第42話:蝶姫、参内!
姉の
そういったひと段落ついた頃合いに、
そう、京国宮廷への参内である。
大姉の“
蝶姫は、「この国が好き。この街が好き。ここに住まう者達が好き。何よりも、あの
そして、いよいよ参内するのであった。
“オトナが集まる場”。そう
既に、“オトナ達”は左右に整列し立っており、大姉達が入廷する際には、
大姉は女王の間に座り、小姉はその横に立ち、そして蝶姫はその小姉の横に座った。
“オトナ達”一同が顔を上げ、再び立ち上がる。すると、ザワザワと騒がしくなる。
小姉「姉上の御前である、静まれ」
静まり返る広間。
小姉「今日は、姉上の食客である、蝶姫どのを紹介する。蝶姫どのには、姉上や私の補佐をしていただく」
と言い、蝶姫を立たせ、皆の前で挨拶するように促す。
蝶姫「私は蝶姫。よろしく」
とだけ言い、一礼をする。
すると“オトナ達”は、蝶姫からあふれんばかりの
蝶姫「…。(もう少し“気”を抑えた方が良いわね…)」
そこに、政務殿の外から、スタタタタっと走って来る男の子がいた。そう、豊である。今日が、蝶姫の初参内であると聞き、走って来たのであった。
いつもの様に、“オトナ達”の間をスタタタタっと走り抜け…、しかし一度転び、自力で起き上がっては、その先の階段もテクテクと上り、少し高い場所で振り返って、その“オトナ達”、つまり文官・武官たち50名ほどに向かって、お辞儀をする。すると、文官・武官たちは豊に平伏し、香織たち王族は一礼をして礼を返した。この時は小姉は怒らなかった。
大姉「あらあら。転んじゃって大丈夫かしら?豊」
豊「うん、大丈夫だよ、姉上っ」
と、姉に返答をしてから、再び“オトナ達”に振り返って、話を始めた。
豊「この蝶のおねーちゃんは、姉上の大切なお友達。そして、この国の為に、貴重な時間を費やしてくれて、その才を振るってくれるんだ。でも、まだこの国の事を知らないから、蝶のおねーちゃんの事を助けてあげて欲しいんだ。お願いするね」
と言い、皆に一礼をする。
王子、つまり次期国王となる豊が皆にお願いをし、礼をするのだ。その場にいた“オトナ達”は慌てて、平伏し、「はは~っ」と返事をする。
蝶姫は先ほど座っていた場所に戻る。豊も、蝶姫のところへ行き、蝶姫の
すると、“オトナ達”は一様に「おおぉ!」と驚く。
「普段ならば、大姉さまの所に行くのに、今日は…!?」
「あの二人の距離感…。あの蝶姫という者は、王子から既に信頼を得ている!?」
「しかも先ほど、王子自ら我々に『よろしく頼む』とお願いをされた…」
「蝶姫どのとは、只ならぬ者であろう」
「そう言えば、先日、黄巾との戦場で見た女神さま?天女さま?仙女さま?に似ている…」
などなどと、“オトナ達”が騒ぎ立てる。
それを見かねて、
豊「よろしくね~」
と、蝶姫の膝元から軽やかに“オトナ達”に言うものであるから、“オトナ達”はそれを確信し、改めて「ははーっ!」と返事をしたのであった。
大姉は、「ふふ。やるじゃない。男の子はそうじゃないと。“大切な人”はそうやって全力でまもるものですよ」と心の中で豊に向かって言う。
小姉は、豊の登場とその言動が、この場において想定外に良い方向へ進んだので、ホッとする一面と、豊への評価が少し上がった。
蝶姫は、またここでも“愛おしいヒトの子”と一緒に過ごせると思い。それだけで幸せだった。
こうして、朝議が始められていくのであった。
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