1-2.時差
「やあ、ようこそ!マグへ!今日は買い物かい!?」
「こんにちは。ボクたち、ボルタニア大陸から
「···えっ!?今着いたって···。港は反対側だし、ターミナルで審査やるはずだけど?」
「あぁ、すいません。ボクたち、このリオとナナに飛んでもらって大陸を渡ったんですよ」
「えっ!?も、もしかして最近有名な『青竜高速特急便』さんかい!?」
「あぁ〜、それはこちらのリオとナナの息子さんの会社ですね~」
「なるほどね!便利な世の中になったもんだなぁ〜。船だと10日以上かかるからなぁ~。じゃあ、9人全員それでやって来たって事だね」
「まぁ、そうなりますね」
「よしっ!じゃあ通っていいよ〜。ゆっくりくつろいでくれよな〜!」
マグの港町に着いて、ボクたちは陸側の門で審査を受けたんだ。そりゃ、ボルタニア大陸からやって来たら船だと思うよね~。
でも、ケンの会社がかなり有名になってきてるって実感が持てたよ。軌道に乗ったって言ってたし、頑張ったんだなぁ〜。
さて、門をくぐって街中に入った。やっぱり大陸間貿易をしているから人やモノの動きが多いね〜!
エイテ帝国のレイスに似たような雰囲気だけど、大陸が違うと文化も違うから、みんなの格好とかも違うんだよ。外国に来たらこういうところを見るというのもいい勉強になるんだよ。
「さ〜て!疲れたから宿に行こうか!」
「「「「おーー!!」」」」
「長距離飛行は疲れるからなー!ちょっと眠いぞー!」
「アンタは出発直前まで寝てたでしょ!?まぁ、あたしもちょっと疲れたし、早いこと横になりたいわね〜」
リオとナナがそう言いあいつつ、ボクたちは街の中心部にやって来た。噴水もあって非常に広々とした公園のすぐ横にホテルはあったよ。ロケーションはいいね!ここにするか!とりあえず宿の確保は最優先だね!
ホテルに入ってチェックインしようとカウンターに向かうと、行列が出来てた。ここは人気なんだね〜。
そう思ってたら、この行列は実はチェックインの行列じゃなかったんだ···。
「はい、
···えっ?チェックアウト?こんな時間に?連泊してて急用ができちゃったのかな?
そんな事を考えてると、ボクの番になったんだ。
「お待たせしました。カギの返却をお願いしますね〜」
「いや、ボクたちチェックインしたいんですけど···」
「···は?当ホテルは午後3時がチェックインなんですけど?」
「えっ?いや、だからチェックインしたいんですけど?午後3時ですし···」
「あの〜、お客さま?今、
「···え?」
「いや、だから午前10時なんですけど···。もしかしてボルタニア大陸から来られて時間を勘違いされていませんか?」
···あっ!?そうか!『時差』だ!!
そう思ってボクはスマホを見ると、スマホ上では『午後3時』と表示されているんだよ!だからチェックインしようとしたんだけど、
と言うことは、時差5時間って事だよ!まんまロンドンとニューヨークの時差と一緒じゃんか!?
しまったわ〜!海外旅行なんてとんとご無沙汰だったからすっかり忘れてたよ!ボルタニア大陸だと南北に長方形っぽい形だったから時差なんて、日本の根室と与那国島ぐらいしかなかったので意識してなかったわ···。
「すいません···。おっしゃる通り勘違いでした。出直しますね」
「おわかりいただけて良かったです。そういう方がたまにいらっしゃるんですよ。もし本日当ホテルで宿泊されるのでしたら予約を受付いたしますよ?」
「助かります。2家族9人なんです」
「それでしたらファミリータイプの5人部屋2つか、大部屋の10人部屋が空いておりますね」
「じゃあ、大部屋お願いできますか?」
「かしこまりました。何泊ご利用ですか?」
「とりあえず3泊お願いできますか?」
「はい。承りました。当ホテルでは事前払いをお願いしておりますので、こちらの宿帳にご記入いただき、決済をお願いいいたします」
「ありがとうございます」
ホテルの人が気を使って事前チェックインの手続きをしてくれたよ〜!これで部屋は確保したので、チェックインが始まる午後3時にまた来たらいいね!
