2-5.格闘技大会予選

  グロー歴523年8月12日 曇


 今日から格闘技大会が始まるよ。孫たちは早起きして、早朝トレーニングに出かけてしまったよ。やる気は十分だね!


 朝食も多めに食べてたよ。しっかり食べて試合に備えないとね!


 ちなみにリオは珍しく早起きだった。昨日縛られた状態で寝ちゃってたから睡眠は十分だったようだ。···何かの病気じゃないよね?


 朝食を済ませてボクたちはコロシアムへ向かった。観客もかなり多いようで、道中は結構混んでたよ。


 コロシアムに到着すると、選手関係者と観客は入場口が分かれていて、その先で選手と関係者の入場口が分かれてたよ。孫たちとはここでお別れだ。まだ幼いから心配だけどね。



「じゃあみんな、頑張ってね!昼休憩前と全員の試合が終わったらここで合流だからね!」


「「「「はーい!」」」」



 さて、ボクたちは観客席に向かうと、選手関係者席が用意されてて、そこに案内されたよ。一般観客席よりも空いてていいね!賭けをさせないための処置なんだろうけどね。


 まずは開会式だ。この国の王様であるサバール15世さんがあいさつしたよ。



「此度の大会にこれほど多くの参加者がいる事に感謝する!知っての通り、マクス帝国が戦争を企んでいるというウワサが広まって緊張が高まっておる!此度の大会で優秀な成績・・・・・を出した者にはそれなりの待遇を用意しておる。この国に必要な力は『敵を殺すものではない』とここで公言しておく!大会で見るのは『制圧も可能な抑止力』である。力とは正しく使うことで最大の効果を得ると我は信じておる。諸君らの健闘を祈る!」



 ···ほう!なかなかいい事言うね。あくまで抑止力としての力を求め、冷静に対話ができる環境を目指しているって事だね。


 そして優秀な成績って事は優勝者を優遇するって事じゃないんだね。つまり、この大会は個人の戦闘力と人となり・・・・を同時に見ようって事だ。


 今回はどんな選手がいるんだろうね?


 しかし、ちょっと気になる情報があったね。マクス帝国が戦争を始めようとしてるって···。


 この大陸では大魔王ムーオの被害はまったくなかった。理由は気になるけど、それでも脅威がない環境だったら覇道を目指す国も出てくるか。巻き込まれないよう気をつけよう。


 まずは予選だ。参加人数が多いから、今回もバトルロイヤルで1人の勝者が出るまでやるんだ。


 さて···、どうなるかな?




 さあ!ここからはおれたちの武者修行だ!たちはだかる強敵をなぎ倒していくぞ〜!


 まずは控室ってとこに入れって言われたな。おぉ〜!なんか強そうな人たちがいっぱいいるな!やる気がでてくるぞ〜!


 そう思って控室の入口で立ち止まったら他の人から声をかけられたよ。



「おい!ボウズたちは迷子か?ここは観客席じゃないぞ?」


「かんきゃくじゃないぞ?おれたちはせんしゅ

としてきてるんだからな!」


「はあっ!?マジかよ!?」


「そうだぜ!あたいたちはうでだめしでさんかしてるんだぜ!」


「はっはっは!そうかそうか!まぁ、ケガしないうちにかくとうごっこは終わらせるんだぞ!」


「あいてにされてないわね···」


「そんなものじゃないかな〜?フーはべつにきにしないけどね」



 筋肉ムキムキのお兄さんにビックリされたな〜。まぁ、パパも言ってたように見た目で判断したら痛い目にあうってヤツだな!


 さてさて···、控室はいっぱいだったから座るところはなかったよ。まぁ、もうすぐで開会式ってやつが始まって、すぐに予選が始まるらしいから別にいいけどな。


 他に気になる選手は···、えっ!?おれたちと同じちびっ子が何人かいるぞ!しかもドラゴン族だな。



「なあ、ルメ。あっちにドラゴンぞくがいるぞ」


「えっ?あら、ホントね。つばさのいろからしてこくりゅうかしら?パパにきいてみないとわからないわね」


「だれでもいいぜ!ちゅよい・・・・やつにあいにきたんだからな!」


「あいさつしておく〜?」


「そうね!あたしたちとあたるかもしれないしね」



 そう思って行こうとしたら係の人から開会式が始まるから全員外に出ろって言われたぞ。



「しかたないわね。まぁ、むこうもよせんをかつだろうから、そのあとでもいいわね!」



 そうしておれたちは開会式に行った。すんごいたくさんの観客がいてビックリしたぞ!?

