第19話:京国へ帰国
帝都・
その後、馬車はいくつかの山林を越え、そして大きな平野に出た。
そのはるか前方には大きく
馬車の
それを聞いた
馬車から外を見た豊は、
豊「うわぁ~、
と、目をキラキラさせて言う。
豊「あそこには、
蝶姫「でも、あなた。いまのお姿をお姉さまがご覧になったら、とても心配されてしまうのでは?」
豊「ふっふっふー。それが策なのであ~る。『ボク、お怪我をしちゃったから、しばらくは武芸のお稽古出来なくなっちゃった。残念。てへっ』と伝えるのが目的なのさっ」
悪知恵を働かせる豊に、
といつもどおり叱る。
豊「えぇー、
小姉「…。まぁ、あなたの今後を考えたら、武芸に鍛錬するよりは、知識を吸収し、自身で色々と判断できるようになる事の方を優先すべきだと思うから、今回はあなたの悪知恵に乗ってあげるわ。でも、ちゃんと読むのよ、兵法書を」
豊「へい、へい、ほ~」
と、わざと悪ふざけをして見せた。
小姉の顔は鬼の
蝶姫「大きいわね」
豊「でしょ~。
と、覚えたての言葉を添えて、自慢げに話す。
豊「そして今もまだ増築をしているんだよ。さらに大きく、厚く、そして確固たる存在となるように。あれだけ大きければ、敵意を抱く者達が来たとしても、あきらめて帰ってくれるように…。そうボクは願う。戦闘を
蝶姫「…。そうね…」
京北関の門にたどり着き、開門する。
すると、香織が開いた門の向こうでお出迎えをしてくれた。
香織「姉上っ、任務お疲れさまでした!」
大姉「香織、元気そうね」
香織「はい。このように毎日武芸に鍛錬を重ねても、力が有り余っております」
大姉「頼もしいわね」
香織「ところで、弟くんは?」
と馬車の中を覗き込む、香織。
香織「ど、どうしたの?その怪我?」
豊「じ、じつは大きな怪我をしてしまって、しばらくは稽古が出来ないんだ。残念だけど…」
香織「そうね~、残念だ。それよりも、そちらのお姫さまはどなた様?」
蝶姫「
香織「
蝶姫に一礼する香織。蝶姫も
香織「それにしても、弟くん。やるではないか!このような綺麗なお姉さんと出会い、一緒に帰国するだなんて」
豊「うん!」
豊の素直な声が京北関の関門に響く。
香織「ははっ。元気でよいではないか、弟くん。明日からでも稽古が出来そうだ」
豊「だ、だめだよ~。全身が痛くって、動けないもん。右腕くらいしか、動かせないし」
香織「なら、今からでも稽古をしようではないか。右腕があれば十分!戦場でそうなった際にきっと役に立つであろう!」
大姉「香織。実は本当にかなりの重症なの。生きているのが不思議なくらい。だからお稽古はもう少しあとにしてあげて」
小姉「代わりにその武芸を活かせるような『兵法書』を読ませるわ、豊には。悪い話じゃないでしょ?」
香織「姉上たちがそのようにおっしゃるのであれば…。弟くん、大事にするんだぞ。じゃあ、寂しかっただろうから、おねぇちゃんがおウチまで護衛しよう!」
その弾む声からして、
どうやら、香織の方が寂しかったようだった…
豊は、ほっとした半面、書物を読むのも苦手なので、今度は書物から逃げる策を考え始めるのであった。
果たしてうまく策を練れるのか??
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます