第44話:韓信、去っていった4名士の話
“オトナ達”の前で4つの案を姉に
そしてしばらくしてから、その日の朝議は終わりとなった。
なお、4件目の『陳述箱』については、直接国民の声が聞ける為、蝶姫と豊がその案件に着手する事になった。
結果、豊は、『紙・木簡・竹簡の自国製造』の主導、『道路整備』の経過観察、『道路法』を小姉と決め切る事、『陳述箱(ご意見箱)』の運用責任者を、
その日の晩は、大姉が蝶姫と一緒に料理をし、その間は香織が豊の相手をしていた。武芸の稽古は、さすがにまだ身体に負担がかかりすぎるので、歴史に残る武将たちの戦術について、話しをしていた。
香織「かの有名な漢の名将・
豊は興味深そうに聞き入る。武芸の稽古ではなかったから安心しつつ。
香織「う~ん、でも~、弟くんの場合は、背水の陣をマネしない方がいいわね。誰にでも“向き・不向き”があるのよ。弟くんの戦闘スタイルではないわね。そして、もし相手が背水の陣であれば、その時は油断をせず、慎重に対処しないといけないわよ」
豊は思った、
「香織ねーちゃんなら、自分達が背水の陣を敷こうが、相手が背水の陣であろうが、単騎で突っ込み、
と。
初夏の夜の風は意外と寒く、豊の背筋がヒヤリとした。
三日月が西南の空に顔を出している。
大姉と蝶姫が、愛奈に手伝ってもらいながら、食事を
豊は愛奈に「一緒にご飯を食べていってよ~」と言ってみるが、愛奈は「他の者達から
四人で食卓を囲む。肉のついた牛の背骨と
四人は仲良く取り分けあって、食べた。…、たまに香織と豊が煮込まれた骨肉の取り合いで、争い始める。
蝶姫「…(『骨肉の争い』!?)」
大姉「蝶、今日、初参内してどうでした?」
蝶姫「…。女性が多いものなの?ああいう場は?」
大姉「…。お父様がオンナ好きだったから、全国から美女、才女を集めたのよ…」
蝶姫「…。(だからなのかしら?このヒトの子は、あの時に『“綺麗なお姉さん”シリーズ』という言葉を口にしたり、やたらと年上の女性に興味があるのは…。ここの生活環境が影響しているの?)」
大姉「少し前までは、今日名前が上がった
蝶姫は、心配そうに首を縦に振ってうなずく。
大姉「陳羣殿は、世の中をもっと知りたいと言い旅に出た。荀彧殿は、慌ただしい帝都の政治を心配され、皇帝を直接お支えする職を求め、この地を離れ帝都に向かった。荀攸殿は、その後を追うように帝都の
蝶姫「…。名士…。優秀だったの…?」
大姉「えぇ、それはもう。私が幼い頃から、律香と共に、この4人から色々と学んだわ。政治の在り方、軍の動かし方、人を率いる立場とはどんなものなのか、宮中での作法など…、様々なお話をしてくれたわ」
豊「だから、姉上も、律香お姉ちゃんも、物事をよく知っていて、とても賢いんだよ~。いわゆる、『
と、またまた学舎で覚えたばかりの言葉を使ってみた。
大姉「あらあら。おねーちゃんをそんなに褒めて…。今夜はおねーちゃんに何をして欲しいの~?」
少しお酒を飲んでいるせいもあって、姉と絡むのはちょっと大変だと、弟は思った。
一方で、
香織「えぇ~、おねぇちゃんを褒めてくれないの~、弟くんっ!」
と、もう片方の姉もお酒を飲んでいなくても面倒なのに、お酒の力もあり、グイグイと弟に絡んでくる。
豊「ほ、ほら、香織ねーちゃんは、天下一の将軍だから…。だから、だ、大丈夫…」
と、適当に答える。
香織はそれでも満足そうに、うんうんと首を縦に振って、弟の頭をよしよしなでる。
香織「じゃあ~、おねぇちゃんと、お外で~、ふたりっきりで~、さっそく、アレしよっか~。汗水をともに流そうねぇ~」
大姉「ダメよぉ~。豊はおねーちゃんと、ふたりでアレをするのよ~」
弟は左右から二人の酔っぱらった姉達に腕をそれぞれ引っ張られ、身体が再び2つに裂ける感じがした。
蝶姫「…。(大変そうね…。あなた…)」
と、豊の心中を察する事が出来る能力を身に着けた。
豊「う、うん…。でも今日は、先約があるから、ダメ~」
と断る。
大姉&香織「えぇ~、その先約って~?」
すると、豊は蝶姫を見る。蝶姫と目が合うと、二人とも顔が赤くなる。
大姉「なぁんだぁ~、じゃあ、今夜はしょうがない~。明日は、おねーちゃん、頑張っちゃうからね~」
香織「姉上には負けないんだから。弟くんは、おねぇちゃんの方が好きなんだからっ。共にまた
豊「う、うん。前向きに検討させていただきます」
と、またまた覚えたての言葉を使ってみせた。
そんな四人のやり取りを三日月は見つめていた。
その美しい三日月に蝶姫は気づき、三日月を見つめると、三日月はゆっくりと雲に隠れていった…。
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