こんな多くの人の中で戦えるんだな!楽しみで仕方ないぞ〜!



 まずは予選だ。控室へ向かう通路に入った時にくじで番号を引かされていたんだ。


 おれは21組、フーは3組、ルメは30組、アトラは14組だった。この組同士でまずはバトルロイヤルをやるみたいだぜ。そして1人になるまでやるんだな。



 まずはフーだな。



「よーし!じゃあいってくるね〜!」


「がんばってね〜!」



 試合会場に入ると、だいたい20人くらいかな〜?みんな強そうな格好をしているね〜!


 お〜?みんなフーを見てるよ?···もしかしてフーを最初に狙い撃ちしようって事かな?別にいいけどね。···全員まとめて相手してあげるよ。



「それでは予選3組、始め!」


「よろしくおねがいしま〜す!」


「まずはガキだ!覚悟しなーー!」



 お〜!本当に全員フーに向かってきたよ!じゃあ、まずはこの技からいっくよ〜!



「ひぎ、もみじ」



 アキじーじの剣術で、ママもフユにーちゃんも得意な技だね!この技は集団の懐に入って周囲の敵に一閃する技なんだよ。これで5人倒したね!


 すると、フーの後ろのリングの端から弓で狙ってきた!でも残念でした。気づいちゃってるからすぐにかがんで避けちゃえたよ。


 そして振り返りつつ、次の技を繰り出すよ〜!



「ひぎ、げんげつざん」



 斬撃を飛ばす技だけど、人に対しては切れ味なしの鈍器モード?って状態だから衝撃波になっちゃったね。お〜!見事に吹っ飛んじゃったね。3人ほど巻き込んじゃったよ。


 お次は魔法で狙ってきた!炎魔法だね。



「あんさつわざ、そうれつざん」



 魔法を切り裂いて魔法使いさんを吹き飛ばしてあげた。


 次は6人が一斉に襲いかかってきたよ。じゃあ次はこの技だね!



「ひぎ、らせんざん」



 その場で回転攻撃!この技でだいたいは倒しちゃったね!残りは4人だ。じゃあ、もう一気に決めちゃおう〜!



「ひぎ、しっぷうじんらい」



 残りの4人それぞれ懐に入って一閃していった。でも、耐えちゃった人も1人だけいたね。やっぱりフーが小さいから本気・・出さないと威力でないんだね。



「このガキ!?なんて強さだ!でも、あの威力をバンバン使えるはずはない!耐えきったオレの勝ちだぁーー!」


「ざんねんでした〜!フーはまだまだやれるよ〜!えいっ!」


「なに!?消えただと!?」


「こっちだよ~」


「なっ!?いつの間に後ろに!?ぐあっ!?」


「これで終わりだね。ありがとうございました〜!」



 やっぱフーは強いな〜。じーじの秘技を簡単に使いこなしちゃうもんなぁ〜。最後は影移動だな。おれはまだあれできないんだよなぁ〜。



「おつかれさま!フーなららくしょうだよな」


「そんなことないよ〜。いちげきでぜんいんたおせなかったもん」


「でも、ほかのしあいみてたらフーちゃんみたいにたおしてるひとはいなかったわよ?」


「そうだけど、このあとはわかんないよ?」


「そうだぜ!つぎはあたいのばんだな!かっこよくかちのこってみせるぜ!」



 次はアトラの試合だな!ただ、その前の予選でさっき控室にいた黒竜の少年の試合があったんだ。


 その少年は武器を使わずに体術と魔法で全員を倒してしまっていたな。戦い方はリオじーじと似ているな。このまま勝ち残ったらアトラとやりあうことになりそうだな。



「うちのじーじのたたかいかたににていたなぁ〜」


「そうね。でも、こくりゅうってボルタニアたいりくにはいないから、じーじのことはしらないとおもうけどね」


「まぁいいさ!あたいはあたいのちからをおもうぞんぶんはっきするだけだぜ!」



 そしてアトラの試合が始まろうとしていた。

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