腐れ縁と呼ぶには少し歪で、けれど離れがたい関係。 どこに連れていかれるのかわからないまま始まったドライブ。相手の思惑を測りかねる緊張感と、長年の付き合いだからこその遠慮ない会話が、読み進めるほどに心地よく響いてきます。そして、無骨でぶっきらぼうな優しさが、ふとした瞬間に顔を覗かせるたび、胸がじんわりと温かくなります。 静かな夜に舞う蛍の光が、二人の関係をゆるやかに照らし出す。このままずっと変わらないと思っていた距離が、少しだけ縮まる瞬間。言葉よりも雄弁な沈黙が、優しく心に残る物語でした。