天才

失言を取り消すように大きく咳払いをしてから、コタロー君に再度質問する。


「ごほん!母親が死んだ後の引き取り手はいなかったのですか?孤児院とか、親族とか…」

「うん、あの流行病のせいで孤児院はどこもいっぱいだったし…あっお母さんが死んで一週間くらいして、初めて叔父さんのお嫁さんが来た事があったけど」




『ごめんなさぁ〜〜〜い、ウチ子沢山で光太郎ちゃんの寝る所ないし、定期的に様子見にくるから今まで通りこの家で生活して貰えるぅ〜?光太郎ちゃんも慣れ親しんだ家から離れるの嫌でしょ〜?』




「って…でもそれ一回きりでおばさんが家に来た事なかったけど」

「ぅわあ…最低ですね」

「でも叔父さん夫婦の所には5人も子供いるからしょうがないと思う」

「良く生きてこられましたね」

「僕もそう思う」

「しかし頭が良くなったなら、I組では無く上の組にいけたのでは?」

「っ…」

「それに天才となれば軍で重宝されるもの、I組では放って置かれていたとしても知能が上がったとなれば、養って貰える場所を積極的に探して貰えたのでは?」




天才は100人力と呼ばれているが飽くまでも戦場での話である


1人の天才が薬を作り上げた、量産され多くの命が救われた


1人の天才が武器を作り上げた、量産され多くの命が奪われた


1人の天才が料理を作り上げた、調理され多くの胃が満たされた


1人の天才が音楽を作り上げた、演奏され多くの心を震わせた


天才が編み出したモノは後生に響き渡り、人々の暮らしに良くも悪くも影響を及ぼすものである


日ノ本では天才を重宝し、国にとって素晴らしき発明をした天才には富と名誉が与えられた

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