「入ってもいいですか」
1LDK
第1話
電話に出ると「入ってもいいですか」と声がした。何も答えずにいると切れる。
また別の日、電話が鳴った。「入ってもいいですか」と聞こえる。「だめだよ」と言った。切れた。
さらに別の日、電話が鳴った。「そろそろ入ってもいいでしょう」と声がした。「まだだめだよ」と言うと舌打ちが聞こえた。
今夜、いいよ、と言う気がする。毎日はやたらに楽しい。先がしっぽりと闇に覆われているとどうして俺は思っているのか。
暗い部屋の中で電話が鳴る。鳴るはずのない音だ。イタズラ電話が掛かってると知り合いに相談してすぐ解約した。「入ってもいいですか」喉が動く。
いいよ、と言った。「ありがとうございます」電話は切れた。音が聞こえない。
口が動く。「入りました。イマイチです」電話で聞こえた声だった。
手が動く。当てずっぽうに数字を押して、数コール。
「入ってもいいですか」
「入ってもいいですか」 1LDK @rnpquuu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます