4・0・6 命題は現実を規定する

○前段


1 : Die Welt ist alles, was der Fall ist.

世界は全てである。あらゆる何か、その現象がそこにあるに依る。


2 : Was der Fall ist, die Tatsache, ist das Bestehen von Sachverhalten.

何が提示されているのか。事実・現象とは事態が実在することである。


3 : Das logische Bild der Tatsachen ist der Gedanke.

事実の論理上の像が、思考である。


4 : Der Gedanke ist der sinnvolle Satz.

思考は意味のある命題である。


4.001 : Die Gesamtheit der Sätze ist die Sprache.

命題の全体が言語です。


4.01 : Der Satz ist ein Bild der Wirklichkeit. Der Satz ist ein Modell der Wirklichkeit, so wie wir sie uns denken.

この命題は現実を描いたものです。この命題は、私たちが想像する現実のモデルです。


4.02 : Dies sehen wir daraus, dass wir den Sinn des Satzzeichens verstehen, ohne dass er uns erklärt wurde.

これは、句読点の意味を説明されなくても理解できることからわかります。


4.03 : Ein Satz muss mit alten Ausdrücken einen neuen Sinn mitteilen. Der Satz teilt uns eine Sachlage mit, also muss er wesentlich mit der Sachlage zusammenhängen. Und der Zusammenhang ist eben, dass er ihr logisches Bild ist. Der Satz sagt nur insoweit etwas aus, als er ein Bild ist.

命題は古い表現を使用して新しい意味を伝えなければなりません。この命題は状況を伝えているので、本質的にその状況に関連している必要があります。そして、それが彼らの論理的なイメージであるという関係があります。写像である限り、命題は何かを語っているだけです。


4.04 : Am Satz muss gerade soviel zu unterscheiden sein, als an der Sachlage, die er darstellt. Die beiden müssen die gleiche logische (mathematische) Mannigfaltigkeit besitzen. (Vergleiche Hertz' »Mechanik«, über dynamische Modelle.)

文とそれが表す状況を区別するのと同じくらい多くのことがなければなりません。 2 つは同じ論理 (数学) 多様体を持たなければなりません。 (動的モデルに関する Hertz の「Mechanics」と比較してください。)


4.05 : Die Wirklichkeit wird mit dem Satz verglichen.

現実は命題と比較されます。


4.06 : Nur dadurch kann der Satz wahr oder falsch sein, indem er ein Bild der Wirklichkeit ist.

命題は現実を描いたものであるため、真実か偽かしかあり得ません。



○派生図


4001

|……

|├311

|| └2

|├411

|| └2

|├5

|└61

| ├21

| ├3

| └41




4.061 : Beachtet man nicht, dass der Satz einen von den Tatsachen unabhängigen Sinn hat, so kann man leicht glauben, dass wahr und falsch gleichberechtigte Beziehungen von Zeichen und Bezeichnetem sind. Man könnte dann z.B. sagen, dass »p« auf die wahre Art bezeichnet, was »~p« auf die falsche Art, etc.

命題が事実とは無関係に意味を持っていることを考慮しない場合、真と偽は記号と意味されるものとの同等の関係であると簡単に信じることができます。この場合、たとえば、「p」は真の意味で「~p」が偽の意味を示す、などと言うことができます。


4.062 : Kann man sich nicht mit falschen Sätzen, wie bisher mit wahren, verständigen? Solange man nur weiß, dass sie falsch gemeint sind. Nein! Denn, wahr ist ein Satz, wenn es sich so verhält, wie wir es durch ihn sagen; und wenn wir mit »p« ~p meinen, und es sich so verhält wie wir es meinen, so ist »p« in der neuen Auffassung wahr und nicht falsch.

偽の命題でも、これまでの真の命題と同じようにコミュニケーションをとることはできないのでしょうか?彼らが間違っていると知っている限り。いいえ!なぜなら、命題を通して我々が言っているとおりに動作する場合、その命題は真であるからです。そして、「p」が ~p を意味し、それが意図したとおりに動作する場合、新しい概念における「p」は true であり、false ではありません。


4.0621 : Dass aber die Zeichen »p« und »~p« das gleiche sagen können, ist wichtig. Denn es zeigt, dass dem Zeichen »~« in der Wirklichkeit nichts entspricht. Dass in einem Satz die Verneinung vorkommt, ist noch kein Merkmal seines Sinnes (~ ~p=p). Die Sätze »p« und »~p« haben entgegengesetzten Sinn, aber es entspricht ihnen eine und dieselbe Wirklichkeit.

しかし、文字「p」と「~p」が同じことを言えるという事実は重要です。現実には「~」という記号に該当するものは何もないことを示しているからです。命題の中で否定が発生するという事実は、まだその意味の特徴ではありません (~ ~p=p)。 「p」と「~p」という命題は反対の意味を持ちますが、それらは同じ現実に対応します。


