第1章 ウェーバー大陸へ

1-1.さ~て!新たな旅にイクゾー!

 ···今日は久しぶりにパパの日記を読もう。


 もう···、パパがあの世へ旅立って7年が経ったね。2年前にママも旅立っちゃったから、今頃はパパとママはのんびり仲良く暮らしてるんじゃないかな?


 ここから読む旅は、おれとナツはついて行ってないんだ。話だけはモンドとフーちゃんから聞いていたんだけど、詳細についてはあんまり知らない部分だね。


 ···ふふっ。この時の旅ではパパたちはどんな事があったんだろうね?




  グロー歴523年8月2日 晴れ


 さあ、やっとこさ旅行に出かけれるよ〜!ボクの孫たちも6歳になってそれなりにしっかりしだしてきたしね。


 今回の旅行メンバーはボクとハル、リオとナナ、そしてボクのナビであるレオ、さらに···、モンドくんとフーちゃん、ルメちゃんとアトラちゃんも行くことになったよ。


 モンドくんとフーちゃんは武者修行兼見識を広めるためだ。フユもナツも『しっかり勉強してきなさい』って送り出してくれたよ。


 ヨウくんだけ『フーがいないと仕事量ハンパないんだが!?』って抵抗したけど、ナツが『···いい加減分身の術を極めろ』ってたしなめてたね···。ヨウくん、ナツには逆らえないからなぁ〜。


 ルメちゃんはリナの7人のお子さんの代表だ。まだ幼すぎるクーちゃんとセイくんを除いてジャンケンして勝ち残ったから一緒に行く権利をゲットしたんだよ。


 アトラちゃんはゴリ押しで決まったみたいだよ。『ちゅよい・・・・やつにあいにいく』って某格闘ゲームのキャッチコピーを、カミながらも連呼してクオンちゃんとロフィくんを諦めさせたみたいだよ···。この子は思いっきりボクの世界のアニメや特撮の沼にどっぷりにハマっちゃってるんだよ···。その中の必殺技を再現すべく、魔法と体を鍛えてるんだよね。


 レオは一応身分証は作っておいた。まぁ、スマホの中にずっといるのも暇だろうからね。神様の業務スマホゲームも13個世界を完成させちゃったから、しばらくお休みをもらったんだ。


 ···もらったというか世界創世神様に断ったが正しいかな〜?



『じゃあ次の空家なんだけど、こ』


『ご褒美いらないんでしばらく休ませていただきます』


『れなんか···、えっ!?や、休む!?ど、どういう事!?』


『言葉の通りです。学園も長期休暇に入るので、そろそろ旅に出たいんですよ。旅行中は神様の業務スマホゲーム出来ないんで』


『そんな事言わずに〜!『期間別空家リフォーム完成数トップ』のアキくんに辞められたら困るんだけど〜!?』


『···辞めるなんて言ってませんけど?旅行終わったらちょっとだけ・・・・・・やりますから。少し休ませてください』


『そ、そうか···。わかった。帰ってきたらまたお願いしたい』


『ええ。その間、エレさんに押し付けたらいい・・・・・・・・と思いますよ』


『おっ!?それもそうだね!じゃあそうさせてもらうよ。ゆっくり楽しんでね〜!』



 ···ホント、いつまで経っても神手不足・・・・なんだな。ゲームクリエイターだって、ゲームが完成してマスターロール(出荷準備に入る状態)が終わったら長期休暇入るんだから、ボクだって同じようにしたいよ。やっぱり神様だからこのあたりの感覚が違うんだろうなぁ〜。できる人に全任せって、元の世界でも危ういブラック企業のやり方そのままだし···。



 さ〜て!それじゃあ、出発だ!