ロビーのベンチで座ってたみんなに状況を伝えた。
「みんな、ここの時間は今午前10時なんだよ。だからあと5時間待たないと部屋に入れないんだ」
「···へっ!?どういう事だー!?さっぱりわからんぞー!?」
「···遠くに来たから時間が違う?」
「ハルさん···、さすがですわ···。その通り、ボクたちは西へ飛んだから時間に差ができちゃってるんだ。アクロだと今は午後3時なんだけど、ここでは午前10時なんだよ」
「そういえばおひさまはまだみなみじゃなかったわね!」
「おっ!?ルメちゃんの言う通りだよ。だから5時間時間潰してからまた来ようね!」
「5時間って長いぞー!?」
「とりあえず市場行ってみようか?何かおいしいものがあったら食べて、喫茶店かどこかでゆっくり時間を潰そうか」
「「「「おーー!」」」」
というわけで市場にやって来た。まだこっちでは午前だから市場は非常に賑わっているよ〜!
孫たちは市場が初めてだから、大興奮だったよ!
「うわー!こんなでっかいさかな、はじめてみたぞー!」
「フーも!ママがさばいたらなんにんぶんになるかなぁ〜!?」
「おおきいわね〜!アトラだったら、ひとくちでたべられちゃうわね~!」
「そうなってもあたいのひっさつわざで、はらのなかからでてやるぞ〜!たべたことをこうかいさせてやるんだ!」
···いや、ホントにデカいんだよ。体長5m超えてるからね。どうやって運んだんだろう?もちろん買わないけど···、ってフーちゃんが値段交渉しだしたよ!?
「おじさーん!このさかなっておいくらまんジール〜!?」
「おや?かわいいお嬢ちゃん。これは結構高いからお嬢ちゃんのお小遣いじゃあ買えないなぁ〜。パパやママでもムリだと思うよ?」
「だいじょぶ!ママからめずらしいしょくざいあったら『···かいしめろ!』っていわれてるの〜!『おみせのけいひ?』ってやつらしいからだいじょぶなの〜!」
「そうかい!じゃあ50万ジールなんだけどどうだい?」
「たかーい!もっとやすくしてー!」
「おいおい···、これはここに運び込むだけでも大変なもんだよ。値下げはできないなぁ〜」
「じゃあ、ほかにめずらしいしょくざいってある〜?まとめてかうからやすくして〜!」
「そうかい!?じゃあ、これはどうだい!?」
「これはちいさいね〜。めずらしいの〜?」
「めずらしいよ〜!これは深い海の底でしか取れないのさ!珍味でおいしんだよ〜」
「···これはいらない。
「んなっ!?(鮮度を見抜いただとぉ!?)じゃ、じゃあこれはどうだい?」
「おぉ~!これはよさそうだね~!じゃあ、あとはこれとこれとあれで!60まんジールでかうよ〜!あっ!?わすれてた!りょーしゅーしょくださ〜い!あてなは『ハンティング・アイ』でね〜!ぜいむしょのおじさんにおこられるから~!」
「(な、なんでこっちの提示する値段を先に言い当てるんだ!?しかも領収書!?このガキ···、ただ者じゃあないぞ!?)じゃ、じゃあそれで売ろうね。どうやって持って帰るんだい?」
「じーじ!これいれて〜!」
フーちゃんがボクを呼んだ。どうやらナツがお店で使う食材をボクの無限収納カバンに入れて持って帰るんだな···。ナツ···、フーちゃんに仕入れを勉強させるためと珍しい食材を買うために連れてこさせたんだな~。ちゃっかりしてるわ···。
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