1-12.土壇場での魔法教室
「キミたち!助かったよ···。まさかここまで被害が出る嵐になるとは思わなかったよ···」
「お役に立てて良かったですよ。でも、まだまだひどくなりますから。2階の屋根が飛ばされたので、建物自体が崩れる可能性も可能性もありますから」
「しかし、この大荒れの中で避難できんぞ···。どうしたものか···」
宿のおっちゃんにお礼を言われたけど、ボクが今言った通り建物が倒壊する可能性が高まってる。今から避難も難しいし、もうすぐしたら1階も雨漏りし始めるね。2階の床って防水施工なんてしてないだろうからね。
よし!建物をバリアで囲ってしまおう!ちょっと魔力量が厳しいかもしれないけどね。
「リオ、この建物全部バリアで覆える?」
「できるけど、長くはもたないぞー?」
「そこは交代でやるって事で」
「オレとアキじゃキツイぞー?」
「孫たちにも協力してもらおう!みんなはバリアって使える?」
「おれはやったことないな〜」
「フーも」
「あたしもまだね〜」
「あたいも。でも、こういうときこそひーろーのでばんだな!」
「じゃあ、今からリオがやってみせるからね。これをマネしてみよう。リオ、お願い」
「おう!まずは『対象を覆う』ってイメージするんだぞー。今回はこの建物だなー。そして、『何から守るのか?』をイメージするんだぞー。今回は雨と風だなー。すると···、こうなるぞー!」
リオがバリアを展開し始めた。黄緑色に光る幕みたいなものが建物の周囲を囲い、雨風は感じなくなったね!
「「「「お〜〜!?」」」」
「よーし!このバリアを見て感じ取ったなー?じゃー、あとは実践あるのみだぞー!どんどんチャレンジしてみろー!」
「「「「は〜〜い!」」」」
孫たちがそれぞれ自分のやり方でリオのバリアを再現しようと努力している。その様子をリオはバリアを展開しつつ、指導していたよ。
「ある程度イメージできたらやってみろー。最初は魔力量をバカ食いするけど、感覚が掴めたら維持する魔力量が少しずつ減るからなー。少しずつムダを減らしていくといい魔法になるぞー」
やっぱりリオは教え方が上手いなぁ〜。ルメちゃんが最初に成功した。次にアトラちゃん、フーちゃん、モンドくんの順で成功したよ。
「よーし!じゃー、オレはバリアを解除するからルメからやってみろー。厳しいなら早めに言えよー。交代するからなー」
「は〜い!」
こうしてボクとレオも含めた7人で交代しながらバリアを展開し、嵐が過ぎ去ったのはその日の夕方だった。
風はまだまだ強いけど、雨も止んだのでバリアを解除したよ。ホント、孫たちはよく頑張ったよ〜。
「助かったぜ!ありがとな!」
「いえ、お役に立てて良かったですよ。ただ、この建物だけしかバリアが張れなかったので、他の建物は大丈夫か見てきますね」
「そうしてくれると助かるよ」
というわけでもう一仕事しておこう。
他の商店はやっぱり一部壊れてるね。でも中にいた人は無事だったから良かったよ。
さて、こうなると宿の部屋が少なくなってしまうんだよ。まぁ、うちはキャンプすればいいので、ボクたちが泊まってた部屋は引き払っておいたよ。気を使われちゃうだろうから、ここを出てからキャンプしようか!
「何から何まで世話になっちまったなぁ〜。謝礼も返金もいらないなんて···、ホントにいいのかい?」
「ええ、復興は大変ですから。多少の足しにして下さいね」
「ありがとよ!まるでアンタは『神様』のようだぜ!!」
「あはは···、そんなだいそれたものじゃないですよ。通りすがりの旅行者ですって」
「そうは言うがな···、あの嵐から守ったりなんて普通はできんぞ?アンタが『神様』なら説明つくけどな!わっはっは!」
「じゃあ、これでボクたちは失礼しますね」
「気を付けてな!また寄ってくれよ!ありがとな!」
少しずつ暗くなる街道をゆっくりと歩いた。どこかいい場所があればそこでキャンプをするつもりだよ。
「やれやれ···。宿のおっちゃんに危うく神様扱いされそうになったよ」
「まー、アキは『別の世界の神様』ではあるけどなー」
「もう〜、リオ!やめてよ!確かにその通りだけど、ここの神様はエレさんなんだからね!」
「当の本人はとっくに神様辞めて、今は
「レオもそのへんにしときなよ。エレさんだって苦労してこのエーレタニアを完成させたんだから」
そんな軽口を叩きながら、ちょっとした広いところがあったので、ここでキャンプをすることにしたんだよ。
「じゃあ、今日はここをキャンプ地とする〜!」
「おー!って、これも懐かしいなー!」
「じいちゃん?これってなんのかけごえ?」
「モンドくん。これはね、ボクの元の世界でキャンプをやる時にいう言葉なんだよ」
「へー!そうなんだな!」
「じゃあ、みんなでテントを張ろうね!今日は2つ張るからね~!」
テントを張るのも久しぶりだなぁ~!孫たちは設置が完了したテントを見ておおはしゃぎだよ。
「へぇ~!これがテントのなかなんだな~。やっぱりちょっとせまいな」
「ねるだけってことなのね!フーのうちみたいないえをもちはこびできないもんね~」
「テントっていいわね~!せまいけど、なんかワクワクするわ!」
「あたいは『ひみつきち』ってかんじがしていいな!」
「じゃあ、これでテント設営は完了だから、次は夕食だね。本当は焚火を
「「「「わ~い!!」」」」
ははは!やっぱりみんなお肉大好きだよね~!マグで買い込んだ海産物も使おうかな?孫たちにも食材を串にさす作業を手伝ってもらって、ボクが焼きだすといいにおいがしてきたよ!ちなみに食材はフーちゃんに切ってもらっている。
「「「「じゅるり···」」」」
「ちょっとみんな?まだ焼けてないからね。もうちょっとしたらこんがりと上手に焼けるからね」
「「「「は~い!」」」」
まぁね?孫たちは慣れないバリアを張るって作業をやったわけだからおなか空いてるよね。最優先で食べてもらおう!
「おまたせ~!熱いから気を付けて食べてね~!」
「「「「いたただきまーす!!」」」」
「うんめぇーー!」
「おそとでたべるとおいしいね~!」
「あちち!でもおいし~!」
「ひーろーとしてがんばったあとのメシはうまいぜ~!」
アトラちゃん···。なんかおっさんくさいよ?そのセリフは···。女の子なのにどうしてこうなった?どっちかといえば双子のロフィくんの方がおとなしいなぁ~。
そしてバーベキュー大会が終了して寝ることにした。テントはそんなに大きくないから、中では川の字になって寝るよ。
ちなみにレオはスマホの中で寝るってさ。『オレ一人いないだけでも少しは広く感じるだろ?』だって。そんなの気にしなくてもいいのにね。
「それじゃ、ちょっと狭いけどゆっくり寝てね。おやすみ~」
「「おやすみなさ~い」」
「ハルもお疲れ様」
「···ん、アキも。おやすみ」
今日は大変な1日だったね。自然災害だからいたしかたないけど、みんな無事でよかったね。明日も頑張って旅をしようね~!おやすみなさ~い!
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