第15話 王都
「おおっ!ここが王都っすか!セシニュスとは比べ物にならないほどでかくて賑やかっすね!」
「うん!皆キレイで」
「……」
なにかを口走りそうになったクロフを僕は真顔でジーッと見つめる。すると焦った顔で別の言葉に言い換える。
「な、仲良くしたくなっちゃった!ね!ね!ジェロアお兄ちゃんもそう思うでしょ!?」
「……ま、いいや。別に、僕はそう思わないよ」
前よりは成長はしているので叱るのをやめてやる。前は大勢の人間がいる前で血を浴びたいとか言ってたからな。
「皆、いるね?じゃあここから徒歩で城に行って国王陛下に謁見するからついてきて」
『……は?』
僕とフラムは困惑した声を出す。だってそうだろう?いきなりこの国の最高権力者に会うと言われたんだ。こんな風にもなる。
「お、おいルエール!今国王陛下に会うって言った!?」
「うん」
「うんじゃない!そういうのは先に言えよ!こんな僕のボロボロの服と礼儀がなってない2人が会ったら不敬どころの話じゃないぞ!」
「大丈夫。兄さんの服の予備と2人の服はちゃんと城の着替え室に用意してあるし、陛下に仕えている従者がある程度の作法とかはちゃんと教えてくれる手筈だから」
「……そう。ならまあ」
「え!俺今から城に入って王様に会うんすか!?」
放心状態になっていたフラムが急に大声を出す。
「えー。そんなに驚くこと?」
「驚くことっすよクロフちゃん!だって今から雲の上の存在に会うんすよ!?せ、先輩!俺の死因が処刑とかいやなんすけど!」
「大丈夫だって。陛下はそこまで器の狭い人じゃないから。……まあよっぽどのことをしでかしたら分からないけど」
「先輩ー!!!」
フラムが僕に泣きついてくる。いつもならウザイので殴ったりしているが今回はしない。
こんな状況誰だってこんな風になっても仕方ないと思ったからだ。
「もー兄さんたち。いつまでそうしてるの?早く行くよ!」
「お前マジで泣かすぞ!」
そう怒りを示し、先に行っていたルエールに追い付こうとし歩き出す。
あいつのこういう所本当に嫌い!そう思いながら道を行くと2年前にあったものが消えたり、またあったりしていた。
「わー!見てジェロアお兄ちゃん!美味しそうな食べ物がいっぱいだよ!」
「……よかったね」
「ねえ、お兄様……」
元気な声に疲れた声で返事をするとナタリーが話をかけてきた。なんでかは知らないが怒ったようすで。
「さっきからずっと思ってたけどその子供、誰?私、妹とかいた覚えないんだけど」
「……はぁ?」
何言ってんだこいつ。
「いや、いるわけないだろ」
「ならなんでお兄様って呼ばせてるの!」
「……それ、気にするところ?」
「気にするよ!」
心底どうでもいい話題だと思ったがナタリーにとってはそうでもないらしい。問い詰めるようすで言葉を続ける。
「お兄様を兄って呼んでいいのは私とお姉さまだけなの!」
「へー」
「へーって!」
「……さっきから聞いてればなんなの。私とジェロアお兄ちゃんの仲を邪魔することばっか言って」
「はぁっ!?」
不機嫌な顔をしクロフが話に入ってきた。あーめんどくさ。
「ティナ、アンナ。何とかしといて。そういうの得意でしょ」
「な、貴様!自分が招いた種だろう!」
「そ、そうですよ!そんなことしてるといつか天罰が下りますよ!」
「はいはい」
2人の肩を叩き、文句を聴きながら喧嘩の発生場所から離れていく。
さて、暇だし誰と話そうか。ヴァルとレイラは。
『……』
無表情と無言で睨みあっている。これはダメだ。次はルエールだがこいつもダメだ。嫌味を言っても面白くない。
フラムだが、死刑間近の囚人みたいな顔をしていた。そっとしておこう。となると。
「や、クリュス」
「……」
「無視するなよ尻軽公爵令嬢」
「そのあだ名やめて下さりませんか!?」
「おお、反応した」
やっぱりこのあだ名は嫌いみたいだ。ま、やめてなんかあげないけど。
「一体なんの用ですの!?ワタクシは貴方と喋ることなんて一言もありませんわよ!」
「ふーん、そうなんだ。でも、僕はあるよ」
僕がとびきり意地の悪そうな笑顔を見せるとクリュスが身構えた。いっぱい嫌味を言ってやろうとすると。
「ほら皆ついたよ!ここが国王陛下が住む城さ!」
ルエールのそういう言葉が聞こえたので中断し、顔を向ける。するとそこには信じれらないほど大きく、
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