第39話:蝶姫、実家?に帰る
ヒト族は、よく食べ、よく物を作る。そして、
そして、
すると、突風と共にドタンバタンと蓮月殿の扉が慌ただしく開閉する。
まゆ「おっ、お嬢様っ。お急ぎなのか、ゆっくりでいいのか、分かりませぬ…」
蝶姫「まゆ、ちょうどいいところに」
まゆは、服装を整えてから、蝶姫の言葉に耳を傾ける。
蝶姫「ヒト族の日常について調べて来て欲しいの。日常生活…。特に、食事について。お願いできるかしら?」
まゆは、蝶姫の胸元でスヤスヤと眠る
まゆ「お嬢さま?それは、そこにいる
蝶姫「仔犬?」
まゆ「はい。お嬢さまのペットのその仔犬です」」
蝶姫「仔犬ね…。…」
まゆ「…(やばい、怒らせてしまった!?)」
蝶姫「そうね、仔犬のようにかわいいわよね。ふふふ」
まゆは、ホッとして話を進める。。
まゆ「書庫にたしか、ヒト族の実生活に関する最新の資料があったかと。それをご覧になってはいかがでしょうか?」
蝶姫「
まゆ「はい、そうです、お嬢さま。残念ながら、私は、その仔犬が好きではありません。ゆえに、私がその書籍に目を通しても、何も興味が持てず、お嬢さまにお伝えする事が出来なくなります。お嬢さまご自身でお調べになる事をお
蝶姫「…。そうね。たしかに。興味を持つ者が調べ、気付ける情報量とその質は、興味を持たないで調べた場合に比べると、
蝶姫はもう一度、豊の様子を見る。一緒に連れていくのか、迷う。そして空を見る。
蝶姫「
まゆ「では、その仔犬はここに置いていかれるので?」
蝶姫「いいえ、連れていくわ」
まゆ「しかし、向こうではこういう動物には…」
蝶姫「大丈夫。私が“気”をまとえば、短時間なら大丈夫。でも心配だから、この
と、言い、右手で豊に何かをした。
まゆ「(…。そのまま永遠に眠りなさい…仔犬よ…。もしくは、向こうで…あわよくば…、ふふふ)」
蝶姫「??何をニヤニヤしているの?」
まゆ「いいえ、なんでもありません。こほん。では、お嬢さま、行きましょうか?」
蝶姫「えぇ、参りましょうか」
と、胸に抱くそのヒトの子を見つめながら言う。
天の下弦の月は、雲に隠れてその晩は過ごそうとした。
“実家”では、夜にも関わらず、“家の者達”は起きており、口々に何か言う。
「あらあら、お嬢さまったら、珍しくペットをお抱えになっていらしているわ」
「あれは、下等なヒト族の子ではありませぬか…。なんであんなモノを…ふふふ」
「それは、お嬢さまの“気まぐれ”でしょ?精魂喰い尽くして、あとはポイよ」
「あぁ。確かにおいしそうな子ですものね。ふふふ」
「吸い尽くした後であっても、その残骸から余韻を愉しめそうだわぁ」
「お下がりをいただくの?あれ、私も欲しいわ」
「仔犬のような従順なペット奴隷。いいわね~。ふふふ」
「ふふふ、よく“働いて”くれそうね…きゃはは」
「けなげにその腰を振って?ふふっ」
「精が尽き果てるまで?ふふふっ」
「いいえ、尽き果てても。ふふふふっ」
そんな口うるさい“家の者達”を蝶姫は冷ややかに
書庫でまゆに手伝ってもらい、興味深い資料に目を通す。蝶姫は“気”を張っていないと、そのヒトの子がダメになるので、気を付けながら、書物を読む。しかし、そろそろ朝日が昇る時刻となる為、まゆに後片付けを頼み、急いで“実家”をあとにした。
蓮月殿に帰ると、まだ日は暗く、みな寝静まっていた。初夏が近づいてきているとは言え、夜はまだ肌寒い。蝶姫は、大切なヒトの子を肌で温めながら、朝を待った。いや、そのヒトが目覚める時をゆっくりと待つのであった。
そして、寝室の窓から外を見上げる。
油断して顔を出していた下弦の月は、慌ててその姿を再び隠した。
「『胃袋をつかめ…』なのね…」と、つぶやく蝶姫。
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