第11話 ボロボロ
「言っておくけどこっちに時間はない!だから手加減なんかしないから!お前ら行くぞ!」
僕は眷属魔法を使い仮面執事メイド、狼、ドラゴンといった奴らや他の魑魅魍魎どもを数百体作り出していく。
そんな光景を前にしてもルエールは顔色1つ変えやしない。
「ああ。分かった。スペラ、準備はいいかい?」
『寝起きですが、聖剣であるこの私はいつでも準備万端ですよ!』
「そっか。じゃあ、やろう」
ルエールが聖剣を掲げると、周りに無数の光の玉が現れた。久しぶりに見る。本当に。
「……ああ、綺麗だよねそれ。好きだけど、本当に嫌いだよ!!」
僕は眷属魔法で作った奴らを全員けしかける。これを耐えられた奴は今のところいない。だが。
「……うん。僕も、同意見だ!!」
聖剣の先を僕らに向けると無数の玉からまばゆい光を出しながら太い光線を放った。魔力とは違う神々しい力。
それは当たった奴らを一瞬で貫通し倒していく。
「クソッ!めっちゃ頑丈にしてさらに神の力にも耐性つけて作ったはずなのに一瞬かよ!」
そう神の力。ルエールは聖剣によって女神アレルの力の一端を使える。その代わりに魔力はないし、魔法は使えないがそんなことは些細な問題だ。
「なあルエール!お前は神の力を使えるから人間には到底勝てない存在とか言ってきた奴らが大勢いたけどさぁ!所詮は人間!だから勝てるって証明してやるよ!今すぐにぃ!」
そう啖呵を切り、やられた奴らの分だけ補充をして戦闘に出す。するとルエールが笑う。僕も始めて見る狂気的な顔。
「アハッ!やっぱり兄さんはそうでなくっちゃ!そう、僕は人間だ!兄さんだけだよ!僕にそう言って挑みにきてくれるのは!」
「挑みにってなんだよ!神さま気取り!?そういうところ!本当に嫌いだね!」
言い争いをしながら戦闘は激化していく。僕は眷属魔法でもっともっと数を増やし、ルエールも負けじと光の玉を増やし、光線を潜り抜けた奴の攻撃を神の力で防御し、聖剣で斬り殺しながら対応をしていく。
それが数十分?数時間?時間間隔は分からないが長い時間続いている。
「やるね……!兄さん……!」
「はは!なに?もう限界?」
ルエールの苦しそうな声が聞こえた。僕は勝利の兆しが見えてきたことに今まで感じたことないような幸福感に包まれる。
やっと……!僕は……!
「ならもう諦めろよ!やっとお前に勝てるんだ!だか、ら、あ……?」
「?」
なん、だ。体の、調子が、おかし。ま、さか。
「ク、ソ!じかん、ぎれ、かよ……!」
「兄さん……?」
身体中が痛い。頭がうまく回らない。魔法の維持ができない。
「オ、ゲェ……!」
「っ!兄さん!」
なんだ、これ、口から、血?
「なん、で?あ、ふくさよう。わすれ、てた」
「っ!ヴァル!」
「今すぐに!」
?どこ、ここ?あ、冒険者ギルド。でもなんで?あ、転移魔法か。
「」
「」
声が聞こえな、というか、意識がもう……だ、め……。
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