第2章 〇〇〇にハマるリオと孫たちの格闘技大会

2-1.首都ビオに着いたよ〜!

  グロー歴523年8月10日 晴れ


「やっとついたな〜!」


「あるいてたびするのた〜のし〜!」


「ちょっとつかれたわ···」


「あたいも···。もっとたいりょくつけないとひーろーになれないぞ···」



 コリー街道にあった『首都ビオ あと5km』の看板を見て、孫たちは嬉しそうだったよ。さすがにまだまだ幼いルメちゃんとアトラちゃんにはキツかったかな?でも、今でこそ弱音を言ってるけど、道中は言わなかったから頑張ってたんだね!それだけでも十分に偉いよ!



「みんなお疲れさま。もうちょっとだけどここでいったん休憩しようね〜」


「えっ!?もうすぐなのにきゅーけーするのか!?」


「そうだよ。この先に街に入る審査があるけど、長時間待たされることがあるからね。少し休憩してからの方が楽でいいよ」


「そうなんだ〜。じゃあ、きょうはフーがおちゃをいれるよ〜!」


「おっ!?ナツ直伝のお茶かな?」


「じーじ、ちがうの〜!フーオリジナルだよ〜」


「それは楽しみだね〜!」



 という事でフーちゃんがお茶を淹れてくれることになったよ。ナツの店ではまだフーちゃんに調理は任されてないけど、それでも休日にちょっとだけ練習してるんだって。


 ナツが審査するから相当厳しいらしいね。でも失敗作はヨウくんが喜んで食べてるらしいよ。


 そのせいか、フーちゃんの手つきは慣れたものだよ。テキパキと準備して全員分のお茶が淹れられたよ。



「は〜い!おまたせしました〜!フーとくせいのオリジナルおちゃだよ〜!」


「えっ···!?こ、これは···」


「おー、これはお茶···、なのかー?」


「なんで青色・・なのかしら···?」



 そう、ボクもリオもナナも絶句したのは色だ。真っ青なお茶なんだよ···。青って食欲減退する色なんだよ···。ハーブティーとかはこういう色もあるけどね。サイダーとかブルーハワイとかもあるんだけど···。



「と、とりあえずいただきます···。あれ?爽やかな感じがするよ?」


「どれどれー?おー!?スカッとするぞー!」


「あらホント!色に騙されちゃいけないわね〜!」


「···ん。···いける」


「フーって料理うまいんだなぁ〜」


「「「おいしー!」」」


「えへへ!おうとのおきにいりのきっさてんでおしえてもらったの〜!」


「そうなんだね〜。ごちそうさまでした」



 ハルもレオも大絶賛だね!


 う〜ん···、フーちゃんも将来は飲食店やるのかなぁ〜?ナツの後継ぎになるかもね〜。



 さて、1時間ほどのんびりしてから王都の門に向かった。そんなに並んでないね。意外と空いてるので、待ち時間は15分くらいだったよ。



「ようこそ、ビオへ!え〜っと、皆さんは御一行さんかな?」


「ええ、そうです。ボルタニア大陸から来たんですよ」


「それはまた遠いところから来たね〜。目的は観光かい?」


「ええ。1週間ぐらいの予定です」


「その次はどこへ行く予定なんだい?」


「まだ決めてないですけど···?」


「そうかい。···悪い事言わないから、今回はここで滞在したら帰ったほうがいいよ」


「えっ!?なにかあるんですか?」


「どうもマクス帝国が戦争を企んでいるというウワサがあるんだよ···。まだ始まっちゃいないけど、ここから先に進めば巻き込まれる可能性があるんだ。一応渡航延期勧告として情報提供しているんだが、禁止まではしてないから止めはしないけど、オススメはしないよ」


「そうなんですね···。ありがとうございます。参考にさせていただきますね」


「まぁ、うちの首都には娯楽が多いからここだけでも十分満足できるよ。ゆっくり楽しんでいってくれ」



 戦争か···。ムーオを送還した時にエレさんとも話したけど、やっぱり外からの脅威がなくなったら戦争をやっちゃうんだなぁ〜。


 まぁ、今のボクたちには止める手段はないからね。『君子危うきに近寄らず』って言うし、今回はここまでかなぁ〜?


 ···そう、この時のボクはこれがフラグだったなんて思いもつかなかったんだよ。



 さて、審査を無事に終えてボクたちは中に入ったんだ。


 かなり栄えているね。どうもここは交通の要衝らしい。ボクたちのように旅をしている人が多いね。もちろん行商人も多いよ。荷馬車が頻繁に行き交っている。


 道もかなり広めになってて、元の世界で言う片側3車線ぐらいあるよ。ここは平坦地がほとんどだからゆったりとした土地の使い方をしているようだ。


 さて、ボクたちは乗合馬車があったので、それに乗せてもらうことにした。門からは主要箇所には公共交通機関として整備されているようだね。


 とりあえず中心部行きの馬車があったので、それに乗った。


 馬車の中は小型バスみたいな感じで、1列+2列の座席だったね。6列だから18人が着席定員だね。ボクたちだけで半分埋まっちゃったよ。でも、他には3人しか乗ってないからいいか!



「おぉ〜!?けっこうゆれがすごいぞ〜!?」


「はじめてのったけど、こんなにゆれるんだね〜!」


「あたしはきぶんわるくなってきちゃった···」


「あたいも···。とんでるほうがまだいい···」



 モンドくんとフーちゃんはこの揺れを楽しみ、ルメちゃんとアトラちゃんは酔ってしまったようだ···。ボクも最初は酔ってしまったなぁ〜。



「ルメちゃん、アトラちゃん。身体強化したらちょっとはマシだよ」


「···あっ、ホントだ!」


「しんたいきょうかってこんなこうかもあるんだなぁ〜」



 さて、馬車は中心部にやってきた。大きな商店がたくさんあって、どこも賑わってるね〜!


 そんな中にホテルを見つけた。結構派手だったからすぐに気づいたよ。馬車が止まったら行ってみるか!


 馬車はターミナルに到着した。ここはテニスラケットの形をしているね。近代的な作りをしているよ。さあ!宿に行ってみるか!



 そうしてさっき通り過ぎた宿に到着した。かなり大きいから空いてるでしょ。


 中は広々としたロビーにレストランがあったね。フロントのカウンターの数も多いよ。さて、手続きしようか!



「すいませ〜ん。2家族9人なんですけど1週間ぐらい空いてますか?」


「いらっしゃいませ。ファミリータイプの部屋でよろしければ空いてますよ」


「じゃあお願いします」


「かしこまりました。もし早めにアウトされるのでしたらお早めに申し出てください。日割り計算で払い戻しいたしますよ」


「わかりました」



 という事で、無事に部屋をゲットした。かなり安かったなぁ。1週間で30000ジールなんだよ。


 部屋も立派だったね。なんでこんなに安いんだろうね?その謎の答えは意外にも部屋の中にあったチラシだった。



「娯楽ってカジノの事だったんだなぁ〜」


「···カジノ?」


「お金を賭けてゲームをするんだよ。勝ったら他に賭けてた人のお金が自分のものになるんだよ。負けたら賭けたお金は取られちゃうけどね」


「へぇ〜、じいちゃん!おもしろそうだな!」


「フーはちょっとおかねとられるのはなぁ〜」


「フーちゃんの言う通りだよ。これってあんまりのめり込むと借金しちゃうからね。だから子どもは入れないはずだと思うけどね」


「え〜!?そうなのかぁ〜!?」



 まぁ、カジノなんて大人の『遊び』だからね。これはちょっと教えてあげられないなぁ〜。

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