第13話

理人がベッドの上で、ぱっと目を開け、部屋の壁に備え付けの時計を見た時、深夜の三時だった。命が狙われているかもしれないというプレッシャーは、矢張り睡眠に良い影響は与えないようだ。

体を起こすと、陽希も目を覚ましたらしく、「うーん」と唸った後、目を擦りながら理人を見た。

「どうしたの、理人ちゃん」

「いえ、悪い夢を見てしまった気がして」

「そっか……ちょっとお散歩でも行こうか?」

「水樹を置いて行くのは危険ですよ」

陽希は、常に理人を気遣ってくれる。理人が、幼少期の性的な虐待に起因し、余り精神的にタフではないことを知っているからだ。

遅れて、水樹も起きたらしい。「うるさいですよ」と言いつつも、三人で寝ようと提案してくれたのは水樹だ。素直ではない彼だが、優しさがあることを理人は知っている。

「水樹ちゃんも一緒にお散歩に行こー!」

「嫌ですよ、この寒いのに」

「じゃ、植物園に行こうよ。あそこなら暖かいし」

陽希は水樹の返事を聞く前に、水樹の手と理人の手を同時にとって、軽快に歩き出した。水樹も理人も上着を手に取るのがやっとの慌ただしさだった。

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