2-21.激闘!フーVSクロ!
まだご機嫌が垂直に近いほど斜めなナナをなんとかなだめて朝食のバイキング会場に向かった。一応リオとナナは離されて、間にボクが入っておいた。ものすごく居心地が悪い···。
雰囲気が最悪だったので誰も喋ることができず、静かな朝食となったよ。
いや、音はしてるんだよ?ナナが超ヤケ食いしてがっつく音がね···。食べる量はリオよりちょっと多いくらいだったよ。普段だったらリオの半分ぐらいなはずなんだけど···。
でも、大人がこんな雰囲気を出しちゃダメだよ!いい雰囲気にしてフーちゃんには頑張ってもらわないとね!
「フーちゃん。今日は勝ち負けなんてこだわらずにめいいっぱい試合を楽しんでね」
「は~~い!たくさんたべてげんきひゃくばいだよ〜!」
「うん、絶好調なようだね!」
「フー、がんばれよな!おれのカタキをとってくれ!」
「あたしのぶんもがんばってね!」
「たちふさがるなんてきをのりこえろよ!」
「うん!フー、がんばるよ〜!」
フーちゃんはムードメーカーだなぁ〜。いつも通り、元気な孫だよ!
さて、会場に向かってフーちゃんは控室に、ボクたちは関係者観覧席に向かった。と、その前に···。
「みんな、先に行っててくれるかな?リオ?ちょっといいかな?」
「んぁー?どしたー?」
「いいから···」
みんなには先に行ってもらって、ボクとリオの二人きりになったよ。でないと内緒話できないからね。
「リオ?ナナのご機嫌が超悪いから、ご機嫌取りしないといけないよ」
「ご機嫌取りってどうやるんだー?」
「う〜ん···。普通ならプレゼントを贈るのが手っ取り早いんだけどね」
「何が欲しいかわからんぞー!?」
「そうなんだよね···。ナナ自身も結構稼いでるから、店売りの品には興味なさそうなんだよなぁ〜」
「じゃー、どうするー?」
「手作りなものがいいかもしれないけどね···」
「じゃー、手料理だなー」
「それは火に油を注ぐようなものだから却下ね」
「そうなると思いつかないぞー!」
「う〜ん···。ちょっと八方手詰まりだなぁ〜。こうなったら素直に謝罪するしかないかなぁ〜」
「そうかー。その方が良さそうだなー」
「まぁ、とりあえず謝罪しようか。後でハルにもナナのご機嫌をさりげなく取るように言っておくよ」
「悪いなー、アキー」
そうしてボクとリオは観客席に戻ったよ。もちろん、リオの席はナナの反対側にしておいたよ。
「(ハル?後でナナのご機嫌取りをお願いできる?)」
「(···ご機嫌取りってどうやるの?)」
「(いや、どうしたらナナがご機嫌になるかな〜?って、ハルの方が知ってそうかな?と思ったんだけど···)」
「(···確かに付き合いの長さは私の方が長いけど、もう20年近くみんな一緒にいるから、あんまり変わらないけど?)」
「(うっ···。確かにそういう意味ではリオはナナと結婚してるんだからリオの方が知ってないとおかしいか···)」
「(···だいじょぶ。···慌てなくてもちゃんとご機嫌良くなるから)」
「(そうなの?)」
「(···うん)」
ハルはどうしてそう言ったんだろう?やっぱり女性ならではの勘なのかなぁ〜?乙女心はボクにはわからないからね。
さあ、準決勝が始まるよ!
さ〜て!フーの出番だよ〜!相手はクロくんだね〜!強そうだからトランスなしでの全力でお相手いたす!!
そう思ってリングに上がると、クロくんが握手を求めてきたよ〜?
