第27話:ふたりの関係…
馬車の中で、ふと先ほどの昔話で気になった事を話し始めた
豊「そう言えば、なんで熊の
豊「ふぅ~ん、なんか難しいんだね。おとな達は・・・。組織というのは・・・。じゃあ、一番上の人も重要な存在だけど、国や組織が安定して成長できるかどうかは二番手次第!っていう感じなんだね。じゃあ、
小姉「わ、わたしをそう褒めたって…。もう…」
と、少し照れる姉。
でもすぐに、
小姉「あっ!!そうやって私をおだてておいて、もしかして、この流れで、『ボク、今日疲れちゃったから、兵法書を読むのは、明日からでもいいよね?』とでも言うつもりだったのでは?」
と疑う。
豊「にゃふっ。にゃんと!?
小姉「もう、何なんですか?その喋り方は?おふざけは良くないですよ!」
蝶姫はクスクスと笑ったが、あえて今回は手助けをしなかった。
豊「そう言えば、香織ねーちゃん。あの時凄かったね、ひとりで悪い熊を全員斬るだなんて・・・。しかも背中のあの5本の槍、それに弓って…。使わなかったじゃん」
と、あの数多くの武器を装備していた姉の姿を思い出しては笑う。
香織「じゃあ、明日から、
弟は笑い声が、泣き声に変わりそうだった・・・。
しかし、
豊「そして、100人の兵士さんが駆け付けた時のあの顔…。驚きというのか…、表情が…、面白かった。忘れられないよ~」
と、笑い直した。
小姉「こらっ。真面目に任務を遂行してくれていた兵士を笑ってはいけませんよ。彼らと一緒に行動していたから、熊の集落に無事に辿り着けたわけですし。実直で真面目に頑張っている人を笑ってはいけませんよ」
豊「…たしカニ。…そうカモ(あれ~、もう言葉が時々変になるのは、にゃぜっ?)」
小姉「だから、変な言葉を使って、遊ばないの!この子ったら、もう~」
蝶姫&大姉「仲が良いのね」
小姉&豊「良くは、な…」
と、それぞれ息ピッタリ合わせて言い合う。
蝶姫「ねぇ、あなた。あそこの数字はなぁに?初めは12で、今は1なの」
豊「ふっ、ふっ、ふっ。蝶のおねーちゃん。よくぞ気づいてくれた。そして、よくぞ聞いてくれた。あれは、十二区画法で区分けされた土地で、土地の番号なんだよ!ボクがパンダ・クマ案件のあとに、姉上に提案したんだ~。えっへん」
蝶姫「なぜ十二に分けたの?」
豊「…。そ、それはぁ~。~」
小姉「当時、我が国では距離の単位として、隣国や遠方の国のものを複数使っていた為、距離の単位が混在していたのです。それをこの子は、距離の単位を統一する為に、北門から
蝶姫「だから農地も、森林・竹林も、とても整備されているのね」
豊「えっへん。そーいう事なのであーる。ボクの功績の1つなのであーる。ふふふ」
小姉「だから、そういうのを自分の口から説明できないようでは、まだまだお子ちゃまなのですよっ」
豊「いいじゃん!だって、ボクまだ子供だもん。ちっちゃいもん」
大姉&蝶姫「やっぱり仲がよいのね」
小姉と豊は、首を横に振る、同時に。
豊「蝶のおねーちゃんが、『距離の1が見えた』って言っていたって事は、もうすぐ北門だね!京ノ都に着く!」
馬車の窓から、その北門を見たいと蝶姫にお願いをする豊。
見ると、北門はもう目の前まで迫っていた。そして、その門の左手にいくつか露店が開かれており、人々とモフモフで賑わっていた。
パンダ達は笹餅、竹に詰めた甘い水や、
蝶姫「あぁ、このニオイ。甘いニオイ。好き。ハチミツがあるのね…きっと」
豊のお腹が「ぐぅ~」っと鳴った時に、大姉に「寄って行こう」とおねだりをする。
大姉は断る素振りなく、
「そうしましょう」
と言い、みんな馬車から降りた。
そこには、コパンとクマ吉がそれぞれの母親と一緒に店番をしていた。
コパンとクマ吉は、豊を見ると喜び、走って来る。豊を抱く蝶姫はしゃがんで出迎える。
久しぶりの再会に喜び、コパンとクマ吉は、豊に飛びついてくるのだが、豊の怪我はまだ治っていないから、「イタタタタ」と言う。
蝶姫「あなたって、いつもケガでボロボロね。ふふ」
それを聞いてちょっと男として情けなくなり、下を向く豊。
蝶姫「大丈夫。おねーさんがやさしく看病してあげるから。ふふ」
今度はちょっと恥ずかしくなり、顔を上げられなくなる豊。
コパンとクマ吉は、その空気を全く読まずに、「ねぇ、食べてってよ~」と言う感じで鳴き、お店の方を指さす。
その明るい鳴き声に豊たちは首を縦に振り、お店へ向かう。
ハチミツの香りに誘われたミツバチみたいにルンルンと歩く蝶姫。その胸のドキドキを静かに聞く豊。
大姉はコパンの母と何やら話し込む。
小姉はクマ吉の母と身振り手振りで何かやっている。意思の疎通はまだまだの様であった。
コパンとクマ吉は、それぞれ自慢の甘い物やハチミツなどを豊と蝶姫に勧める。
そして、コパンとクマ吉は、そっと手をつなぐのであった。
香織は空を見上げた。
今宵の月はどんな月なのか…。この時はまだ誰も分からなかった。
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