社内イベントで悪戦苦闘



数日後、リュウは社内イベントに参加することになった。イベントはチームビルディングを目的としたもので、様々なゲームやアクティビティが予定されているという。リュウは「チームビルディング」という言葉に少し身構えつつも、楽しむ姿勢で臨むことに決めた。


当日、会社のロビーには、他の社員たちが集まってわいわいと盛り上がっていた。リュウは自分のチームに紹介されると、元勇者としての威厳を保ちながらも、どこか照れくさそうに笑った。


「今日はみんなで協力し合って、楽しい時間を過ごそう。俺の実力、見せてやるぞ!」


周囲の社員たちは少し驚いた様子でリュウを見つめたが、彼の自信に満ちた言葉に自然と笑顔が広がった。


イベントが始まると、最初のアクティビティは「脱出ゲーム」。リュウは「敵の罠を解くために、仲間との連携が必要だ」と考え、全員に指示を出そうとした。


「まずは、各自が持っているアイテムを確認するんだ。アイテムの使い方を考えて、脱出の道を切り開こう!」


しかし、周囲の社員たちは持ち物を確認する代わりに、ゲームのルールを読み上げている様子。リュウは少し焦りながら、何か手助けをしなければと心を決めた。


「みんな、協力して進もう!敵の罠は必ずどこかにあるはずだ。まずは俺が前に出るから、後ろから支えてくれ!」



同僚たちはリュウの熱意に感化され、彼の後についていくことにした。脱出ゲームは、実際には謎を解いてアイテムを集め、指示に従って行動する内容だったが、リュウにとっては「冒険」に思えた。


途中、彼は特に難しい謎に遭遇し、仲間にヒントを出すことになった。



「この暗号、よく考えれば分かる。きっと、魔法の言葉が隠されているんだ!」


他の社員たちは「魔法の言葉」というリュウの言葉に驚き、少し笑いながらも真剣に考え始めた。結局、リュウが何とか謎を解いて脱出に成功し、チーム全員で喜び合った。


その後のアクティビティは、より体力を使うもので、リュウは持ち前の運動能力を発揮することになった。リレーや玉入れなど、どれもかつての戦いを思い起こさせるものだった。



「いざ、勝負だ!お前ら、全力でかかってこい!」


リュウの叫び声に、周囲の社員たちは笑顔で応じた。しかし、彼が期待したような本気の戦闘ではなく、笑いあう楽しい雰囲気が広がる。


リュウはその様子に少し戸惑いながらも、次第にその空気に馴染んでいった。彼の意気込みが、周囲の人たちを盛り上げ、イベントは和やかな雰囲気に包まれていく。

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