4・0・3 命題の表現方法
○前段
1 : Die Welt ist alles, was der Fall ist.
世界は全てである。あらゆる何か、その現象がそこにあるに依る。
2 : Was der Fall ist, die Tatsache, ist das Bestehen von Sachverhalten.
何が提示されているのか。事実・現象とは事態が実在することである。
3 : Das logische Bild der Tatsachen ist der Gedanke.
事実の論理上の像が、思考である。
4 : Der Gedanke ist der sinnvolle Satz.
思考は意味のある命題である。
4.001 : Die Gesamtheit der Sätze ist die Sprache.
命題の全体が言語です。
4.01 : Der Satz ist ein Bild der Wirklichkeit. Der Satz ist ein Modell der Wirklichkeit, so wie wir sie uns denken.
この命題は現実を描いたものです。この命題は、私たちが想像する現実のモデルです。
4.02 : Dies sehen wir daraus, dass wir den Sinn des Satzzeichens verstehen, ohne dass er uns erklärt wurde.
これは、句読点の意味を説明されなくても理解できることからわかります。
4.03 : Ein Satz muss mit alten Ausdrücken einen neuen Sinn mitteilen. Der Satz teilt uns eine Sachlage mit, also muss er wesentlich mit der Sachlage zusammenhängen. Und der Zusammenhang ist eben, dass er ihr logisches Bild ist. Der Satz sagt nur insoweit etwas aus, als er ein Bild ist.
命題は古い表現を使用して新しい意味を伝えなければなりません。この命題は状況を伝えているので、本質的にその状況に関連している必要があります。そして、それが彼らの論理的なイメージであるという関係があります。写像である限り、命題は何かを語っているだけです。
○派生図
4001
|……
|├311
|| └2
|├411
|| └2
|├5
|└61
| ├21
| ├3
| └41
4.031 : Im Satz wird gleichsam eine Sachlage probeweise zusammengestellt. Man kann geradezu sagen - statt: dieser Satz hat diesen und diesen Sinn -: Dieser Satz stellt diese und diese Sachlage dar.
この命題では、いわば、状況が試行的にまとめられています。実際には、「この命題にはこれとこの意味があります」の代わりに、「この命題はこれとこの状況を表しています」と言うことができます。
4.0311 : Ein Name steht für ein Ding, ein anderer für ein anderes Ding und untereinander sind sie verbunden, so stellt das Ganze - wie ein lebendes Bild - den Sachverhalt vor.
ある名前はあるものを表し、別の名前は別のものを表し、それらは相互に関連しているため、全体が - 生きた絵のように - 事実を表します。
4.0312 : Die Möglichkeit des Satzes beruht auf dem Prinzip der Vertretung von Gegenständen durch Zeichen. Mein Grundgedanke ist, dass die »logischen Konstanten« nicht vertreten. Dass sich die Logik der Tatsachen nicht vertreten lässt.
命題の可能性は、オブジェクトを記号で表すという原理に基づいています。私の基本的な考え方は、「論理定数」は表現されないということです。事実の論理は表現できないということ。
4.032 : Nur insoweit ist der Satz ein Bild der Sachlage, als er logisch gegliedert ist. (Auch der Satz: »Ambulo«, ist zusammengesetzt, denn sein Stamm ergibt mit einer anderen Endung, und seine Endung mit einem anderen Stamm, einen anderen Sinn.)
論理的に構造化されている限り、この文は状況を描写したものにすぎません。 (「Ambulo」という命題も複合語です。語幹が異なる語尾で意味が異なり、語幹が異なると語尾も異なるからです。)
4.04 : Am Satz muss gerade soviel zu unterscheiden sein, als an der Sachlage, die er darstellt. Die beiden müssen die gleiche logische (mathematische) Mannigfaltigkeit besitzen. (Vergleiche Hertz' »Mechanik«, über dynamische Modelle.)
文とそれが表す状況を区別するのと同じくらい多くのことがなければなりません。 2 つは同じ論理 (数学) 多様体を持たなければなりません。 (動的モデルに関する Hertz の「Mechanics」と比較してください。)
4.041 : Diese mathematische Mannigfaltigkeit kann man natürlich nicht selbst wieder abbilden. Aus ihr kann man beim Abbilden nicht heraus.
