第11話:無に帰す(ムニキス)
「こんばんみーお!」
元気な
豊は目を覚まし、
豊「こ、こんばんみーお!」
無意識に挨拶を返す。
豊「ぼ、ぼんそわ~る!?」
未央「君はまた一日中眠ってしまい、次の日の夜に、にゃっているのだにゃ。みおみおはもう帰らないといけないから、ここからは
豊「(ごくり…だワン)」
未央「こほん。君の状態を伝えよう。背中の傷は、命を落とすほど
豊「…!?(なんの話?難しすぎて全くわからない。
蝶姫「みおみおよ。よく分からぬぞ。つまり、身体の中にいる悪さをするその細菌とやらを消し去ればよいのじゃな?」
豊「(あれ?言葉遣いが…、様子も…なんだか違う…)」
未央「そうなのであ~る。お嬢っ、まさか…」
蝶姫「ならば、
未央「にゃんと!?そやつらはだにゃ、ブドウ球菌、レンサ球菌、さらには…」
蝶姫「…。もうよい。直接、
と、さっきまでとは違った雰囲気で話す。そう、豊の意識が遠くにあった時に少し聞こえた、あの口調そのものだった。
すると、
蝶姫「あなた。少し目を閉じていてください。そして、わたくしが『もう大丈夫』と言うまでは決して目を開けてはいけません。よいですね、決して目を開けてはなりませぬ」
今度はやさしい口調に戻って豊に話した。
豊「う、うん…」
豊が目を閉じるのを見届けてから、蝶姫は己の仙気を開放させる。
豊は恐怖を感じた。まるで、目の前に大きな虎が突然現れ、
蝶姫「…うむ…」
一息ついてから、
蝶姫「“
一瞬、耐え難い
そう、蝶姫はやさしく豊を包んで
蝶姫「もう大丈夫」
と
豊は蝶姫のあたたかい体温と、甘い香りがする
未央「にゃんと!?お嬢っ、その手があったか?で、手ごたえは?成功したのカニ?」
蝶姫「えぇ。大丈夫」
未央「すごいにゃぁ~。
と言って、またいつものように一瞬で消えた。
まゆは豊が眠っているのを確認してから、
まゆ「お嬢さま、よろしかったのですか?そのような事までされて。たかがヒトの子ですよ」
蝶姫「まゆ?このお方は、“私の大切なヒトの子”なの」
その口調を聞いたまゆは一瞬で顔が青ざめ、
まゆ「も、申し訳ございません。私の理解が追い付いておりませんでした。お許しください」
と平伏する。
蝶姫「よいわ。大丈夫。このお方が大丈夫なのだから。大丈夫」
すやすやと幸せそうに眠る豊。それを見守る蝶姫。
半月の明かりが窓から部屋に射し込む。
蝶姫はその月を見上げると、月は雲に隠れてしまった。
内庭の菜の花が夜風と踊る。
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