4・1 事実の成立、不成立
○前段
1 : Die Welt ist alles, was der Fall ist.
世界は全てである。あらゆる何か、その現象がそこにあるに依る。
2 : Was der Fall ist, die Tatsache, ist das Bestehen von Sachverhalten.
何が提示されているのか。事実・現象とは事態が実在することである。
3 : Das logische Bild der Tatsachen ist der Gedanke.
事実の論理上の像が、思考である。
4 : Der Gedanke ist der sinnvolle Satz.
思考は意味のある命題である。
4.001 : Die Gesamtheit der Sätze ist die Sprache.
命題の全体が言語です。
4.01 : Der Satz ist ein Bild der Wirklichkeit. Der Satz ist ein Modell der Wirklichkeit, so wie wir sie uns denken.
この命題は現実を描いたものです。この命題は、私たちが想像する現実のモデルです。
4.1 : Der Satz stellt das Bestehen und Nichtbestehen der Sachverhalte dar.
命題は事実の有無を表します。
○派生図
4001
|……
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||├5
||└6
|└211
| ├├2
| |└3
| ├21
| ├3
4.11 : Die Gesamtheit der wahren Sätze ist die gesamte Naturwissenschaft (oder die Gesamtheit der Naturwissenschaften).
真の命題の全体は自然科学全体 (または自然科学の全体) です。
4.111 : Die Philosophie ist keine der Naturwissenschaften. (Das Wort »Philosophie« muss etwas bedeuten, was über oder unter, aber nicht neben den Naturwissenschaften steht.)
哲学は自然科学の一つではありません。 (「哲学」という言葉は、自然科学の上または下にあるものを意味する必要がありますが、自然科学と並ぶものではありません。)
4.112 : Der Zweck der Philosophie ist die logische Klärung der Gedanken. Die Philosophie ist keine Lehre, sondern eine Tätigkeit. Ein philosophisches Werk besteht wesentlich aus Erläuterungen. Das Resultat der Philosophie sind nicht »philosophische Sätze«, sondern das Klarwerden von Sätzen. Die Philosophie soll die Gedanken, die sonst, gleichsam, trübe und verschwommen sind, klar machen und scharf abgrenzen.
哲学の目的は思考を論理的に明確にすることです。哲学は教義ではなく、活動です。哲学的作品は本質的に説明で構成されます。哲学の成果は「哲学的命題」ではなく、命題の解明です。哲学は、そうでなければ、いわば曇ってぼやけている思考を明確かつ鮮明に定義する必要があります。
4.1121 : Die Psychologie ist der Philosophie nicht verwandter als irgendeine andere Naturwissenschaft. Erkenntnistheorie ist die Philosophie der Psychologie. Entspricht nicht mein Studium der Zeichensprache dem Studium der Denkprozesse, welches die Philosophen für die Philosophie der Logik für so wesentlich hielten? Nur verwickelten sie sich meistens in unwesentliche psychologische Untersuchungen und eine analoge Gefahr gibt es auch bei meiner Methode.
心理学は他の自然科学と同様に哲学とは関係がありません。認識論は心理学の哲学です。私の手話の研究は、哲学者たちが論理哲学にとって非常に重要であると考えていた思考プロセスの研究に対応するものではないでしょうか?ただ、彼らは通常、重要ではない心理学的調査に関与しているだけであり、私の手法にも同様の危険があります。
4.1122 : Die Darwinsche Theorie hat mit der Philosophie nicht mehr zu schaffen als irgendeine andere Hypothese der Naturwissenschaft.
ダーウィンの理論は、自然科学における他の仮説と同様に哲学とは何の関係もありません。
4.113 : Die Philosophie begrenzt das bestreitbare Gebiet der Naturwissenschaft.
哲学は自然科学の争点となる領域を制限する。
4.114 : Sie soll das Denkbare abgrenzen und damit das Undenkbare. Sie soll das Undenkbare von innen durch das Denkbare begrenzen.
考えられるもの、したがって考えられないものを区切ることを目的としています。それは、考えられるものを通して、考えられないものを内側から制限することを目的としています。
4.115 : Sie wird das Unsagbare bedeuten, indem sie das Sagbare klar darstellt.
言えるものを明確に表現することによって、言い表せないものを意味します。
4.116 : Alles was überhaupt gedacht werden kann, kann klar gedacht werden. Alles, was sich aussprechen lässt, lässt sich klar aussprechen.
考えられることはすべて明確に考えることができます。言えることははっきりと言える。
4.12 : Der Satz kann die gesamte Wirklichkeit darstellen, aber er kann nicht das darstellen, was er mit der Wirklichkeit gemein haben muss, um sie darstellen zu können - die logische Form. Um die logische Form darstellen zu können, müssten wir uns mit dem Satze außerhalb der Logik aufstellen können, das heißt außerhalb der Welt.
文は現実のすべてを表現できますが、それを表現するために現実との共通点、つまり論理形式を表現することはできません。論理的な形式を表現できるためには、論理の外側、つまり世界の外側に文章を置くことができなければなりません。
4.121 : Der Satz kann die logische Form nicht darstellen, sie spiegelt sich in ihm. Was sich in der Sprache spiegelt, kann sie nicht darstellen. Was sich in der Sprache ausdrückt, können wir nicht durch sie ausdrücken. Der Satz zeigt die logische Form der Wirklichkeit. Erweist sie auf.
文は、その文に反映されている論理形式を表現することはできません。言語に反映されているものを表現することはできません。言語で表現されたものは、言語を通じて表現することはできません。この文は現実の論理的な形式を示しています。見せびらかしましょう。
4.1211 : So zeigt ein Satz »fa«, dass in seinem Sinn der Gegenstand a vorkommt, zwei Sätze »fa« und »ga«, dass in ihnen beiden von demselben Gegenstand die Rede ist. Wenn zwei Sätze einander widersprechen. So zeigt dies ihre Struktur; ebenso, wenn einer aus dem anderen folgt. Usw.
