が出る様になっている。首の血管に当てて、横の中指付近にあるスイッチを押せ」
「分かったよ……ッ!割と痛いな…」
「多少の怪我はこれで安心だな。さぁ、次のドアを開けようぜ」
次のエリアは広い空間の真ん中に階段があって、その先には厳重な白く重厚感を感じる扉があった。
「間違いなくコントロールルームだな。四方でグプ人が操作していれば扉を開けて、正面を倒しても横と後ろからズドンだな…どうするか…」
「さっきの手榴弾をドアを開けて放り込むか?」
「俺達の脱出もあるから、まだ無闇な破壊は控えたいな。ここは海のど真ん中だしな」
「んー…さっき乗務員室で何人か殺したから、交代要員が来ないのを不審がったりしないかな?」
「それは有り得る話だな。しばらく階段の裏に潜んで、出て来るヤツ等を片っ端から始末する。数が少なくなった所を一気に叩く…時間掛かりそうだが、やるかヒロシ?」
「ああ。しばらく待ってみて、上手く行かなかったらまた考えよう」
2人は階段裏に行き持久戦を覚悟した。
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