もちろん、この数学的多様性を自分で再現することはできません。描いているとそこから抜け出せない。
4.0411 : Wollten wir z.B. das, was wir durch »(x).fx« ausdrücken, durch Vorsetzen eines Indexes vor »fx« ausdrücken - etwa so: »Alg.fx« - es würde nicht genügen - wir wüssten nicht, was verallgemeinert wurde. Wollten wir es durch einen Index »a« anzeigen - etwa so: »f(xa)« - es würde auch nicht genügen - wir wüssten nicht den Bereich der Allgemeinheitsbezeichnung. Wollten wir es durch Einführung einer Marke in die Argumentstellen versuchen - etwa so: »(A,A).F(A,A)« - es würde nicht genügen - wir könnten die Identität der Variablen nicht feststellen. Usw. Alle diese Bezeichnungsweisen genügen nicht, weil sie nicht die notwendige mathematische Mannigfaltigkeit haben.
たとえば、「(x).fx」で表現する内容を、「fx」の前にインデックスを付けて表現したい場合、次のようにします。「Alg.fx」では十分ではありません。何が一般化されているのか分かりません。これをインデックス「a」で表示したい場合、たとえば「f(xa)」のようにしても十分ではありません。一般性指定の範囲がわかりません。 「(A,A).F(A,A)」のようなラベルを引数の場所に導入してこれを行おうとしても、それだけでは十分ではなく、変数の正体。など。これらの指定はすべて、必要な数学的多様性を持たないため、十分ではありません。
4.0412 : Aus demselben Grunde genügt die idealistische Erklärung des Sehens der räumlichen Beziehungen durch die »Raumbrille« nicht, weil sie nicht die Mannigfaltigkeit dieser Beziehungen erklären kann.
同じ理由で、「空間メガネ」を通して空間関係を見るという理想主義的な説明は、これらの関係の多様性を説明できないため、十分ではありません。
4.05 : Die Wirklichkeit wird mit dem Satz verglichen.
現実は命題と比較されます。
4.06 : Nur dadurch kann der Satz wahr oder falsch sein, indem er ein Bild der Wirklichkeit ist.
命題は現実を描いたものであるため、真実か偽かしかあり得ません。
論理式についてはプリンキピア・マテマティカを修めておかないと話にならないようなので諦める。いま確実に抑えておくべきは「人は写像を行う時にこの多様性の外に出ていくことはできない」という4.041、google翻訳で言う「描いているとそこから抜け出せない。」の部分である。ここで行っている議論が「より厳密なる言語表現のために行わねばならない操作の根幹」を話しているのだとし、とりあえずそこだけを拾い、先に進む。
4.0412における「「空間メガネ」を通して空間関係を見る」とは、要するに「我々の目で見たこと・もののありようが本当に正しくこと・ものを視覚空間内に捉えられているという保証はなにひとつとしてない」である。話が何にも「こと・ものの写像化がアプリオリに正しいという保証はない」から進んでいない印象であるが、ともあれここから話が「では命題をどのような操作する必要があるのか」に入っていくのだろう。4.06が割りと山場になっているため、何の議論がしたいのかを眺めるべく、先に4.1を見ておく。
4.1 : Der Satz stellt das Bestehen und Nichtbestehen der Sachverhalte dar.
命題は事実の有無を表します。
4.05、4.06、4.1を並べることで言わんとしているところを当たってみよう。「我々の語る命題は現実について語る際、その是非が問われる」。「太陽が西から昇る」は否定される命題となることで「太陽が西以外から昇る」を明らかにする。ただこれは「太陽が東から昇る」ことを完全には論証しない。「太陽が昇る」ことは引き受けている。こういった事柄を様々に包含する、と言ったことでいいのだろうか。
古代インドの哲学やパスカルは、自身について様々に「~ではない」を重ね続けた先に「自我」を見出した。それすら否定したのが仏陀だったわけだが、ともあれ、こうした「である/ではない」、よく用いられる表現としての「真/偽」の現れ方によって命題を評価し、さて何を見出そうとしているのか。ちょっとヴィトゲンシュタインが何を言明解明したいのかがわからない。
それでもまあ、解説書などを引き引き進むしかないのだ。
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