2・0・2・1 対象は単純である
○前段
2
Was der Fall ist, die Tatsache, ist das Bestehen von Sachverhalten.
What is the case—a fact—is the existence of states of affairs.
何が提示されているのか。事実・現象とは事態が実在することである。
201
Der Sachverhalt ist eine Verbindung von Gegenständen. (Sachen, Dingen.)
A state of affairs (a state of things) is a combination of objects (things).
事態とは、我々が観測する対象(すなわち事柄、物事)の結合体である。
……
2.0141 : Die Möglichkeit seines Vorkommens in Sachverhalten, ist die Form des Gegenstandes.
The possibility of its occurring in states of affairs is the form of an object.
その対象に様々な状況が生じる可能性、それこそが対象を形作っている。
○派生図
011
||21
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||├31
||└4
|├31
|└41
├201
| └211
| |└2
| ├2
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| |├2
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| ├4
| ├5
| ├6
| └71
| └2
2.02 : Der Gegenstand ist einfach.
Objects are simple.
対象は単純である。
2.0201 : Jede Aussage über Komplexe lässt sich in eine Aussage über deren Bestandteile und in diejenigen Sätze zerlegen, welche die Komplexe vollständig beschreiben.
Every statement about complexes can be resolved into a statement about their constituents and into the propositions that describe the complexes completely.
複合体(対象そのもの同士の絡まり合い)についての見解も、その構成要素それぞれに関する見解と、複合体全体を完全に言いあらわす命題とに切り分けることができる。
2.021 : Die Gegenstände bilden die Substanz der Welt. Darum können sie nicht zusammengesetzt sein.
Objects make up the substance of the world. That is why they cannot be composite.
対象は世界の実態を形作る。このため対象そのものは合成されたものではない。
2.0211 : Hätte die Welt keine Substanz, so würde, ob ein Satz Sinn hat, davon abhängen, ob ein anderer Satz wahr ist.
If the world had no substance, then whether a proposition had sense would depend on whether another proposition was true.
もし、仮に世界に実態がなかったとしたならば、1つの命題が意味を帯びるかどうかは、別の命題が正しいかどうか、に影響を受けることになる。
2.0212 : Es wäre dann unmöglich, ein Bild der Welt (wahr oder falsch) zu entwerfen.
In that case we could not sketch any picture of the world (true or false).
2.0211 の仮定が正しいとしたら、我々は世界を描き出すことなどできないはずである。それが正しくとも、間違っていようとも。
2.022 : Es ist offenbar, dass auch eine von der wirklichen noch so verschieden gedachte Welt Etwas - eine Form - mit der wirklichen gemein haben muss.
It is obvious that an imagined world, however different it may be from the real one, must have something—a form—in common with it.
明らかなことがある。1つの想起された世界(それがいかほど現実世界からかけ離れたものであったとしても)においては、何らかの形式を現実世界と共有してしまうものである。
この世界において「我々が観察するもの」の幅を可能な限り大きく取ろうと試みるが、とは言え「観察の対象」は「観察の対象」として単独で存在する。そこから様々な現象が引き起こされるであろうにせよ、その対象は明らかに、どうしようもなく、確実に独立して存在している。こうした話を、どれだけこの我々が生きる世界の有り様からかけ離れた世界を想定しようとしてみても、こうした部分だけは取り除きようがない。
「語り得ぬものについては沈黙せねばならない」という最終ワードをここでいったん引っ張り出す。ヴィトゲンシュタインは何がしたいのか。「語り得るものを最大化する」ということなのだろう。このため「対象」をどこまでも大きな幅を取れるものにする。「対象」が「ある」ことを確定的に明らかにした(仏教では「ある」も気のせいだバーカと切り捨ててくるが)わけである。
世界→事実・現象→実在する事態→観測する対象(事柄、物事)。
我々が知覚し得るものの全体像を要素要素に切り分けている。ここの入れ子構造を強く意識した上で追っていかないと迷子になってしまいそうだ、と言うか余裕で迷子である。いやよくわかんないのだが、よくみなさんヴィトゲンシュタインについて論じられますね? もうなんか俺死亡してんですけど。まぁまぁ、こう言う「精緻な思考」の後追いは、後追いそのものにも意味がありそうな気もしますので、振り落とされながらも追ってみましょう。幸いにもテキストはいつまでも振り落とされた人間を待っていてくれますからね。
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