「今日はよろしくな!手加減できるような相手じゃないってわかってるから、最初から全力で行かせてもらうぜ!」
「フーもよろしく!クロくんもつよそーだから、フーもぜんりょくでいくね〜!」
「ははは!楽しい試合になりそうだぜ!」
そうしてリングの中央に立ったよ〜。クロくんは体術だね〜。じゃあ、フーも···。
「おいおい?全力じゃないのかよ?こっちに合わせなくていいんだぜ?腰の武器を抜きな。武器ありで頼むぜ?」
「あっ!?ゴメンね〜!ついついあいてにあわせちゃってた!このぶきはとくせいひんで、あたってもきれないからね〜!」
「知ってるぜ。相手全員キズひとつなしだったからな」
「そっか〜。じゃあ、えんりょなしに···」
「それでは準決勝第1試合、始め!」
まずはクロくんの出方を知ろう!フーは武器ありでいいって事は、武器があっても問題ない対策があるんだからね!
クロくんは両手が淡く光ってるね···。魔法じゃなさそうだから竜気だね!リオじーじたちを見て知ってるよ〜。
「へぇ~。突っ込んで来ないんだな?せっかく武器あるのによ」
「ぶきあったほうがつよいってことじゃないしね!フーのけんをぱーんちではじくんでしょ?」
「ははは!もう見破ってたか!じゃあ、こっちから行かせてもらうぜ!」
···来る!クロくんは接近戦が得意で、体術にじーじが言ってた『だーつ』って短い矢で攻撃するんだったね。
「はぁあああーー!!」
クロくんが突っ込んできた!フーは魔力剣を短剣モードにした。
まずは右ストレートぱーんちが来た!フーは左足を半歩下げて躱すよ!
クロくんと交差して背後を取った!フーの攻撃の番だよ〜!その時だった!
ドンッ!!
「きゃっ!?」
フーの左肩が爆発した!魔法!?でも魔法を使う素振りはなかったよ!
その仕掛けはすぐに気づいたよ!リングにだーつの矢が落ちていた!すれ違いざまに左手でだーつをフーに投げてたんだ!右ストレートぱーんちは陽動ってものだったんだ!フユにーちゃんに聞いたことあるよ!
「へぇ~!かなり防御力高いじゃないか!そこそこ威力ある魔法を込めてたんだけどな!」
「う〜!でもいたいんだよ!?」
「それで済むのがすげえけどな···。さあて、じゃあ、続き行くぜ?」
「こんどはフーがいくよ!」
「面白え!かかって来な!」
さっきは左手でだーつを投げてきた。だから左からの攻撃が要注意だね。なら攻めるのはフーから見て右だね!でも近づき過ぎたらだーつで攻撃されるから、遠くから攻撃するよ!
「ひぎ、げんげつざん!」
「ほう!?」
フーが斬撃を飛ばす!するとクロくんは右手を淡く光らせて···!
「ムンッ!!」
バシーーン!!
えぇ~!?斬撃を叩き割っちゃった!?竜気ってそんな使い方できるんだね〜!
「やるじゃねえか!下手に接近戦を仕掛けずに遠距離攻撃ってか」
「でもふせがれちゃったよ〜!」
「ははは!じゃあ次は魔法で攻撃してみな!」
そうだね。魔法攻撃を試してなかったよ。だったらママの魔法で試してみるよ!
「じゃあ、フーのとっておき!ママじきでん!えくすぷろーじょん!!」
フーが本気の魔法を撃った!クロくんは動こうとしなかったよ。
そして当たった!と思ったけど、爆発しなかったの···。
よ〜く見てみると、フーの魔法の先にだーつが刺さっていたの!そしてフーの魔法がだーつに吸い込まれちゃったよ!?
「ふぅ~···。とんでもない威力じゃないかよ···。この空っぽのダーツに魔力が満タンになっちまってるぜ」
「すっご~い!そのだーつってそんなつかいかたがあるのね〜!」
「コイツは特別だけどな。じゃあ、次は俺からいくぜ!」
クロくんが一気に迫ってきた!次はどうしようかなぁ〜?
なんだか楽しくなってきちゃったよ〜!!
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