第3話 異世界の果てからこんにちは。

「うむ。落ちているな」


明は冷静に状況を分析している。


「貴方に女神の加護を授けます」


女性の声が響く。


「む?加護?」


「貴方は悪しき魔王を倒すため。

 この世界に転移してもらいました。

 その手助けの為の加護を――」


「いらないな」


明はそれを拒否した。


「……わかりました。

 では、貴方にはそのまま落ちて死んでもらいましょう」


「お前は何者だ?」


「私は女神です」


「名前は?」


「女神です。

 名前などありません」


「そうか」


「では、貴方とのリンクを解除します。

 落ちて魔物の餌になりなさい」


明は、そのまま地面に落ちる。

でも、明は浮遊術を使い地面にゆっくりと足をつける。


「他のクラスメイトは、いないか……

 異世界転移なのか?異世界転生なのか?

 いや、そんなことはどうでもいい。

 ドラゴンクエストの発売日に余は間に合うのか?」


明はなにかの気配を感じる。


「グルグルグルグルルルルルル」


そこにいたのは魔獣だった。


「うむ、名前もない魔獣か……

 この世界では名前がないのが普通なのか?」


魔獣は口に魔力を込めている。

明は、ゆっくりと魔獣の口に手を当てる。


「グルルルル」


魔物は唸る。


「さぁ、撃ってみろ。

 全力で撃ってみろ」


魔獣は口から光球を吐き出すものの、それは放たれることなく魔獣の口の中で爆発した。


「ガガガガガ」


魔獣は苦しみながらその場で暴れる。


「流石は魔獣。

 神眼で見た所、まだHPは半分以上残っているな。

 レベルは120か。つまり雑魚だな」


「グギャアアアアアアーーーーン」


魔獣は遠吠えをあげる。


「仲間を呼んだのか?

 なるほど数で攻めるタイプか」


「ギャオーーーン」


魔獣たちが明を取り囲む。


「まぁ、なんだ。

 余に牙を向くということは死を意味する。

 覚悟せよ」


明は手のひらを上にあげるとそこから大きな光の球体が現れる。

ゆっくりと球体は明の頭上より更に上にあがり徐々に大きくなっていく。


「グル?」


魔獣は光のバリアを全身に纏う。


「飛び散れ」


光が無数に飛び散る。

魔獣たちはそのまま体を貫かれ絶命していく。


「うむ。

 雑魚だな。

 レベル120か、余とは桁が違うな。

 事務や雑務で鍛え上げられた余のレベルは300億だ」


誰もいない山脈にて明は胸を張る。


「ベビーモスが一瞬で……」


そこに腰を抜かした兵士たちが明の方を見る。


「誰だ?」


明は、兵士の方を見て尋ねる。


「わ、我々はアストラル王国の騎士団です。

 ヘビーモスの討伐に来ました」


「そうなのか?」


明は神眼で兵士たちのレベルを見た。


「レベル40か……」


「はい?」


「いや、あの魔獣のレベルは120だ。

 主たちのレベルでは群れになっても勝てないぞ?」


「我々は、これでもヘビーモスの討伐の経験者です」


「ほう?あれはヘビーモスというのだな?

 主らは数でヘビーモスを倒すつもりだったのだろうが……

 ヘビーモスも群れで襲ってくるぞ?」


「そんな訳は……ヘビーモスは単独で行動を行うはず」


明は考える。


「なるほど、そういうことか」


「どういうことですか?」


「明らかに格下の相手に負ける敗因が数と学んだヘビーモスは、格上と戦うには自分たちも格上と戦えば勝てると学んだのであろう」


「モンスターが学習するのですか?」


兵士たちに戸惑う。


「まぁ、生物である限り学習はする」


「……よろしければお名前をお伺いしても?」


「余の名は大神 明。

 親しみを込めて、かみさまと呼ぶことを許すぞ!」


「では、かみさま殿。

 よろしければ我が国アストラル王国に来ていただけないでしょうか?」


「うむ。

 余もこの国のことを学びたい。

 承知したぞ」


そうして明は、アストラル王国に行くことになった。

ドラゴンクエストⅢの発売日まで、あと9日。

明は無事にドラゴンクエストⅢを買うことができるのであろうか。

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かみさまのにっき はらぺこおねこ。 @onekosan

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