パニック

カーテンを開けて部屋を見るとそこは誰かがお仕事しているのか、部屋の真ん中に立派な仕事机が置いてあった。




窓だけの明かりじゃ良く見えないけど、仕事部屋って事はぼんやりと分かる…けど何のお仕事しているのかはさっぱり分からなかった。




「早く出て人を探さなきゃ…えー!?廊下も真っ暗??!」




廊下に出ようと部屋のドアを開けると廊下も真っ暗だった。非常口への案内だけが薄明るく光るだけで電気が点いてなかった。




「え?…何で電気点いてないの??」




左右を見ても真っ暗、廊下の端が見えない位…何回も言うけど真っ暗としか言いようがなかった。




「…もしかして僕お化け屋敷にいるのかなぁ?」




怖くてなんか涙出てきた…でも部屋から変な音するし、早く誰かに会いたいから移動しなきゃ「一体どこに向かおうと言うのです?」




×××




「ひっ!!…ぅわぁあああああ!!」



声をかければ少年は叫び声を上げ私の方を見たかと思えば、お化けだぁぁあああ!と絶叫しながら部屋に入ってしまった…どうやら驚かせてしまったらしい、ドアノブを捻るが扉が開く事はなかった。




「(鍵をかけた様ですね…)あーもしもし?私はお化けではありません、ここを開けて下さい」

「嘘だぁああ!誰もいなかった筈なのに声がしたー!!」


泣きそうな声で(いや実際泣いてるかも)反論する少年…仕事部屋の方はカーテンが開けられているが、薄い闇に覆われているお陰で中の様子を伺う事が出来た、少年は寝室の扉付近でこちらの様子を伺っている様だ。


「もしもーし?」

「うわーーーん!」

「(錯乱状態なってる様ですね…どう宥めたら良いものか)」





別に鍵がかかってても闇さえ繋がっていればドアの隙間からでも入れるんですが、しばらく様子を見るべきですかね?余り部屋で暴れられても困りますが、下手に刺激をしてかえって逆効果になる可能性も…


「わあああー…あー」

「?」


ドサッ


泣き声が弱々しくなり、続いて人が倒れた様な音がした。まさかと思いドアの隙間の影からコルヴォ様の仕事部屋へと入ると、案の定寝室へのドアの前で少年が倒れていた。


「ちょっと!大丈夫ですか?」

「うあー…頭ぐるぐるしてからだちからはいんない…」


病み上がりで暴れたから貧血でも起こしたのでしょうか?


「吐き気はしますか?」

「だいじょーぶ…」

「今からベッドに戻します。もし歩くのが無理そうだったら直ぐに言って下さいね」

「うん…」


少年の脇の下に腕を回し抱き起こす。流石に私の身長に近いから無理そうで男手を呼ぶべきかと思ったが、細身の体は思ったより軽く、私1人でも少年の体を支えてベッドへと戻す事が出来た。

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