1-13.リオ、行方不明になる!?

  グロー歴523年8月8日 晴れ


 おはよう!今日は台風一過の気持ちいい晴天だよ!


 早朝にも関わらず、ボクたちは起きた。



「···おはよ、アキ」


「おはよう、ハル。ゆっくり眠れた?」


「···もち。···アキと一緒だからね」


「ハルさん···、朝からそんな恥ずかしい事言わないでよぉ〜。モンドくんとフーちゃんもいるんだから〜」


「···?···事実言っちゃいけない?」


「なおさら恥ずかしいから!」


「じーちゃん···?あさからげんきだな〜」


「おはよ〜、じーじ、ばーば。え〜っと···、『きのうはおたのしみでしたね〜!?』っていうんだっけ?」


「フーちゃん!?どこでそんな言葉覚えたの!?」


「えへへ!わすれちゃった〜!」



 ウソだな!絶対に常連さんから教えてもらったな!?ナツやヨウくんは言わないだろうからね!


 はぁ~、朝から大騒ぎしちゃって疲れたよ···。朝食作ってゆっくりしたら出発しようか。


 ボクが朝食を外で作り出すと、モンドくんとフーちゃんは早朝ランニングに出かけたよ。日課としてやってるみたいだね。フユとナツもやってたなぁ〜。今でもやってるらしいね。


 その後、リオのテントからルメちゃんとアトラちゃんが出てきたよ。



「おはよ〜、アキじーちゃん!」


「おはよ!アキじーじ!なんかおいしそうなにおいがするぜ!」


「二人ともおはよう。もうちょっとしたらできるからね」


「じゃあ、それまでたいそうしておくわ」


「あたいも!ひーろーはいつでもうごけるようになってないとな!」



 そう言って二人とも体操とストレッチを始めた。うん、非常に健康的だね!···誰かさんの孫とは思えないほどしっかりしてるよ。反面教師になっちゃってるのか?


 しばらくしてナナも起きてきたよ。



「ふわぁ〜〜。おはよう、アキ。いい天気になったわね〜」


「おはよう、ナナ。もうすぐしたら朝食できるよ」


「ありがとね〜!アキのキャンプの朝食は久しぶりね〜!」


「ははは、大したものじゃないけどね。リオはいつも通り?」


「えっ?テントにいないわよ?起きてるんじゃないの?」


「···え?ボク、起きてから見てないけど?」


「···寝ぼけてどこか行ったわね。しょうがないわね〜!あたし、探してくるわ」


「気をつけてね」



 どうもリオは寝ぼけてテントを出てしまったようだね。まったく世話が焼けるなぁ〜。昨日はちゃんと起きてくれたのにね。


 とりあえず朝食ができたので、先に孫たちから食べてもらおう。



「「「「いっただっきまーす!!」」」」


「うんめ〜!」


「これってママのあさごはんににてる〜!おいし〜!」


「おそとでたべるごはんっておいしいわね〜!」


「さいこうだぜ〜!」



 孫たちは大絶賛だね!ボクとハルもいただこう。ナナはまだ帰ってこないね。どこまで探しに行ったんだろう?


 そう思ってたらナナが戻ってきた。リオの姿はないけど···、どうしたんだろう?



「アキ、リオが見当たらないわ!ホント、アイツどこ行ったのかしら!?」


「ちょっと電話してみるね···。呼び出しはするけど出ないなぁ〜。ナナ?もしかしてリオのスマホって無限収納カバンに入ってない?」


「ちょっと待ってね···。あっ···、あるわ···」


「紛失したら無限収納カバンに戻る仕掛けだから···、完全に迷子になっちゃったなぁ〜。とりあえずナナも朝食食べて。終わったらみんなで捜索しよう!」


「そうするしかなさそうね···」



 う〜ん···、寝ぼけて行方不明になるなんて思いもしなかったなぁ〜。徘徊グセのある老人じゃああるまいし···、って、リオもおじいちゃんになってるからあながちそうでも···。


