第2話【臨パ】探索2【ゴブD】
このダンジョン、ビギナー向けと言う事もあって上層は基本的にゴブリンしか出ない。
複数出現しても精々片手で数えられる程度だ。
このパーティならちょっと油断したとしても苦も無く討伐できる。
時々、ゴブリンウォリアーという中層モンスターが出現することもあるが、それはレア枠なので滅多に出現しない。
まぁ、出てきたところで上層では単体でしか出現しなので問題無いだろう。
今回のパーティは攻防のバランスが良いのだ。
ま、欠点が無いわけではないが……。
此処までの戦い方を見るに、盾使くんは殲滅速度に難有りだがメイン盾として優秀。
魔法使くんは固定砲台的な立ち回りがメインのようで回避に難がある。でも火力はさすが魔法使だけあって高い。
まぁ、だから臨時パーティを募集したのだろうけど。
剣使くんは1対1ならまだしも複数相手になった時の対応が苦手。
両手持ちによって攻撃力を重視しているのか、または盾を買うお金がないのか分からないがダメージを受けやすい。
いや、正直ここなら片手持ちにして盾を持ったほうが安定するだろうに。なぜ……。
斧使くんは攻撃と回避が両立出来ているので一番安心して見ていられる。
きっとレベルが上がって経験を積めばまだまだ伸びるだろう。若さって良いな。
まぁ、つまり、ちゃんとしたパーティとは互いの欠点を補える関係と言えるのだ。
「――彼の者を癒せよ。
ゴブリン2体を相手にしてダメージを受けた剣使くんにヒールを使う。
「す、すまねぇッ!」
ちょっと形勢不利か。
「まかせて」
そこへ斧使くんがフォローへ入り、ゴブリン1体を受け持つ。
1対1になった途端にさっくりとゴブリンを倒す剣使くん。
ううむ。相変わらず回避に難があるな。
盾持った方が絶対良いと思うのだが。
「盾とか使わないんですか? 片手剣と盾の方が絶対安定すると思いますよ?」
「んー。俺中坊の頃剣道やっててさ。なんかこう盾ってしっくりしないんだよな。漢ならやっぱり日本刀でしょ」
いや。持ってるのロングソードじゃん!
思わず声に出してツッコミそうになったが何とか堪える。
確かに日本刀は武器としてはお高いからロングソードなのはわからないでもないけどさ。
「え? でもそれだとソロの時に回復薬とか結構使いませんか?」
「あッ! わかる? いやー。回復薬って結構するから出費馬鹿にならないんだよな」
「あ。はい――」
おっと思わず素がこんにちはしそうになってしまった。
それなら盾持とうよ?
ロマンでプレイヤーやるなら最低限の
「それなら今回はこれを使ってください」
そう言って、左手に装備している小盾を剣使くんへ渡す。
何の変哲もないバックラーだが、此処なら必要十分だろう。
「え? いいの?」
「はい。あるだけでたぶん全然違うと思いますよ?」
「そうか? でも片手で振った事ないからなぁ……」
「大丈夫です。回復はサポートしますから、それにせっかくのパーティですからチャレンジしてみるのも良いと思いませんか?」
「うん。僕も賛成。サポートはするし、たぶん盾持った方が良いと思う?」
うん。ナイスフォローだよ。斧使くん。
「なら試してみるか」
そしてオレのバックラーを受け取り装備する剣使くん。
剣使くん。盾持ちが目から鱗だったようで、その後の戦闘で目に見て被弾が減り凄く喜んでいた。
でも、それ貸しただけだからな?
終わったらちゃんと返してくれよな?
その後、特に事件が起きる事も無く順調に9層を突破したオレたちは上層ボスフロアの入口へ到達していた。
「いよいよか」
「そ、そうだね」
ボスフロア入口にある仰々しい重厚な扉の前で、剣使くんがゴクリと唾を飲んだ。
斧使くんは緊張からか少し硬くなっているのか口調に現れている。
ちなみに、この二人はボス初挑戦だそうだ。初々しい。
「大丈夫だ。俺は何度かパーティで戦った事がある。打ち合わせ通りに行けば恐れるほどではない」
「そうさ。火力は僕の魔法に任せてくれればいい」
「私も精一杯頑張りますね!」
「ハハハ。よろしく頼むよ。――それと、この扉は下り階段の入口でその先にボスフロアの扉がある」
「うん? ――え?」
「うへぇ。そうなのかよ? 緊張感返して欲しいわ」
「これ初見は拍子抜けするよな? はっはっはっ!!」
「さぁ。肩の力も抜けたところでキャプテン退治といこうじゃないか」
場の空気が和んだところで魔法使くんが号令をかける。
うん。手馴れているな。
剣使くんと斧使くんは程よく緊張感が和らいだみたいだ。
「
「おう。よろしく頼む」
「「よろしく!」」
「お願いします」
重厚な扉を通り、階段を下りた先にある正真正銘ボスフロア入口扉の前でメンバーに
前衛は防御を重視。
後衛は魔法力を上げて火力重視のバフだ。
そして、盾使くんが扉に手を置いた。
さぁ、ボス討伐の始まりだ。
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