2・1・6 像の感得

○前段


2 : Was der Fall ist, die Tatsache, ist das Bestehen von Sachverhalten.

事実、事実は、事態の存在です。


2.02 : Der Gegenstand ist einfach.

アイテムはシンプルです。


2.1 : Wir machen uns Bilder der Tatsachen.

事実を写真に撮ります。


……


2.15 : Dass sich die Elemente des Bildes in bestimmter Art und Weise zu einander verhalten, stellt vor, dass sich die Sachen so zu einander verhalten. Dieser Zusammenhang der Elemente des Bildes heiße seine Struktur und ihre Möglichkeit seine Form der Abbildung.

画像の要素が特定の方法で相互に関連しているという事実は、物事がそのように相互に関連していることを表しています。画像の要素のこの接続は、その構造と呼ばれ、その可能性はその表現形式と呼ばれます。



○派生図


2011

|……

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||├3

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||└2

|└9



2.16 : Die Tatsache muss, um Bild zu sein, etwas mit dem Abgebildeten gemeinsam haben.

イメージであるためには、事実は描かれているものと何らかの共通点を持っていなければなりません。


2.161 : In Bild und Abgebildetem muss etwas identisch sein, damit das eine überhaupt ein Bild des anderen sein kann.

一方が他方のイメージであるためには、イメージと描かれているものが同一でなければなりません。


2.17 : Was das Bild mit der Wirklichkeit gemein haben muss, um sie auf seine Art und Weise - richtig oder falsch - abbilden zu können, ist seine Form der Abbildung.

画像を独自の方法で描写できるようにするために、画像が現実と共通していなければならないのは、正しくても正しくなくても、その表現形式です。


2.171 : Das Bild kann jede Wirklichkeit abbilden, deren Form es hat. Das räumliche Bild alles Räumliche, das farbige alles Farbige, etc.

イメージは、その形を持つあらゆる現実を描写できます。空間的なものすべての空間イメージ、色のあるすべてのもののカラーイメージなど。


2.172 : Seine Form der Abbildung aber, kann das Bild nicht abbilden; es weist sie auf.

しかし、イメージの形式はイメージを表すことはできません。それはそれらを示しています。


2.173 : Das Bild stellt sein Objekt von außerhalb dar (sein Standpunkt ist seine Form der Darstellung), darum stellt das Bild sein Objekt richtig oder falsch dar.

画像はそのオブジェクトを外側から表現します (その視点はその表現の形式です)。したがって、画像はそのオブジェクトを正しく表現するか、不正確に表現します。


2.174 : Das Bild kann sich aber nicht außerhalb seiner Form der Darstellung stellen.

しかし、イメージはその表現形式の外に立つことはできません。


2.18 : Was jedes Bild, welcher Form immer, mit der Wirklichkeit gemein haben muss, um sie überhaupt - richtig oder falsch - abbilden zu können, ist die logische Form, das ist, die Form der Wirklichkeit.

すべてのイメージは、その形式が何であれ、それを描写できるためには、正しくまたは不正確に、論理的な形式、つまり現実の形式という共通点を持たなければなりません。


2.181 : Ist die Form der Abbildung die logische Form, so heißt das Bild das logische Bild.

イメージの形式が論理形式である場合、そのイメージは論理イメージと呼ばれます。


2.182 : Jedes Bild ist auch ein logisches. (Dagegen ist z.B. nicht jedes Bild ein räumliches.)

すべての絵は論理的なものでもあります。 (一方で、すべての画像が空間的であるわけではありません。)


2.19 : Das logische Bild kann die Welt abbilden.

論理的なイメージは世界を描写することができます。




 我々はこと・ものと、こと・ものの配置が論理空間上で織りなしている事態を自身の中に「像」として引き入れる、このとき像として写し取っているものは確かに現実とリンクをしている(ここで像が本当に事態を正しく写し取っているか間違えて写し取っているかは問題ではない、現実を自身の中に引き入れたという事実そのもの以外に意味はない、言い換えれば誰かがお化けを見ているか見ていないかなど、その人が他の人から把握できないこと・ものからお化けという像を産みだしていると言う事実に他ならないのである、と言うことか)のだが、一方でその像を知覚している自分自身そのものを写し取ることが出来ない? ちょっと違うか。ここで「像を知覚している自分自身」と出してしまうのは自分が老荘に引っ掛かり続けてしまう故。老荘は全てをすっ飛ばして「語り得ないものには沈黙せねばならない」と「饒舌に」語っている。俺にとってヴィトゲンシュタインはそれの答え合わせみたいな印象でしかないのだが、かといって下手に老荘に引っ掛かると余計で無駄な理解も生じてしまう。


「全ての像が空間的なものではない」というのは、要は「こと・もの」のうち「こと」の話をしているのだろう。たとえばこう言う世界においては為替変動も「こと・もの」だし、音楽も「こと・もの」だし、文章と、文章が織りなす理屈もまた「こと・もの」だ。これらを総括して「論理空間上のこと・もの」と置き、そしてこれらを我々が感得し、感覚内にて展開するのが「像」。


 ここで確実に言えるのは、我々は「像」についてしか語れない。すなわち、像の外側については「ありえるかも知れない何か」としてしか語れない。これは先述でいう「ポジティブな現実」と「ネガティブな現実」ということだろうか。


 論理、思想、命題。その奥にある「自分自身」をどのようにヴィトゲンシュタインは語るのだろうか。外的な要素のうち全体像、分解しようのない対象という一要素、一要素の集合体、集合体の相互関連、集合体の相互関連の感得と話が進んできた。


 以上、2.1を一連の流れで見た上での、2.2は


2.2 : Das Bild hat mit dem Abgebildeten die logische Form der Abbildung gemein.

 構築された写像は、見出された像の論理空間と共通の表出を描く。


 像の結ばれ方は論理空間上の展開と「共通の要素を持つ」、この感覚からすればいわゆる幻視や幻聴も「論理空間上の何か」から描き出された「像」を当人の「像の触覚」を通じて得たフィードバックに基づき処理されている、と書けるわけだ。そしてこれが「正しい」かどうか、について次に語られる。


 そしてもう、このあたりの議論について答えは出ている。「論理像が論理空間上のこと・ものを正確に描き出している保証はない」。まぁ2.225がこれである。勇み足は決めたいが、まぁいったん気が急いちゃうとどんどん頑張りが加速しちゃって疲れるだろうから今日はここまで。

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