テネブラファミリー

1970年代、昭和。


私達が在籍する国・日ノ本


かつては夜を火で照らし、全ての国民が着物を身に纏い、武士は頭を刈り上げ、武器は刀と火繩銃、建物は木造建築が殆どで、和の国と呼ばれていました。


しかし多国と同盟を組んだのを機に、日ノ本は文明開化し生活の発展と共に、文化も異国のものへと姿を変えて行く事となりました…が、異国のものを交えた発展は、悪い方面にも影響を与える事になる。


伊国と同盟を組んだ際に美味しい料理のレシピと共に、マフィアが裏社会に姿を現す事になったのだ。あと付け加えるならテネブラファミリーの先代の祖父が、1番最初に裏社会に足を踏み入れたマフィアであった。


当初はイタリアン極道など冷やかしを受けていたものだが、交渉術に長けた先代の祖父と、策士である先代の父親が親子2代で功績を上げた事から、あっという間に裏社会に溶け込み、更にはにほん軍に対抗する意味合いで裏社会は伊国の文化を取り込み、今では極道を押し退けマフィアが日ノ本における裏社会の顔となっていた。


まぁ幾ら裏社会がイタリアの文化を取り入れたとしても、私は純にほん人であり朝食はおにぎりが1番です。


パン何て確かに用意は簡単ですが、スカスカで食べた気にならない上にパン生地にはバターたっぷりな上に、更に砂糖たっぷりのジャムを塗らなきゃいけない、無駄にカロリー高い食べ物じゃないですか。


私は塩と梅干しの酸味で米の甘さが引き立つのを楽しみながらおにぎりを噛み締める、前回の買い物で海苔を買い忘れたのが本当に悔しい限りです…さて今日の昼にはコルヴォ様が抗争から帰宅する上に、少年は(ベットに寝かされた時はコルヴォ様のシャツが着せられてましたが余りにサイズが違い過ぎたので、汗を拭く際に私の寝巻きを着替えさせた時に男の子だと判明しました)昨日丸一日眠っていたので、いつ目を覚ましても可笑しくない状態、さっさと部屋の最後の仕上げを終わらせますかね。


そう思いながら朝食を食べ終えた私は、食器を流しへと片し自室を後にした。




×××




ぐるぐる、ぐるぐる


頭の中が洗濯機になったみたいに、脳みそが掻き回されてすっごく熱くて痛くて体中が寒かった。


眠いのに眠れなくてでも起きられない位、頭が痛くって…涙が止まらなかった。


『コタロー』


僕が頭が痛くて泣いてるとお母さんが隣のベッドから、僕のお布団の中に移ってきて抱きしめてくれた、看護師さんに注意され何回も自分のベッドに戻っても、看護師さんがいなくなると僕のベッドに入ってきてくれた。


『寒いわねぇ、知ってる?昨日から夏は寒いものになっちゃったんだって…寒くて眠れないから一緒に寝よう?』


お母さんは嘘つきだった。


いつもお母さんは嘘をついていて、お母さんも頭が痛いのに無理をして僕を寝かせようと、僕を抱きしめて子守唄を歌ってくれた。


お母さん、お母さん、僕はもう大丈夫だよ、大丈夫だからベッドに戻ってて良いよ。


『コタロー…私はね、お父さん以外に守ってくれる人がいなかったから、嘘つきになっちゃったんだよ』


でもお母さんは僕を抱きしめるのも、子守唄を歌うのを最期までやめてくれなかった。


『でもコタローは嘘つく必要ないんだよ、だってコタローは優しい子だから、守ってくれる人が沢山現れる…あなたはお父さんに似た優しい子なんだから…』




「おかぁ…さん?」


重たい瞼を開けると僕を抱きしめてくれてたお母さんはいなくなっていた。何回か瞬きをして体を起こして周りを見るとお薬の匂いも、患者さんの呻き声も、真っ白な病室も、頭痛も熱さも寒さも無くなっていた。


…またお母さんの夢見てたんだ。


僕は寝ながら泣いたせいで、ぐしょぐしょになった顔を袖で拭って頭を振る。


「洗濯物してお布団干して掃除機かけさなきゃー…っ!!」


本当はもっとお母さんの夢を見ていたいけど、やる事いっぱいあるから必死に頭を振って思いっきり伸びをする、でも腕を思いっ切り伸ばしたら右肩に激痛が走った。


「いたたたたたた!痛い!痛い!痛い!?…あれ?」


パジャマの下に何か巻いてある?僕は服を捲って見てみると、そこには包帯が巻かれていた。


「あれ?何で包帯?…あれ?!これ僕のパジャマじゃない!!誰のパジャマだろ…う?」


僕は周りを見渡すと辺りは薄暗いお部屋で、僕の家じゃない事に気付いた。


「…ここ、どこ?」


その部屋は厚手のカーテンの隙間から差し込む光だけが何とか部屋を照らす薄暗い部屋だった、僕の家の部屋よりもずっと広い部屋…なんで僕はこんな所にいるのだろう?


「真っ暗…取り敢えずカーテン開けないと…」


僕は起き上がってカーテンを開けようとベッドから降りようとする、けどベッドが大きくてお布団がモコモコ過ぎてなかなか降りられない。


「ちょっ…なにこのベッド!巨人さん用のお布団なのかな…っぶ!」


やっとの事で降りるけど、布団に足を取られて頭から落ちちゃった。


「いたたたたたたた!痛い!肩も痛いよ〜〜〜っ」


頭と一緒に右肩にも痛みが走って暫くうずくまって痛みを堪える、何で僕右肩怪我してんだろう?

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