第30話:蝶姫、秘密を打ち明ける?
春の太陽が顔を出す。
胸元で大事に抱くヒトの子・
そこへ、
大姉「おはよう、蝶。豊はまだ寝ているのね」
蝶姫は、首を縦に振る。
そして、蝶姫はさっそく夕べ考えていた事を大姉に話し始める。
すると途中で、
大姉「話を止めてごめんなさい。かなり重要なお話ゆえ、
と尋ねる。
蝶姫は、首を縦にふる。
大姉は女中を呼び、二人をこちらへ来るように話す。
しばらくして、
蝶姫は、すやすやと眠る大切なヒトの子がまだ起きそうにない事を確認してから、右手をかざして何かをしようとしたが、すぐにやめた。
そして、自身の“身”の事を三人に打ち明けるのであった。
話を聞いた三人は、
小姉は、改めて蝶姫のその
香織は、蝶姫から常に放たれている不思議な“気”に
大姉は、蝶姫の話の一部を、帝都・
大姉「昔、
蝶姫は、首を縦に振る。
大姉「蝶のその性格というか、人格の部分については、あまり無理に考えなくていいじゃないかしら?その時に思ったように話し、やりたいように振舞えば…」
蝶姫は、再び首を縦に振る。
大姉「そして満月の件、わかったわ。…。豊には、『蝶のおねーちゃんは、数日、里帰りをする』と話す程度で留めた方がいいわね、今は」
蝶姫、小姉、香織は、そろって首を縦に振る。
大姉「まあ、いつかは豊に話さないといけない事なのだけれど…。豊の成長過程におけるどこかのタイミングで…、そして蝶のタイミングがそれに合う際に、この満月の事を話す感じかしらね?」
一同、首を縦に振った。
あたたかい春の風が、花々の香りを蓮月殿に届ける。
豊「ふわぁあぁ~っ。おはよー、蝶のおねーちゃん!って、みんな!?姉上たち、いつの間に!?ボ、ボクは大丈夫だから、そんな深刻そうな顔をしなくって平気だからねっ」
蝶姫は、このヒトの子が話を聞いていない様子に
大姉と蝶姫は、互いに
大姉「おはよう、豊。身体の調子はどう?まだ痛むわよね?」
豊「おはよう、姉上っ。う~ん、まだ身体はうまく動かせない感じかな~。でも右腕は・・・(やばばっ、香織ねーちゃんが居るんだった…)。いや、右腕もまだ痛みがひどいかも・・・。(律香お姉ちゃんも居るんだった…、ここはさらに・・・)指も動かせないというか、動かすと痛みが走るんだ…。もうちょっとこのまま安静にしていないとダメかも…」
と、頼りなく答えてみる弟。
大姉「そうね…。しばらくは安静にしないといけないわね。そうそう、蝶のお姉さんは、今日“ご実家”に帰らないといけないんですって。そして数日後にまた来て下さるそうよ」
すると、豊はとても悲しそうな顔をして、
豊「ここのお部屋・・・、気に入らなかったの?」
と、蝶姫の顔を見上げる。
蝶姫は、首をどちらにも振らなかった。
蝶姫「いいえ、ここのお部屋も、この街も、大変気に入ったわ。でも帰らないといけない…(満月の夜が近づいているから…)」
まだ悲し
豊「ご実家は遠いの?どの辺りなの?」
と、尋ねる。
蝶姫は、“天”を指さした。
幼い少年は、お姉さんが指さす先を見上げる。
豊「えっ!?お空!?」
豊「(あぁ、やはりそうか…。そうだよね…)上って事は、地図でいうと北だから、北なんだね」
蝶姫は、とりあえず首を縦に振っておいた。
すると庭先が少し騒がしい事に気づく。
小姉は、部屋の外で騒いでいた女中達に声をかける。どうやら桜の木が1本余っており、後宮のどこに植えるべきか、話し合っていたようだ。すぐに豊は蝶姫に外に出たいとお願いをし、外に出る。
そこには、東の島国から贈られた立派な桜の木が、“おウチ”を探している様子だった。
すぐに、
豊「姉上!この蓮月殿の庭に植えて良い?蝶のおねーちゃんと一緒に植えたい!」
と、一番上の姉におねだりをする。
弟に甘々な姉は、「いいわよ」と即答する。
そして、香織と女中達が桜を庭に植え、最後に蝶姫と豊はその桜の根本に土を被せてあげるのであった。
小さな少年は願った。
豊「この木が、蝶のおねーちゃんの心を満たすように…。さみしくならないように…。そして、いつまでもずっと一緒に…。その先も…」
蝶のおねーちゃんは、首をやさしく、ゆっくりと縦に振る。何度も、何度も。
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