たりないとか注ぐとか/霜月れおさんへ💗
たりないとか注ぐとか/霜月れおさん
https://kakuyomu.jp/works/16818093089588423764
ようちゃんをご指名ありがとうございます💗
わたしのファンサとしてこちらにて感想及び僭越ながらアドバイスなどをさせて頂こうと思います。先に言っておきますと、今回はアントニオ猪木ばりのビンタはありませんのでご安心くださいませ。
さて、全体的な感想の前に、「これって、わたしのことを書いているの!?」っていうくらいに、わたしと御作の主人公である燈子がそっくりで驚いてしまいました。
オリジナルメニューは作れず、レシピ本に書いてある通りに作っても何かが違うと感じるものが出来上がると、答えるだろう。
まんまこれなんです(笑)。なんですかねえ。「わたしが料理を作らなければならない意義」を感じないんですね。離乳食のくだりも燈子同じで上の子のときは何かの懲役刑の身であるかのように人参を擦ったりしておりました。下の子のときは「子供にそこまでやらなくても生きていける」と怠け癖がついて適当にやってましたが、強迫観念がすごかった記憶があります。
今回のファンサも霜月さんに色々質問点や状況を伺いまして、それに基づいて感想やアドバイスを書かせていただきます。
まず御作の全体的な感想ですが、わたしがとてもというか、ものすごく好きな作風です。話が大きく盛り上がったり、何かドラマチックなことがあるわけではなく、淡々というよりも粛々と話が進んでいくスタイルですね。犬のボルトを通してのみ、燈子の気持ちがポツポツと漏れてくるところが非常にツボです。
そんなのっぺりとした表面に対して、実は非常に深刻な内容と感情が含まれており、その解説だけで本稿が埋まってしまうくらいに深さがあります。一見、文学的に見えながら、作品の根底は心理的であり行動科学的でもあります。わたしが受けた印象に対する結論だけいえば、燈子は単純に料理が苦手なわけではなく、人付き合い、ひいては人の愛し方がよくわからない人なんだと思います。目の前にいる人やすべきこと(家事・育児・仕事)など、すべての事に対して「ねばらない」という世界にしか住処がない、深い悲しみと戸惑いを感じているのです。作者と読者の間にも一見するだけでは理解し合えない深い溝のようなものを感じて、そこがまたわたし的にはいとおしさを感じます。ひょっとしたら単なるフィクションというよりは、作者である霜月さんの心のうちが反映された作品なのかもしれません。
この父母たち、みんな誰かの親なのだ。
こういうどこか突き放した表現とかが、燈子が自分の足が地についていない世界で生きている感じを漂わせているんですよね。
霜月さんは「文章が説明的になっているのではないか」という不安を感じているそうですが、この作品に関してはそうは感じませんでした。三人称できちんと表現されておりますし、要所要所に必要なパーツは過不足なく配置されていると思います。このあたりはわたしが理系出身ですので、機能的な面から評価しているかもしれません。芸術系のとりちゃんや、文系出身のまめちゃん、たまちゃんがどう思ったか聞いてみたいところですね。
また、公募や賞レースへを目指したい気持ちがあるのだけれど、漠然とした不安やそれに耐えうる基底があるのか、というお話も伺いました。今回はこちらの方をクローズアップさせていただきます。
わたしも御作のような小説が好きで自分でも書いております。ですのでシンパシーを感じるのです。
しかしながら、こういう作風というか、書きたいものに対する出力物が万人ウケするかというと、かなり遠い位置にいることは認めざるを得ません。しかもカクヨムという若者向けの「わかりやすい話」が好まれる世界では異端ともいえ、ある種の迫害を受けるテーマだと思うのですね。何度も言いますがわたしは好きなのですが。
ということは、公募や賞レースに出すと評価は良くないことは覚悟しなければなりません。わたしみたいに「誰に何を言われようとも我が道を征く!」を極めていく覚悟があるのであれば、それはそれで最終的に芥川賞を目指すような公募のみを狙っていく、純文学作家を目指していけばいいと思いますが、ある程度の世にウケたいのであれば、大変遺憾ながら「面白い話」を書いていかなければなりません。
わたしも、たとえばカクヨムコンみたいに誰かに読んでもらうのが必須の場所に出す場合は、文学的に引き籠っている自分の部屋から出て、「面白い作品」らしいものを書いたりもします。でも、それって本当は別に自分の書きたいことでもやりたいことでもないんですよね。本来、「カクヨムの週間ランキングで何位でした!」みたいなのが目標でもないし、星やPVがいっぱいほしいわけでない。ましてや作品に理解を求めているわけでもないわけです。わたしはそんなひねくれた作家なので、これからも「ヤマもオチもない、自分が書きたいだけの作品」を垂れ流し続けたいわけです。
ですが、霜月さんはそんな孤高の変態を楽しみたいわけではないでしょうから、もし、公募や賞レースに出るのであれば、「面白い話」を書く練習をすればいいと思います。さいかわ賞にもいっぱい「面白い話」を書いている作家さんがいますから、真似て練習するのもアリではないかと。
基底というか実力的にどうか、という話ですが、わたしはそこは心配しなくてもいいのではないかと思います。あくまでも「大衆に迎合する」(わたし、なんだかさっきから毒舌ですね笑)テイストを練習していけばよいだけかと思います。御作を見る限り、ここがダメとか足りないというのは特にないかと思います。
何度も申し上げているとおり個人的に御作の作風が好きなので、やや色眼鏡をかけてこの文章を書いているかもしれませんが、霜月さんの実力は十分です。大事なのは、「自分が本当に書きたいテーマは何なのか」「どんな小説で読者に認められたいのか」について、霜月さんなりの結論を持つことではないでしょうか。普段書きは今のテイストで、公募用は一般に受けそうな作風にするというのも一案ですし、今のままでのテイストで公募を突き通すというのもアリではないでしょうか。こういう作風を歓迎する公募とか賞レースもなくなないはずですので。
以上、わたしなりのファンサを書かせていただきました。参考にしていただければ幸いです。
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