 でも、ドラゴン族なんだからそこまで年寄りにはなってないと思うんだけどね。


 もしかして、近くにある川に流されたんじゃないよね?台風で増水してるから離れた場所でキャンプしてたんだけど···。




 ボクがいた場所から離れたところの川では···。この前ボクがこてんぱんにしてやった悪神3人組のダイブ、ナブラ、ローテがいたんだ。



「クソッタレ!まさか嵐がやってくるとは思わなんだぞ!?」


「運が悪かったっすね···」


「お金ないし、帰るギリギリのGPしか残ってないし···。本気でもう帰ろうかしら?」


「そんなわけにはいかんのだ!戻ったところでどうにもならんし···」


「オレっちもそうっすよ。戻って立て直しなんてできないっすよ」


「じゃあ、とりあえずなんとかお金を工面して、アキをなんとかして倒さないと!」



 そんな事を言いあって増水した川の橋を渡ってると···、



「ん?なにか流れてきたぞ?」


「大きいっすね。流木···、にしては色が薄いっすね」


「人っぽいわよ?流されてるのかしら?」


「いくらワシらが異世界の神であっても、助ける余力はないぞ?」


「流されてる人には申し訳ないっすけどね」


「ご愁傷さま。助ける義理も義務もないしね〜」



 そう、増水して激流になっている川を、どんぶらこ〜、どんぶらこ〜、ではなくて、濁流にもみくちゃにされつつ流されていたのはリオだったんだ!


 そんなリオを橋の上で見届ける3悪神。しかし!リオは運が強いのか、川岸にあった流木の先端に引っかかって流れのおとなしい場所へ流れ着いたんだ。



「あら?川岸に打ち上げられたわね」


「悪運が強いっすね。助けるっすか?」


「おっ!?そうだ!助けて恩を売って金をもらおう!そうすれば多少は凌げるぞ!」


「そうしますか」



 そうして流れ着いたリオを3人協力して引き上げたんだよ。


 引き上げてからリオをまじまじと見た3人はあることに気づいたよ。



「おい?コイツ、見たことないか?」


「あっ!?コイツはアキのそばにいたヒューマンフォームのドラゴンっすよ!」


「なんでこんな事になってるのかしら?もしかして、アキたちも流された···?」


「そ、それはマズいぞ!?核を奪えなくなるではないか!?」


「そうっすよ!奪う前に死なれたら創世神が核を総取りしちゃうっすよ!?」


「とりあえず状況を確認しましょ!ホラ!起きなさい!」


「う〜ん···、ムニャムニャ···」


「ローテ?コイツ···、寝てるのか?」


「濁流に流されてるのに寝たまんまだなんて、とんでもないヤツっすね」


「コラ!起きなさい!!起きないと私たちも困るのよ!!」



 ローテが往復ビンタでリオをひっぱたくとリオはやっと目覚めたんだ。



「···ん~~?痛いぞー。ナナー、今日も荒っぽく起こすなよー」


「コイツ、まだ寝ぼけてるな。では一発···」



 バキッ!!



「いってーーー!?な、なにするだーー!?」


「やっと起きたっすね」


「へっ···?えっ···!?こ、ここはどこだー!?」


「ここは川岸よ。アンタ、あの濁流に流されてたのよ」


「えーー!?い、いつの間にーー!?っていうか、お前らはー!?」


「先日アキに敗れた神だ。川岸にお前が流れ着いていたから拾ったんだが?」


「そ、そうかー。助かったぞー。ありがとなー」


「どうして流されてたっすか?」


「覚えてないぞー?寝て起きたらここにいたんだぞー?」


「って事は寝ぼけて川に近づいて流されたのね···。とんでもないドジだわ···」


「そ、そうだーー!早く戻らないとアキとナナに叱られるぞーー!?」


「ちょっと待ったーーっす!!」


「なんだよー!?止めるなー!」


「助けた謝礼をもらわないとな!タダで助けるわけないだろ!?」


「そ、それもそうかー。あー、これはアキにものすごく怒られるなぁー」



 こうしてリオは3悪神を引き連れて戻ろうとしたんだよ···。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る