アアラ屋敷/千桐加蓮さんへ💗
アアラ屋敷/千桐加蓮さん
https://kakuyomu.jp/works/16818093089954614207
ようちゃんをご指名ありがとうございます💗
わたしのファンサとしてこちらにて感想及び僭越ながらアドバイスなどをさせて頂こうと思います。先に言っておきますと、今回はアントニオ猪木ばりのビンタはありませんのでご安心くださいませ。
さて、全体といいますか、さいかわ水無月賞で参加いただいた「白映え」を通しての感想ですが、とても成長されたのではないでしょうか。小説に話の「コシ」がでてきていて、それが魅力になってきております。あれから随分頑張って書いてきたようですね。よくできましたと言わせていただきます。
千桐さんにもご要望を伺いましてメールをいただきました。引用させていただきつつ回答いたします。(本人承諾済)
①来年の四月から、文芸学を学ぶ大学に進学することになりました。小説が好きで知識が豊富な子、実際に小説を書いている同級生もいると思うので、入学前までに、まずは、周りと差をつけたいと思っています。
まずは進学決定おめでとうございます。大学生活が楽しみですね。実はこの質問をいただきまして、最可愛女子たちにどんな大学生活だったのか、聞いてみました。(文章は要約です)
とりちゃん:芸術系でインクや絵の具とお酒が友達。同人活動で小説も書いてました。
まめちゃん:日本文学科で恋愛小説を書いていました
たまちゃん:日本文学科で本をたくたん読んだりエッセイを書いてました
ようちゃん:電子学科で集積回路の研究やレポートを書いてました
だそうです。来世があるとしたら、わたしも大学で芸術か文学を学びたいものです。
さて、「周りと差をつけたいと思っています。」ですが、何をすべきかというと、わたしは「今しかできないこと」をすべきだと思います。本を読んだり、小説を書いたりなんてこれからウンザリするほどやるわけで、仮に今10時間かけて本を読んで理解したとしても、授業の90分で理解できる知識ですむかもしれません。そっちの方がはるかにコスパがいいわけじゃないですか。ですので、いかに「今しかできないこと」をするかで、作家としての力をつけた方が良いと思うのです。
では、「今しかできないこと」って何かというと、高校生活でしかできないことです。たとえば彼氏がいるのであれば制服デートをたくさんしたり、いないのであれば勇気を出して男子と交流をはかって男子高校生という生態を実感したり、危なくない範囲でちょっとだけ一人で遠出してみたり、今の高校生という感性でしか味わえないことをたくさん蓄積しておくのです。千桐さんにとっては代り映えしない高校生活かもしれませんが、十年後、二十年後も小説を書くとしたら、自分が送った高校生活は貴重な財産になります。もはやわたしには高校生のものを書くのは難しいですが、千桐さんは大学に行っても高校時代の経験は生きるはずです。しかも大学生で知った恋愛や友人関係にはないものが、高校時代のそれにはあります。「今」という価値観がいかに作家にとって大事であるか考えてみてください。
若い頃はとかく、周りが気になるものです。女子であればなおさらで、他人と同じでないと不安で仕方ない時期です。というよりも、置いていかれることに恐怖を感じるんですよね。
カクヨムだけでも千桐さんと同世代が活躍したり賞を得ていると、焦りや不安が出てくると思いますし、大学に入る前にアドバンテージを持っておきたいという気持ちも十分わかります。ですが、所詮は一時のことです。わたしくらいの年齢から見れば、高校生どころか十代なんていうものは何者でもなく、これから自立して生きていくためのアプリのインストール作業をしている程度でしかないのです。そこで小賢しい作品を書いて称賛されるより、もっと大きな成長のために今できることを楽しんでやった方が絶対良いです。後述いたしますが、千桐さんには目端の利いた十代が建てた小さな一軒家に惑わされることなく、何十階建てのビルを建てられる人になってほしいと思います。そのためには文学知識や読書量の多寡や、今どれだけ小説を書けるかなんて、まったく関係ありません。今チヤホヤされるような小さな成功ではなく、どうせなら大人になってデカい成功を狙って生きてみませんか?