文「ファ」は目的語 a がその意味で出現することを示し、2 つの文「ファ」と「ガ」は両方で同じ目的語について話されていることを示します。 2 つの文が矛盾している場合。これはその構造を示しています。一方が他方から続く場合も同様です。等。
4.1212 : Was gezeigt werden kann, kann nicht gesagt werden.
示せるものは語れない。
4.1213 : Jetzt verstehen wir auch unser Gefühl: dass wir im Besitze einer richtigen logischen Auffassung seien, wenn nur einmal alles in unserer Zeichensprache stimmt.
今、私たちは自分たちの感覚も理解しています。つまり、手話のすべてが正しければ、正しい論理的理解を獲得しているということです。
4.122 : Wir können in gewissem Sinne von formalen Eigenschaften der Gegenstände und Sachverhalte bzw. von Eigenschaften der Struktur der Tatsachen reden, und in demselben Sinne von formalen Relationen und Relationen von Strukturen. (Statt Eigenschaft der Struktur sage ich auch »interne Eigenschaft«; statt Relation der Strukturen »interne Relation«. Ich führe diese Ausdrücke ein, um den Grund der bei den Philosophen sehr verbreiteten Verwechslung zwischen den internen Relationen und den eigentlichen (externen) Relationen zu zeigen.) Das Bestehen solcher interner Eigenschaften und Relationen kann aber nicht durch Sätze behauptet werden, sondern es zeigt sich in den Sätzen, welche jene Sachverhalte darstellen und von jenen Gegenständen handeln.
ある意味で、我々は物体や事態の形式的性質、あるいは事実の構造の特性について語ることができ、同様の意味で形式的関係や構造の関係についても語ることができる。 (構造のプロパティの代わりに、「内部プロパティ」とも言います。構造の関係の代わりに、「内部関係」とも言います。これらの表現を紹介するのは、内部関係と内部関係の間の哲学者の間で非常によくある混乱を説明するためです。 )そのような内部の性質や関係の存在は文章を通して主張することはできませんが、それらの事実を表現し、それらのオブジェクトを扱う文章にはそれが示されます。
4.1221 : Eine interne Eigenschaft einer Tatsache können wir auch einen Zug dieser Tatsache nennen. (In dem Sinn, in welchem wir etwa von Gesichtszügen sprechen.)
事実の内部特性をその事実の特徴と呼ぶこともできます。 (顔の特徴について話すという意味で。)
4.123 : Eine Eigenschaft ist intern, wenn es undenkbar ist, dass ihr Gegenstand sie nicht besitzt. (Diese blaue Farbe und jene stehen in der internen Relation von heller und dunkler eo ipso. Es ist undenkbar, dass diese beiden Gegenstände nicht in dieser Relation stünden.) (Hier entspricht dem schwankenden Gebrauch der Worte »Eigenschaft« und »Relation« der schwankende Gebrauch des Wortes »Gegenstand«.)
オブジェクトがそれを所有しないことが考えられない場合、そのプロパティは内部的です。 (この青い色とあの青い色は、光と闇の内部関係にあります。これら 2 つの物体がこの関係にないということは考えられません。) (ここで、「性質」と「関係」という言葉の変動的な使用は、 「オブジェクト」という言葉の変動的な使用。)
「哲学は哲学的命題を考え抜こうとした結果その命題については何一つの解決をもたらすこと叶わず、ただその言語能力のみを磨くに至った」みたいな鬼のような話をなさっておられる。もうちょっと手心というものを。
4.12は「論理的な形式を表現できるためには、論理の外側、つまり世界の外側に命題と共にあらねばならない」と書かれる。この辺も荘子の「六合之外,聖人存而不論;六合之內,聖人論而不議。」に接続する印象である。「何を六合とするか」という話にはなるのだが、荘子はここで「認識のしようがないなにか」とし、ヴィトゲンシュタインは「語りようのない何か」としている。ここで現状「命題が論理形式を描き得ない」がうまく腹落ちできていない状態である。ここがキーになるんだよなあ。とりあえずわからないもんはわからないと放置して先に進むしかないですわね。
あとは4.122が重要だろうか。「内部関係と内部関係の間の哲学者の間で非常によくある混乱を説明するためです。」はいま引いている訳書だと「内的性質と狭義の(=外的)性質とが哲学者の間で非常に多く混同されてきた」と書かれてきた。たとえば「神とは何か」と言ったあたりのことを語る時に「いや神そのものは語りようがありまへんで、神というものの引き起こす現象しか話せまへんで、ちゃいますか?」みたいな話になるのだろう。だろう、としか言えないが。
「命題は思考しうる全てであれば全て論じきることができる」。これはまぁ納得である。ただしこのとき思考は全て写像でしかなく、こと・ものそのものではない。一方でこと・ものと写像は何らかの共通したものがあるわけなんだけれども、それがどのように紐付いているか、についてそのものについてはどうにも語りようがない。こうでいいのだろうか。いま俺の目の前に空のコップがあって(こと・もの)、そしてこれを空のコップとして見て(像)、空のコップとして認識し(写像)、「ここに空のコップが存在している」(命題)とするわけなのだが、コップというものがあり、その状態が空である、と言うことについて、どうイコールにしているのか。「いや自明の理じゃん」みたいな感じになっちゃうんだけど、ヴィトゲンシュタインにしてみれば全然自明の理ではないらしい。ちょっとここは「自明の理ではない」部分をどう落とし込めるか、の話になってきそうだなー。ああー、荘子が俺の理解を助けつつ今日も足を引っ張るー。
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