 アクロの町の外にあるリオの訓練場から離陸だ。リオとナナは竜モードになってもらい、分かれて乗った。


 目的地はウェーバー大陸だ!通常の高速飛行で約7時間ってとこだね。元の世界だとニューヨークJFK空港からロンドンヒースロー空港までぐらいだから、大西洋横断する距離だね。


 今回は海に出たら超音速飛行をしてさらに所要時間を短縮して4時間半を予定しているんだ。上空の西風のジェット気流が夏場は弱まるから、向かい風が弱いんだよ。


 それに、長時間のフライトはリオにもナナにも負担が大きいからね。



「よーし!じゃー行くぞー!」


「「「「おーー!!」」」」



 先頭はリオだ。その後ろからナナが離陸した。その後は横並びで高速飛行を開始したよ。



「は〜い!離陸完了したから飲み物サービスするよ~!」


「わ〜い!あたし、オレンジっぽい・・・ジュースがいい!」


「じゃあ、あたいはおちゃでしぶくかっこよくキメるぜ!」


「ははは。はい、ルメちゃん。オレンジっぽい・・・ジュースだよ〜」


「ありがとう!アキじーじ!」


「はい、アトラちゃん。お茶だよ〜。しかしこの歳でそんな事考えるんだなぁ〜」


「ありがとな〜、アキじーちゃん!ホントはこーひーのほうが『ちがいがわかるおとな』らしいんだけど、あれのにがいのはあたいダメなんだ〜」


「···アニメだけでなくCMまで影響受けてるのかぁ〜。って!?スマホのアニメとかにCMないんだけど!?···どこで知ったの?」


「ちっちっち。そんなむかしのことはわすれたぜ」


「···それもどこかで聞いたセリフなんだけど?」



 小さい子は元の世界でもテレビの影響を受けやすいからなぁ〜。ケンのスマホをいじり倒してアニメや特撮を見てるんだろうなぁ〜。



 そんな話をしていると眼下にはピムエム皇国が見えてきた。もうちょっとしたら洋上に出るね!



「おーし!それじゃあ超音速飛行始めるぞー!みんなー、準備はいいかー!?」


「「「いいとも〜!」」」


「あたしもいいわよ〜!」


「よーし!いくぞー!!」



 リオがジェットエンジン魔法に超圧縮した魔力を込めた!すると、一気に加速を始めて···、ドンッ!!って大きな音がした!音速の壁を超えたんだね。ボク自身もこれが初めてなんだよね〜。元の世界で超音速飛行機はシアトルの航空博物館でしか見たことないからね。ものすごく狭かったんだけど、リオの場合は背中の上だから空間が広いし快適だよ〜!


 こうして実際に超音速の世界を体験できるなんて素敵すぎるね〜!!


 そうしてほぼ2時間が過ぎると、水平線上に大陸が見えてきた!高度10000mからだとおよそ360km先だね。現在、対地速度が約3000km/hだから、あと7分でウェーバー大陸上空に着いちゃうね!



「リオ!そろそろ通常の高速飛行に切り替えようか!」


「おう!減速するぞー!」


「あたしも了解よ〜!」



 そうして減速をしつつ、高度もわずかに下げ始めた。速すぎるから、ヘタに角度つけちゃうと墜落しちゃうからね。


 そうして減速して通常の高速飛行に切り替え、高度もさらに下げた。高度100mぐらいまで来たら、固有魔法の飛行に切り替えて街を探してみよう!


 大陸東端を今度は南下していくと、港町が見えてきたよ!もしかすると、あそこがウェーバー大陸とボルタニア大陸を結ぶ貿易港『マグ』かな?



「リオ!あそこの街の外壁沿いに飛んで。門があったらそこで手続きしよう!」


「おうっ!」



 リオは街には入らずに外壁沿いに方向転換し、街道に面した場所にある門の近くに降り立った。



「ふー、久しぶりに長距離飛んだなー」


「あたしもよ。でも、こんな短時間で大陸横断できるとは思ってなかったわ!」


「二人ともお疲れさま!ハルたちもお疲れさま!」


「···ん。景色良かったから飽きなかったよ」


「ちょうおんそくひこうってすげーなー!でも、おれにはむりだろうなー」


「フーも、いつかママみたいにとびたいな〜!」


「ははは!もうちょっと魔力制御がしっかりできてからだね。空を飛ぶのは非常に危険だからね!」


「「はーい!!」」


「···えっ!?アキ!?フユとナツは飛べるのか!?」


「そうだよ、レオ。一応ボクも短時間なら飛べるよ」


「そ、そうなんだ···。後でオレにも教えてくれ!」


「いいよ!レオなら世界一周も楽勝だろうなぁ〜」


「ありがとよ!」



 レオなら簡単に習得しちゃうだろうなぁ〜。

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