影遊び
「しかし突然20階の部屋、それも紅菊様の部屋の隣の部屋の掃除なんて新しい側近でも迎え入れるのかね?」
「なー、何でボスと側近の紅菊様以外は10階から上は立ち入り禁止なんだ?」
紅菊からの指示によりアジトの一室で清掃作業をしていた、部下2名が掃除する手を止めないながらも雑談し始める。
「紅菊様の能力「影遊び」の関係上な、紅菊様は自分が入った闇の中を探知出来るから、防犯とボスへの警護を兼ねて10階から上の使っていない部屋と廊下の蛍光灯を外して、真っ暗闇にしてるんだよ」
「へー、能力者って凄えなぁ」
「何でも影の中に入ってる紅菊様に触れる事は不可能らしい。…前にボスが不在の時、敵対ファミリーに攻め込まれた時があったんだ。相手の数は50、当然武器を持ちマシンガンを所持する奴もいた…それを紅菊様がたった1つの鉄扇で相手をしたんだ」
「そ…それで?」
「勝敗は紅菊様の勝ち、相手側は全員手首を切り裂かれ戦闘不能になったが紅菊様は全くの無傷だった…そしてそんな紅菊様をこの組織に連れて来たのが現在のボスだ、先代のボスの時に紅菊様がテネブラファミリーのテリトリーを荒らしていた所を、同じ能力者であるコルヴォ様に捕獲に向かわせたらしい」
「つー事はボスの方がその紅菊より強いの?」
「お前もボスが戦ってる所見ればわかる、ボスには“闇鴉”って裏名があるがありゃ鴉というより死に神だ…この組織の頂点には闇の者が2人いる、並大抵の組織じゃ相手にならねぇよ」
そう呟きながら彼の脳裏には紅い着物を身に包み、小さなサングラスを掛けて、髪を後頭部に束ねて菊の花の形にしている女性、紅菊の姿を思い浮かべた
「進歩は如何ですか?」
「「!?」」
丁度噂話をしていた所で紅菊が部屋に入ってきた事で、二人は盛大に肩を跳ねらせる。
「紅菊様!進歩は順調です!」
「そうそう!」
「そうですか、夜11時になったら私も就寝しますので作業を1度中断して、明日の朝また再開して下さい」
「了解です!」
それだけ言うと紅菊は部屋を出て行き、二人は息を吐いた。
「あー吃驚した…話してたら急に現れたから話聞かれたかと思った」
「あー…そういや結局この部屋誰が使うのか聞きそびれちまったな」
「なー」
×××
「(まぁ聞こえてたんですけどね)」
ここで私の能力について説明しよう
私の能力は闇と同化する能力であり、同化中は闇の者以外は私の体に触れる事が出来ず、更に一体化している闇の中を探知する事が出来る(まぁぼんやりと輪郭がわかる程度で細部まではわからないが)
音も微かにだが聞こえてくるので、廊下に出た際に廊下の暗闇に触れた際に部下達が私の名を呼んでいる気がしたので、序でに顔を出したのだ。
「(隣の部屋を使うのが誰かなんて、私が1番知りたいです)」
明後日帰宅するコルヴォ様はあの子供の事を、ちゃんと話してくれるだろうか。
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