第28話【臨パ】鬼畜【動物園D】
両手持ちの盾なので武器が持てないという変わり種だが、盾自体に攻撃能力があるので問題ない。
魔法主体のオレとしてはポーチの肥やしでしかなかったが、盾使からすれば喉から手が出るほど欲しい武具だろう――たぶん?
「ひぃー。無理です! 無理無理無理ぃッ!!」
BP少女は泣きながらもライトニングパンダくんレベル65の攻撃を盾で防御していた。
しっかり防御出来ているあたり盾使としての能力は低くは無さそうだ。
普通の盾ならレベル差で盾毎腕を砕かれている筈だが、そこはオレがしっかり
『ミイヤァァァッ!!』
「ひぃッ!?」
ライトニングパンダから繰り出される電光石火の連続左フック。からの右ストレートを悲鳴を上げながら防御するBP少女。
「頑張れ~。でも、反撃しないと何時まで経っても倒せませんよ~」
「そ、そんなこと言っても、盾でどうやって攻撃を……」
「その盾には
「や、やってみますッ」
『ミャアアアッ!!』
ライトニングパンダの両手を電撃が包み込む。
溜めからの両手による
これをまともに喰らうと大きくノックバックするし、電撃によって火傷と麻痺まで貰うことになる。
「こ、このぉ!」
ライトニングパンダの両手が伸びる。
それをBP少女は獅子舞盾で真正面から受ける。
両手が盾にインパクトする瞬間、獅子舞盾の口が開いた。
――直後。
『ミャ!? アアアッ!!』
獅子舞盾の口がライトニングパンダの手を嚙み砕き、放出された雷撃エネルギーがその身体を吹っ飛ばした。
倒れたライトニングパンダは起き上がることなく、プスプスと全身から煙を上げて消滅する。
「おぉー。お見事」
「や、やった……?」
と、BP少女の身体から魔力光が発散し消える。
これはレベルアップの
「レベルアップ?」
「おめでとう。いくつになった?」
オレに言われてステイタスを確認するBP少女。
レベル:50
物理力:26
魔法力:25
敏捷力:56
耐久力:74
D適性:S
「え? こ、こんなに?」
一気に39上がっていた。
やはりか。と納得するオレ。
これは、経験値の壁というヤツだ。
特定のレベルになると次のレベルに上がるまでに、それまでの数十倍の経験値が必要になる現象。
ほぼ全てのプレイヤーに適用される現象なのだが、大半のプレイヤーは高レベル帯でブチ当たる壁なので、ほぼご縁が無い。
そこまでレベルを上げられるプレイヤーが僅かしかいないからだ。
逆に、低レベルでこれにブチ当たるとステイタスによっては詰む。
BP少女の場合、おそらく後者で、臨時パーティで得られる経験値が少なすぎて停滞していたのだ。
オレは、その経験値の壁を高レベルモンスターを倒させることによって無理やり突破させたというわけだ。
「こ、これなら、あいつらにだって……」
ワナワナと肩を震わせているBP少女。
一気にレベルが上がって嬉しいのだろう。
だが、この程度ではまだまだだ。
相手は姫を含めても最低3人。
内2人は剣使と魔法使。
耐久特化のBP少女では攻め手に欠ける。
下手な攻撃だと大したダメージも与えられずに脱出装置を使われてしまう可能性も十分考えられる。
やるなら徹底的にだ。
獅子舞盾の攻撃で再起不能にさせることが可能な程度には鍛えた方が良いだろう。
「その程度で喜んでは駄目」
「え?」
オレはBP少女とライトニングパンダが戦闘している際に捕縛していたストライクパンダ2体の
「次はその2体。もっと強くなろうね」
「ヒィッぇ……」
オレの笑顔にBP少女の頬が引き攣る。
「盾の使い方は今のでわかったでしょう?」
「え? で、でも2体同時なんて、私、そんなの」
「大丈夫。そのレベルなら2,3発は耐えられる。ケガしても直ぐに治してあげるから」
「え? ちょ……、そ、そんなぁッ!!」
オレは涙目になったBP少女を迫る2体のスタライクパンダへ突き飛ばした。
「いやぁぁぁッ!?」
――ドカ。バキ。
「次、3体ね」
「そ、そんなぁぁぁッ!?」
――メキ。ボキ。ベチ。
「まだまだいくよー」
「ふ、ふぇぇぇッ!?」
――ゴン。ゴン。ズガン。ゴン。
「おかわり。いけるよね?」
「も、もう無理ぃぃぃッ!?」
――ドカン。バキン。メキン。ボキン。ベチン。
ふぅ。途中からなんだか楽しくなってきてしまった。
師匠がオレのレベル上げ中に笑顔だったのが何となく分かったよ。
そうか、オレの時も師匠からはこういう風に見えてたんだなぁ。と漠然と理解した。
本音を言うなら理解したくはなかったが……。
そんなわけでBP少女は強くなった。
今はこんな感じだ。
レベル:83
物理力:43
魔法力:42
敏捷力:89
耐久力:124
D適性:S
物理と魔法は同レベル帯からしたら低い方だが、敏捷と耐久は頭抜けている。
耐久なんて驚異の3桁だ。
BPの能力と合わさると
さて、これで準備は整った。
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