2-22.フー、全力で必殺魔法を撃つ!!

「だぁあああーー!!」



 クロくんが一気に間合いを詰めてきた!じゃあ今度はカウンターを試すよ!



「ひぎ、ざんげつ!」



 クロくんの攻撃をじっと集中して見つめる。よく見ると、腰にだーつの矢が巻いてあったね。10本···、かなぁ〜?うち3本がなくなってる。ということはこの攻撃で1本投げてくるね!


 クロくんはぱんちにきっくを混ぜてフーに襲いかかってきた!速さ重視だからいっぱつの威力はヨワヨワだった。フーにカウンターを決めさせないいつもりだよ!


 ということは、だーつが決め手なんだ!その時が斬月を放つ時だね!


 その時までフーはよけまくるよ〜!ホイッホイッとな〜!


 そしてクロくんが回し蹴りを繰り出してきた!フーはしゃがんでよけたよ。


 その時だった。クロくんは回った勢いでだーつを投げてきた!それもフーの目の前で!!



「もらったぜ!」



 フーは避けることもできずにだーつが当たり···、



 ドンッ!!



 フーの顔で爆発を受けちゃった···。



 幻だけどね!



 フーはクロくんの背後を取っていたのだ!ママの暗殺技、空蝉うつせみだよ〜!さあ、斬月が決まるよ〜!



「おっと!そう来るだろうと思ってたぜ!ワナにかかったのは···、そっちだぜ!!」



 クロくんは左手にだーつをいつの間にか持っていた!しかも2本も!?振り向きざまにそのだーつをフーに投げてきた!今度こそ···、当たっちゃう!?



 ドンッ!!ドンッ!!



 また···、まともに受けちゃった···。威力はそこまでじゃなかったけどいったーい!!


 フーは吹き飛ばされちゃったよ···。リング上を転がされちゃって仰向きに倒れちゃった···。



「もらったぜ!これでトドメだーー!!」



クロくんが渾身のぱーんちをフーに撃ってきた!



 ドカッ!!



「なに!?どこ行った!?」


「後ろだよ〜!」


「なに!?いねえぞ!?」


「ざんねんでした〜。じつはまえにいたんだよ〜」


「なっ!?」


「ひぎ、ざんげつ!!」



 ドゴォ!!



「ぐはっ!?や、やるじゃねえか···」



 あぶないあぶない···。代わり身と分身でなんとか避けれたよ···。クロくん、強いね〜!フーの空蝉が破られちゃうし···。


 一旦クロくんから離れたよ。さ〜て、これで一撃入れてあげたけど、次はどうしようかなぁ〜?



「ははは!やるじゃねえか!久々だぜ···。俺に一撃入れるヤツはよ!しかもちびっ子だぜ!?」


「フーはちびっこだけどつよいんだよ〜!」


「わかってるって。試合して手の内を見せてもらったからな!さて···、そろそろ時間もなくなってきたことだし、お互いの最強技で終わりにしないか?」


「え〜〜!?もうそんなじかんなの〜!?」


「ははは!そりゃ、それだけ集中してたって事さ!楽しい時間はあっという間に進んじまうもんさ」


「そうなんだね〜!じゃあ···、フーもとっておきのまほうできめるね〜!」


「おう!そうこなっくちゃな!俺もとっておきで相手してやるぜ!」



 フーは魔力を超圧縮して両手に集中させるよ!そしてその手を組んだ!


一方のクロくんは1本のだーつを右手に持って顔のすぐ左側で構えたよ。あれって投げてからその勢いでもう1本取ってすぐに投げる気だね。



「おいおい···。とんでもねえ魔力が集中してるじゃねえかよ···。こりゃ当たったらタダじゃあ済まねえな」


「えへへ〜!しりあいのかぞくのひっさつまほうだからね〜!ちゃんとケガしないようにしてるからだいじょぶだよ〜!」


「そうかい。じゃあ、俺も惜しみなく全力で相手するぜ!」



 お互い、準備完了した。さあ!フーの魔法が強いか、クロくんのだーつが強いか!勝負だよ〜〜!!



「じゃあ、いくよ!リナおねえさんじきでん!ドラゴンキャノン〜〜!!」


「なんの!スリーインナべッド!!」



 フーがドラゴンキャノンを放った瞬間にクロくんはだーつを1本放って、振り下ろした右手ですぐに次のだーつを取って、腕を振り上げつつ放ち、その間に左手で3本目を放った!



 ドーーーン!!



 1本目がドラゴンキャノンにぶつかった!ドラゴンキャノンの勢いが抑え込まれ、2本目が完全に勢いを殺してしまったよ!?そして3本目が当たると、ドラゴンキャノンは撃ち返されたよ!?



「ははは!残念だったな!とんでもない威力の魔法だけど、俺の方が上だったな!」


「だったら!もう1ぱついくよ〜〜!!ドラゴンキャノン〜〜!!」


「連発だとぉ!?くそっ!!」



 クロくんはもう1回さっきのだーつを3本同じく放った!!けども今回はドラゴンキャノン2発分だよ〜!!多少勢いを抑え込まれちゃったけど、押し返すまでできずに2発分のドラゴンキャノンがクロくんに襲いかかった!!



「うぉああああーーー!?」



 ドズーーーン!!!



「ハアッ!ハアッ!や、やっぱり···、れんぱつって···、しんどいよぉ〜···」



 もう···、これ以上は厳しいんだけど···。煙が晴れると、そこにはボロボロになったクロくんが立っていたよ!


 そう、立ってたんだよ!?あれに耐えちゃったの〜!?



「グッ!?ハァッ!ハァッ!まさか全部ダーツを使うとは思ってなかったぜ···。こりゃ完敗···、だなぁ〜。参ったぜ···」


「そこまで!!」


「えっ···!?フー、かっちゃったの?」


「そうだぜ···。お前さんはとんでもないちびっ子だなぁ〜」


「あ···、ありがとうございました〜!」



 フー、勝っちゃった〜〜!!やったよ〜〜!!




「おぉ〜···、すごいなぁ〜。クロくん、フーちゃんの技を見切っちゃってるよ···」


「···ま、まだまだ完成してないから荒っぽいしね。···でも、よくやった」


「フーちゃんってドラゴンキャノン撃てるってナツから聞いてたけど、連発までできるんだなぁー」


「リナと同じ事できるなんて、フーちゃんはすごいわね···」


「まぁ、トランスできて龍脈と繋がれるから、それなりに魔力の使い方はわかってるだろうしな」



 観客席からボクたちはフーちゃんの試合を見ていたけど、すごい試合だったよ···。


 ハルはまだまだ未熟って言うけど、まだフーちゃんは6歳だからね。フユとナツが初めて旅した歳よりも幼いんだけどね···。


 リオとナナは驚きでいっぱいだったね。そりゃ、最強魔法を撃っちゃうんだもん。


 そしてレオはこの程度は楽勝って···。ホント、覚醒した神狼族ってすごいわ···。



 これでフーちゃんは決勝戦にコマを進めたね。相手は謎の暗殺術の使い手かナギちゃんだ。どっちにしても強敵だから、厳しい戦いになりそうだよ。

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