第20話:もふもふとの共存
関門からいよいよ
関をより
すると突然、
と
一同は驚く。
蝶姫「パンダ?まぁ、なんて愛らしい」
豊「蝶のおねーちゃんも、かわいいよ」
蝶姫の耳には豊の声は届いていない様子だった…。
豊「パンダはね、仲良しさんなんだよ。木々の伐採や、採石作業、それら資材の運搬を手伝ってくれるんだ」
蝶姫「あのもふもふが?なぜ?」
豊「少し前にちょっとした事があり、それが切っ掛けとなり仲良くなったんだ、パンダと」
そう言って、豊は“もふもふ”との共存に至るまでの話を始める。
=====
少し前の話。
幼い少年がさらに幼かった頃の話。
当時、
関から京ノ都を見た際の街道の右手を農地として利用し、左手には未開拓の森林が竹林と共に辺り一帯に広がっていた。森林はその奥が見えないほどであった。そして、
豊と
そんなある日、
豊「うわぁ~、今日も農作物が荒らされているね~。何とかならないのかな?」
香織「姉上達は内々の
豊「…。だよね~。みんな頑張っているのだけど、色々な事が急に起こったっていう感じだし。そんな状況なのに、国に住むみんなが混乱していないのが奇跡だよ。他の国だったら、暴動が起こっているだろうに…。理解深いみんなに感謝しないとな~」
香織「弟くんって、本当変わっているよね。君のその気遣いは必ず強い武器になるから、おねーちゃん応援しているぞ~」
豊「あはっ、大好きな香織ねーちゃんにそう言われると、元気出てくるぞ~」
香織「よし、じゃぁ、おウチに帰ったら、また
豊「…香織ねーちゃんにそう言われると、今日の疲れが一気に出てきたぞ~」
香織「じゃあ、おねーちゃんがやさしく…してあげよっか?今夜」
豊「えっ、な、なにを?」
香織「それはぁ、おねーちゃんに任せておいてっ!」
豊は絶対に武芸の稽古か、歴史上の大将軍の話や、名将の一騎打ちなど、武術に関する事に違いないと思った。
そんな時、森の方から、「ミャ~っ、ミャ~っ」と猫のような声が聞こえてきた。しかしその声には
豊「助けに行かなきゃ」
香織「弟くんっ、そっちは危ない。しかももう日が暮れるから、すぐに暗くなる」
豊「助けを求める声なんだ。あの泣き声は・・・」
香織の馬からチョンっと降り、弱々しい泣き声の方へと、スタタタタっと走っていく。
香織も馬を降り、近くの木に馬の
すると、子供のパンダが、人が仕掛けた熊対策の罠にかかっており、子パンダの足から血が流れていたのだ。
苦しそうに泣いている子パンダに、
豊「もう、大丈夫」
と、声をかける。
しかし、子パンダは、初めて見る人間にビックリし、豊の腕を爪で
豊「だ、大丈夫だからね。ボクがキミを助けるから」
やさしく子パンダに抱きつくと、子パンダは豊を信頼してくれたようで、おとなしくなる。
豊は素手で罠を外そうとする。その手はすぐに血まみれとなる。
豊「(あれ?どうやるんだろう?)」
罠の仕組みを知らない豊の手は、見るも無残な状態になる。
罠を解けないまま、出血と痛みで、豊も子パンダも、共に徐々に意識が遠のいていく。
すると、
香織「まったくもう、私の弟くんは無茶をする」
と耳元で声が聞こえ、香織は手早く剣で罠を真っ二つにする。
香織「
豊「香織ねーちゃん…。正しいような、正しくないような…。だって、剣でいとも
香織は豊と子パンダの傷口をそれぞれ手当した。
手当が済み、「ほっ」とした時に、豊と子パンダのお腹が「ぐぅ~、ぐぅ~」っと大合唱をした。
豊は子パンダと大笑いをした。
香織は、笹の葉で包んだお菓子を
いつもより美味しかった。とても美味しかった。
笹の葉の香りが3人を包み込む。お菓子のように。甘く。爽やかに。
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