先に③を出します。
③自分の書く小説の強み、個性が私自身わからなくなってきているのが悩みです。なので、公募にチャレンジしようとしても、どこがいいのかわからないです。
客観的に読者の方から読んだら、味っ気がない小説かもと思われている気がします。
シンプルな型をマスターできるようになること、大切だと思うのですが、それすら自分ができていないかもしれない、と考えることもあります。
前述した通り、千桐さんには目先の事より将来ビックになる道をオススメしているわけですが、それにはちゃんとした理由があります。それは「自分の書く小説の強み」ということにも相当するのですが、千桐さん幸運なことに「ストーリーを描く力」という才能があるからです。
この「ストーリーを描く力」だけは一種の運みたいなもので、教えてどうこうならないんですね。仮にわたしや小説を書くことを教える専門家が千桐さんにつきっきりになって指導したとしても、なかなか上達する分野ではないのです。ですので、まずはこの幸運をしっかり認識した方がよいと思います。さいかわ水無月賞に出した「白映え」もストーリーは非常に良かったです。まだまだそれを完成にまで持っていく力がないだけで、ストーリーはきちんと作れていました。
もちろん、ストーリーを描く力の才能という蕾があるだけで、今開花しているわけではありません。ですが、蕾自体がない人間に花を咲かせることはできないのです。この幸運を時間をかけて伸ばしていくことが、千桐さんしか書けない小説を書けるようになる最短距離だと思います。周りは小器用にまとまった小説を書くかもしれません。しかし、千桐さんはそんなことは気にせずにストーリーを描く力を育ててほしいです。
文章の構造や文法の上達、表現力の向上なんてものは勉強していけば勝手に身に着きます。しかも大学で勉強できるのですから、気がつけば手に入るのものなのです。しかしながらストーリーを描く力だけは自習自得でしか手に入りません。それも才能がある人のみなのです。
②中々勇気はないのですが、将来的には公募に応募してみたいなと思っているので、今の私に足りないところ、改善点を知りたいです。
足りないのは「ストーリーを描く力」の才能があっても未発達なところだと思います。もちろんそれを肉付けする表現力なども課題なのですが、とにかく「ストーリーを描く力」を磨いていきましょう。
方法は前回のアドバイスと同じように「説明できる能力を高める」ことです。今回ではあれば、御作「アアラ屋敷」をわたしに文章で説明してみてほしいのです。あらすじのような文章でなく、口頭形式の文章で構いません。「まず主人公がいて……」みたいに最初から最後まで説明していくのです。大事なのは説明相手であるわたしがわかるように丁寧かつ簡潔に、です。
すると、おそらく三つの現実に遭遇すると思います。
①千桐さんの頭の中にはイメージがあるのに、犀川に文章で上手く伝えられない。
②千桐さんが説明している最中に、ストーリー自体におかしいところや、矛盾があることに自分で気づく。
③説明をしていくと、実はそもそも千桐さん自身にイメージがなかったという、穴があること気づく。
①は表現力のなさ、あるいは、②と③のように実はイメージがおかしかったりなかったりすることによって発生します。特に前半の「どう説明していいかわかならい」とうことであれば、それは千桐さんの説明能力が不足しているということになります。
②は当然発生します。わたしだって同じです。ですが、この手法を用いると、おかしいことに気が付くことができます。御作には細かいところでストーリーに疑問符がついたり、矛盾が発生しておりますので、読者には「?」になっている場面が存在してしまっています。ですので、「相手に説明する文章を書いてみる」という解決方法が必要なのです。
③も②と同じです。当然、「相手に説明する文章を書いてみる」という作業をしてから書いていませんので、穴だらけのストーリーになってしまうわけです。
勘違いしないように申し上げたいのですが、ストーリーがおかしいのが問題ではありません。千桐さんの描くストーリーが壮大で複雑であるからこそ、今はこういったほころびが生まれてしまうだけです。普通の人か描くストーリーのサイズであればこんな手法を取らずに書けますが、千桐さんは違うというわけです。
ですので、千桐さんはまず、プロットやあらすじに相当する「自分の作品を誰かに説明する文章」を書いてみてください。ここを煮詰めてから、初めて本文を書くことをオススメします。
ネタバレみたいなものをお話しますと、千桐さんの小説のベースがストーリーであるならば、わたしのベースは人間の心理とか物事の原理原則なんですね。ですから実はこうしてファンサを書いたり、感想やアドバイスを書くというのは、わたしにとってはベースを磨いたり鈍らせないための訓練のひとつなんです。逆にいえばそれ以外は何もしていないわけで、いかに自分のベースを知り、それを大事にすべきかを感じてもらえればと思います。
公募ですが、今まで言っていたことと矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、どんどん出して世の中の作家と戦ってみてください。出すことで今現在上手な人の作品と自分の作品を比較をして、表現力などの「肉付け」の部分をパクってください。今は公募で賞をもらおうとか考えなくて大丈夫です。「肉付け」の部分をパクるとしても、自分も出さないと真剣味が薄くなるから公募に参加しているだけと割り切ってください。模試を受けることで現状から長所を伸ばし弱点を知るというためだけに必要なことと思ってください。別に短所があるからと落ち込む必要はありません。大事なのは常に現状把握してすることと相手と戦うことだけで、結果に落ち込んだり、足りないことを悩まなくていいのです。しっかりとした穴のないストーリーを何百本も作ってみることのみが大事です。あとのことはそれなりにやっていけばいいのです。
まとめますと、「ストーリーを描く力」持っている幸運を感謝すること。周りの同世代や目先の損得に振り回されず、ストーリーを描く力を磨くこと。「相手に自分のイメージを説明する」訓練を怠らないこと、これらが今の千桐さんに必要なことではないかとわたしは考えます。
小説を書くにあたり才能というのはやはり必要になります。大学やサークル活動で「この人にはどうやっても敵わない」という人に出会うかもしれません。ですが千桐さんには千桐さんの恵まれた才能があることを信じて、一歩一歩着実に楽しんで進んでいってもらいたいなと思います。
以上、わたしなりのファンサを書かせていただきました。参考にしていただければ幸いです。
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