2-4.孫たちが格闘技大会に出るってよ!

 演劇を見ていたらアトラちゃんが興奮しちゃって役者さんにバフ魔法をかけちゃったんだ!慌ててボクたちは逃げ出したよ···。



「アトラ、劇は邪魔しちゃダメよ。前にアキも言ってたでしょ?『求められてない手助けはやっちゃダメ』って」


「ごめんなさい···」


「次はやらないようにね。アキ?そろそろお昼にしましょうか?」


「そうだね。そこのレストランでいただこうか」



 ボクたちはレストランで昼食にした。内陸の方なだけあって、香辛料を多く使った料理がおいしかったね〜!やっぱり旅は食だよ〜!



 さて、午後はどうしようか?と思っていると、レストランの壁に貼ってあったポスターが目に入ったんだ。



「へぇ〜、格闘技大会なんてあるんだ〜」


「昔、ケンやフユ、ナツが王都で出場したわね〜」


「ここも年齢制限なしね···。魔法まで使えるのか。明日からやるみたいだね」



 ボクのこの一言がモンドくんを刺激してしまった!



「じーちゃん!おれ、でたい!」


「えっ?出たいの?」


「むしゃしゅぎょうのたびだからな!じぶんのつよさをかくにんしたい!」


「じゃあ、フーもでる〜!」


「まほうもありならあたしもいけそうね!」


「あたいもじぶんのちからをためしてみたいな!つよさをみせつけるのもひーろーのつとめだぜ!」


 みんなやる気だね···。う〜ん···、ボクの判断で出場しちゃっていいのかなぁ〜?フユとナツに確認した方が···、って思ってると、ナナはポスターに書いてあったとある文字・・・・・を凝視し、そして···、



「あたしが許すわ!出るからには優勝よ!」


「「「「おーー!」」」」


「···ナナ?もしかして優勝賞金狙い?」


「そうよ!あのバカのせいで100万ジール損してるんだから、これで取り戻すわよ!」


「···その考え方ってリオと同じなんだけど?」



 しかもナナじゃなくて孫たちが稼ぐんだよ···?ボクとしては保護者としてどうなの?って思うけどね。まぁ、勝ってから考えたらいいか。



 昼からはコロシアムに向かった。今日の午後3時までに申し込まないといけないからだ。


 コロシアムに着くと、結構人数がいたね。見るからに強そうな人がいっぱいだわ···。


 申し込み受付に行くと、受付の人がビックリしたよ。



「えっ!?親御さんが出るんじゃなくってちびっ子たちが出るの!?」


「そうだぜ!ちっちゃいからってゆだんするといたいめみるぞ!」


「フーたちはきたえてるからね〜!」


「あたしはまほうつかうからだいじょうぶよ」


「あたいはちゅよい・・・・やつにあいにきた!」


「そ、そうかい···。親御さんがいいのなら受け付けるよ」



 まぁね。5〜6歳のちびっ子が申込むなんて思いつかないよね。いくら年齢制限ないって言ってもね。


 ここの大会は、やっぱり隣国で戦争が始まるかもしれないから、強いヤツを手っ取り早くかき集める目的なんだろうね。


 さて、申込書に書かれていたルールをここで紹介しておくね。



・年齢制限、武器の制限なし

・魔法も使用可(著しい設備損壊や、観客や審判を巻き込むような魔法は禁止)

※試合開始前に事前詠唱して準備も禁止。

・場外や気絶、降参したら負け

リング上で死亡・・・・・・・した場合は即失格で牢屋行き

・制限時間は10分で、超えた場合は判定により勝者を決める

・本戦では賭けの対象になるが出場選手関係者は賭けれない



 うん、実戦向きな形式だね。武器使用可でも殺してしまってはダメっていうのはかなり難易度が高いわ。どちらかと言えば殺してしまう方が簡単だからね。


 つまり『加減ができる人』、『相手を屈服させる能力』を見られるって事だね。これについてはうちの孫たちは得意な方かな?


 最後の賭けの対象は場所柄仕方ないよね。関係者も禁止って八百長対策だね。そうじゃないとリオがいたら絶対に孫に全額賭けちゃうだろうしね。



 申込みも済んで、ホテルに戻ったよ。まだリオの部屋には行かずに、ボクたちの部屋で作戦会議をすることにしたんだ。



「じゃあ、さっき書いてあったルールに追加して、みんなに守ってもらう事を言うから、よ〜く聞いてね」


「「「「はーーい!」」」」


「まずはモンドくんとフーちゃんはトランスと共有は禁止ね」


「あ〜、それはそうだよな〜」


「やっちゃったらつまんないよね〜」



 良かったよ。ちゃんと弁えてるね!龍脈と共有したトランスなんてチートの極みだからね。



「次に武器はみんなどうするの?」


「おれはまりょくけんでけんかやりでたたかうぜ!」


「フーはまりょくけん!たんけんにするかも〜!」


「あたしはまほうメインでやるわ!」


「あたいはじーじのたいじゅつとまほうだな!」


「了解。それでいいよ。あとは相手の実力に合わせて戦うこと。でないとみんな強すぎるから、ヘタすると命に関わってしまうからね」


「「「「はーーい!」」」」


「そうそう!みんなには試合をする間はこの服を必ず着ておいてね」


「じーじ?これってなに~?」


「フーちゃん、これは『アンダーシャツ』って下着なんだ。これを着ていれば一撃で命に係わるケガを防いでくれるよ」


「へ~!すっご~い!ありがと~!」


「じゃあ、明日は10時から予選だから9時にホテルを出て会場に向かおうね〜!」



 さすがに試合で命の危険はないだろうけど、お守り代わりにみんなにはアンダーシャツという下着を着てもらうことにした。


 これは世界を完成した際に世界創世神様から『万能物質インゴット』をまたもらった時に作ったんだよ。某ゲームと同じ仕様の下着で、一撃でHPが0になっても1で耐えきるってものだったからね。


 さらに某龍の玉を探すアニメの戦闘服と同じように伸縮自在にしておいた。ルメちゃんとアトラちゃんは竜モードになるかもしれないからね。あのアニメみたいにぴっちりしてないけど。


 さて、ではそろそろお仕置き中のリオを見に行こう。大人しくしてるかな?


 リオの部屋に入ると···、ちゃんと縛られたまま床に転がってたよ。···寝てたわ。



「う〜〜···う〜〜···」



 猿ぐつわされてるからいびきがこもって聞こえてるわ···。とりあえず外すか···。


 ナナと協力して猿ぐつわとロープを解いてあげた。するとリオは起きたよ。



「おー、お帰りー。大人しくしといたぞー。ちょっとトイレに行かせてくれー」


「はいはい、どうぞ」



 ナナがそっけなく答えてリオはトイレに行った。半日も身動き取れなかったらそうなるよね。


 そして落ち着いたところでリオに格闘技大会の話をしておいたよ。



「王国の時よりかなり厳しいルールだなー」


「まぁ、命を取らずに勝利って難しいからね。実力を見るにはいいんじゃないかな?」


「え?オレが言ってるのはそこじゃないぞー?」


「えっ?どういう事?」


「孫たちに賭けられないなんて酷すぎるぞー!絶対に勝つとわかってるのにー!」


「アンタね!?ちっとも反省してないでしょ!?どうして縛られてたかわかってんのーー!?」


「でもぉー···」


「アンタはあたしと一緒に観戦するのよ!変な動きしたら···、次はどうなるかわかってるわよね?」


「わ、わかったぞー···」



 う〜ん···。ここに来たのがまずかったかなぁ〜?ちょっとボク自身も後悔してきたよ···。

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