1-14.リオ、思いっきり怒られる!

「この近辺にいないとなると、川に流されちゃったかもしれないなぁ〜」


「え〜〜!?いくらじーじでもまずくないか〜!?」


「まぁ、アトラちゃんが心配するのもわかるけどね。とりあえずテント周辺にいないのは間違いないから、テントを片付けてから川沿いを中心に探すとするか」


「···じゃ、片付けるね」


「ありがとう、ハル。ナナも片付けしようか」


「そうね···。まぁ、生きてるだろうけど、リオの顔見たら思いっきり殴りたくなってきたわ!」


「ちょ、ちょっと···。孫たちがいるんだからあんまり過激なのは···」


「大丈夫よ!ルメもアトラも躊躇なく・・・・寝ているリオを攻撃できるからね!」


「それもどうかと思うけど···」



 本格的にリオを捜索するために、ボクたちはテントを片付け始めた。後始末をして、さあ!探すぞ〜!と思っていたところ···、



「おーーい!!今帰ったぞーー!!」


「リオ!?」



 なんと!?リオが飛んで戻ってきたよ!


 あれ···?誰か乗ってないかい?


 そう思ってるとリオはボクたちの前に着陸して人型に戻ったよ。乗ってたのは以前にボクに勝負を挑んできた悪神3人だったよ···。いったいどういう事だ?



「悪い悪いー!どうも寝ぼけて川に落っこちて流されたみたいでなー。コイツらに助けてもらったんだぞー」



 リオが釈明しているけど、そんな姿を見たナナは無表情でスタスタとリオの前に行き、そして···、


 ドゴォッ!!



「ゲフゥ!?」



 ナナは思いっきりリオのみぞおちに愛の・・全力ぱーんち!をくらわせたよ!?



「···アンタね?あたしたちがどれだけ心配したと思ってるのよ?」


「ナ、ナナ?」


「アンタが寝相悪いのはわかってるけど、今回はさすがに度が過ぎるわよ?」


「そ、それは〜···」


「流されてるところを助けてもらえなかったら死んだかもしれないのよ!?アキと違って、アンタは蘇生できないんだからね!!」


「お、おう···。すまんかったー···」


「はぁ~〜〜···、反省してもまたやらかすんでしょうね。今日からは縛らせてもらうわよ」


「えーー!?」



 そういえば以前に見せてもらったリオの取扱説明書によると、縛り方まで書いてあってボクはドン引きしたんだったよ···。それをついにやるんだね···。


 しかし···、よりによってリオを助けたのがこの3人組かよ···。どんな難癖つけられるんだろう?やっぱり神の力の核になっちゃうかなぁ〜?



「あの〜、うちのリオがお世話になりました。ありがとうございました」


「いや···、謝罪するなら神の力の核をくれ!」


「···『同情するなら金をくれ!』のノリで来たかぁ〜。どうしようかなぁ〜?」


「アキ?核以外で謝礼しとけ。それなら取り返しがきくからな」


「レオの言うことももっともなんだよなぁ〜。じゃあ、あなたたちには謝礼としてGPをあげるよ。この方が融通効くでしょ?」


「ありがたいっす!元の世界に戻る分だけじゃどうにもできなかったっす!」


「なんで帰らないのさ···?ボクは核を渡す気はないよ?」


「もうどうしようもないからよ。1からやり直してもいつまでたっても完成度が上がらないんですもの」


「そんな簡単に上手くいくわけないでしょ。ボクだって何度も試行錯誤して今の状態なんだもん」


「それは上手くいったもののエゴだ。ワシらのように上手くいかないのがほとんどなのだぞ?」


「だからといって奪っていい理由にはならんでしょ?今回はリオを助けてくれたから特別に援助するけど···、次にまた狙ってきたら今度は命がないと思ってね···」


「うっ···!?」


「レオ、この3人に1000GPずつ渡してあげて」


「アキ!?さすがに多すぎるぞ!?」


「いや、これでいいよ。この程度・・・・、また稼げばいいからね」


「···オレは止めたからな。どうなっても知らないぞ?」


「レオが思ってるような事にはならないよ。···もしそうなったら、責任持って『ワールド・エクリプス』を発動させるから」



 レオは渋々GPの移譲手続きをしてくれたよ。まぁ、これぐらいあれば計画的に時間かけてリフォームしたら大丈夫だと思うんだよ。本当にどうしようもなくて自分たちが神を辞めるって言うなら、『ワールド・エクリプス』を発動させて乗っ取らせてもらうだけだしね。



「本当にGPもらえたぞ···」


「多少はなんとかなるかもしれないっす!」


「助けたかいがあったわね〜!」


「もう元の世界に帰りな。もし行き詰まったらアドバイスしてやるよ」


「そうさせてもらおうか!」


「恩に着るっす!」


「それじゃあ、私たちはこれで失礼するわね」



 悪神3人組は去っていったよ。···さて、ここからはボクが怒っていい時間だよね?



「さて、リオ···。少し···、頭冷やそうか···」


「ア、アキ···!?」


「ナナに叱られて反省してるとは思うけどね···。なんでよりにもよってあの3人組に助けられるのかなぁ〜?」


「ホント!ごめんなー!!オレだって好きで川に落ちたんじゃないんだぞー!?」


「だとしてもだよ···。おかげでボクのGPを渡すハメになっちゃったし···」


「でも、渡す量はアキが決めてたけどー?」


「黙って聞く!!」


「はいぃーー!!」


「じゃあ、リオには明日まで『まずい』保存食しか食べれない刑を言い渡す」


「そ、そんなー!?アキのうまい料理が食えないのかーー!?」



 この世の絶望みたいな雰囲気を出してるリオ。ただ、レオとしては不服のようだった。



「アキ?ちょっと甘すぎないか?」


「レオ、これはリオにとって『死刑』に匹敵するんだよ。こうかはばつぐんだ」


「そ、そうなのか···」


「ボクのおいしい料理を目の前にしてるのに食べられずに1番まずい保存食しか食べれないんだ···。食いしん坊さんのリオにとっては絶望なんだよ···」


「そう聞くと確かに絶望だな···」


「さて、そろそろ出発しようか。次の宿場町まで距離があるからね。みんなは準備できてる?」


「「「「おーー!!」」」」



 という事で旅は再開したよ。もちろん、リオの昼食はおあずけ状態で保存食を食べてもらった。ボクたちが食べてるおいしい料理を、血の涙を流しながら悔しそうに保存食をマジメに食べてたよ。


 そして宿場町に到着しても、夕食の際に酒場にはリオの姿はなかった。部屋で保存食を食べさせてるからね。さすがに注文もしないで保存食食べさせてたら営業妨害だしね!


 この2日後、ボクたちは一つ目の目的地であるサバール王国の首都ビオにたどり着いたんだ。でも···、ここでもいろいろとあったんだよね。



 第1章   完




『ははは!リオパパは相変わらずだなぁ~。どちらかと言えばパパがトラブル体質じゃなくなっちゃった分だけリオパパが目立っちゃってるんだろうけどね。ただ、パパは別の意味で狙われるようになっちゃったんだよね···。今回はおとなしいほうだったけど、今後はピンチになっちゃう事もあるんだよなぁ~』

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