第8話

昼食会の後は、各々が各々の部屋で、休憩することになった。明美子が言っていた時間の十五分前には、必ずダイニングに集まるように、というのは、昼食会の前に皆で決めた。

水樹は勿論、理人も、遅刻魔の陽希ですらギリギリとは言え約束のとおりに集まり、残るは廣二と、言い出しっぺの明美子だけとなった。

「あの女ども、時間すら守れないのか。やっぱり、人を騙すようなやつは、ろくでもないな。それをファンと崇める輩も似たようなものだ」

一条が腕組みして唸っているのを、理人は両手を上下に動かして、まぁまぁと言って宥めた。理人のオーボエのような声は、誰しも落ち着かせる効果がある。

しかし、事実として、二人が揃わないと、何となく日時計のところには行きにくい。仕方なく、水樹は綺羽に、「明美子さんの部屋に行って、呼んで来てください」と依頼した。綺羽は黙って頷くと、ダイニングを後にした。

それから、残ったメンバーで、日時計の謎について議論し、推理を深めていた、その時だった。上の階から、耳をつんざくような悲鳴が聞こえたのは。

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