4.063 : Ein Bild zur Erklärung des Wahrheitsbegriffes: Schwarzer Fleck auf weißem Papier; die Form des Fleckes kann man beschreiben, indem man für jeden Punkt der Fläche angibt, ob er weiß oder schwarz ist. Der Tatsache, dass ein Punkt schwarz ist, entspricht eine positive - der, dass ein Punkt weiß (nicht schwarz) ist, eine negative Tatsache. Bezeichne ich einen Punkt der Fläche (einen Fregeschen Wahrheitswert), so entspricht dies der Annahme, die zur Beurteilung aufgestellt wird, etc. etc. Um aber sagen zu können, ein Punkt sei schwarz oder weiß, muss ich vorerst wissen, wann man einen Punkt schwarz und wann man ihn weiß nennt; um sagen zu können: »p« ist wahr (oder falsch), muss ich bestimmt haben, unter welchen Umständen ich »p« wahr nenne, und damit bestimme ich den Sinn des Satzes. Der Punkt, an dem das Gleichnis hinkt, ist nun der: Wir können auf einen Punkt des Papiers zeigen, auch ohne zu wissen, was weiß und schwarz ist; einem Satz ohne Sinn aber entspricht gar nichts, denn er bezeichnet kein Ding (Wahrheitswert), dessen Eigenschaften etwa »falsch« oder »wahr« hießen; das Verbum eines Satzes ist nicht »ist wahr« oder »ist falsch« - wie Frege glaubte -, sondern das, was »wahr ist«, muss das Verbum schon enthalten.

真実の概念を説明する画像: 白い紙上の黒い点。スポットの形状は、表面上の各点が白か黒かを指定することによって記述することができます。点が黒であるという事実は肯定的な事実に対応し、点が白である (黒ではない) という事実は否定的な事実に対応します。表面上の点 (フリージアン真理値) を指定すると、これは評価などのために行われる仮定に対応します。しかし、点が黒か白かを言えるようにするには、まず次のようにします。ポイントをいつ黒と呼ぶべきか、いつ白と呼ぶべきかを知ること。 「p」は真 (または偽) と言えるためには、どのような状況下で「p」を真と呼ぶかを決定する必要があり、したがって命題の意味が決まります。このたとえ話が不十分な点は次のとおりです。何が白か黒かを知らなくても、紙上の点を指すことができます。しかし、意味のない命題に相当するものはまったくありません。なぜなら、その命題はその性質が「偽」または「真」と言えるもの (真理値) を記述していないからです。フレーゲが信じていたように、命題の動詞は「真である」とか「偽である」というものではなく、「真である」ということは動詞の中にすでに含まれていなければなりません。


4.064 : Jeder Satz muss schon einen Sinn haben; die Bejahung kann ihn ihm nicht geben, denn sie bejaht ja gerade den Sinn. Und dasselbe gilt von der Verneinung, etc.

すべての命題には意味がなければなりません。肯定は彼にそれを与えることはできません、なぜならそれはまさに意味を肯定するからです。否定なども同様です。


4.0641 : Man könnte sagen: Die Verneinung bezieht sich schon auf den logischen Ort, den der verneinte Satz bestimmt. Der verneinende Satz bestimmt einen anderen logischen Ort als der verneinte. Der verneinende Satz bestimmt einen logischen Ort mit Hilfe des logischen Ortes des verneinten Satzes, indem er jenen als außerhalb diesem liegend beschreibt. Dass man den verneinten Satz wieder verneinen kann, zeigt schon, dass das, was verneint wird, schon ein Satz und nicht erst die Vorbereitung zu einem Satze ist.

次のように言うこともできます: 否定は、否定命題が決定する論理的な場所をすでに参照しています。否定命題は、否定命題とは異なる論理的位置を決定します。否定命題は、否定命題の論理的位置を使用して、否定命題がその外側にあるものとして説明することにより、論理的位置を決定します。否定された命題を再度否定できるという事実は、否定されているものがすでに命題文であり、単なる命題の準備ではないことを示しています。


4.1 : Der Satz stellt das Bestehen und Nichtbestehen der Sachverhalte dar.

命題は事実の有無を表します。




 命題は既にその存在そのものが真である。その上で真偽についての判定が行われる。こう言うことだろうか。「命題が成立すること」が真、と言うことか。つまりたとえば「ドの音階にはドーナツの香りがする」は、本来的には成り立たないので命題としては偽。ただし日本人の多くはドレミの歌で「ドはドーナツのド」と聴いているために成立する可能性がある。このとき命題は真。あれ、なんかしっくりこないな? 「ドレミの歌を知っている日本人にとって」の前提と「という比喩が成立する」という述語を抜いてはいけない感じ?


 出し抜けに適当に考えてみた例題が自分の中に謎の波紋をもたらして訳がわからなくなってしまった。これも後々には解消できるのだろうか。いったん忘れる。これにかかずらうと死ぬ。


 4.061の「命題が事実とは無関係に意味を持っている」がまた例によって写像の具体化である思考がアプリオリに正しいわけではないの繰り返しであり、いいかげんにしろ何度この議論繰り返すんだと思うのだが、例によってその踏み込まれた先の議論がよくわからない。ええと、いったい何を話しているんですか? この辺無視しちゃってもいいんですか? なんでそこにそんな細々と拘泥するんですか? しないと5で死にますか? いやいまももう死んでるようなもんですが。


 まあ、なのですっ飛ばして4.1を見るわけです。「提示された命題が本当に事実を正確に言い表しているとは限らない。ただしその命題が提示されていることで、命題が指し示す対象が真にせよ偽にせよ「実在」していることが確かである」と言い出しているわけだ。


「言及の対象が、確かに実在している」はこれ、仏教でどう言い表してるんだろうなあ。いくら色即是空を言ったところで「自分が触れているもの」の否定は無理な気がするし。この辺の議論にも踏み込んでは見たいけど、まぁ途方もございませんわね……。

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