2・0・1・3 物事の属性
○前段
2
Was der Fall ist, die Tatsache, ist das Bestehen von Sachverhalten.
何が提示されているのか。事実・現象とは事態が実在することである。
201
Der Sachverhalt ist eine Verbindung von Gegenständen. (Sachen, Dingen.)
事態とは、我々が観測する対象(すなわち事柄、物事)の結合体である。
2.011 : Es ist dem Ding wesentlich, der Bestandteil eines Sachverhaltes sein zu können.
物事にとって重要なこと、事態を構成する要素となること。
……
2.0124 : Sind alle Gegenstände gegeben, so sind damit auch alle möglichen Sachverhalte gegeben.
全ての対象が与えられているなら、それとともに、可能な全ての事態も与えられている。
○派生図
011
||21
||├2
||├31
||└4
|├31
|└41
○承前
2.013 : Jedes Ding ist, gleichsam, in einem Raume möglicher Sachverhalte. Diesen Raum kann ich mir leer denken, nicht aber das Ding ohne den Raum.
Each thing is, as it were, in a space of possible states of affairs. This space I can imagine empty, but I cannot imagine the thing without the space.
あらゆる物事は、言わばありうる事態の空間にある。この事態はわたしから見れば空白のようであるが、しかしこの空間なしに物事を想像することはできない。
2.0131 : Der räumliche Gegenstand muss im unendlichen Raume liegen. (Der Raumpunkt ist eine Argumentstelle.) Der Fleck im Gesichtsfeld muss zwar nicht rot sein, aber eine Farbe muss er haben: er hat sozusagen den Farbenraum um sich. Der Ton muss eine Höhe haben, der Gegenstand des Tastsinnes eine Härte, usw.
A spatial object must be situated in infinite space. (A spatial point is an argument-place.)
A speck in the visual field, thought it need not be red, must have some colour: it is, so to speak, surrounded by colour-space. Notes must have some pitch, objects of the sense of touch some degree of hardness, and so on.
とある空間の中に存在している物体は必ず無限の空間内に位置づけられねばならない(この物体は空間的な座標上に置かれる)。
とある視覚野の斑点はその色が必ずしも赤である必要はないが、しかし何らかの色は帯びている。言い換えるならば、色空間に囲まれている、となる。音が必ず音程の高低に紐付けられ、物体の触り心地が必ず硬度に紐付けられる、と言ったことと同様に、である。
2.014 : Die Gegenstände enthalten die Möglichkeit aller Sachlagen.
Objects contain the possibility of all situations.
物体は、あらゆる状況を迎える可能性を内包する。
2.0141 : Die Möglichkeit seines Vorkommens in Sachverhalten, ist die Form des Gegenstandes.
The possibility of its occurring in states of affairs is the form of an object.
その対象に様々な状況が生じる可能性、それこそが対象を形作っている。
原文だとあまりにもしんどいので、手元にある日本語訳を起点に英訳を手引きとしてドイツ語を見る、という形にした。それでもしんどい、が、まあ日本語訳からいきなりドイツ語に飛ぶよりは遙かにマシである。
この部分は総体として von Gegenständen 、「対象」について語られている。すなわち我々がいま見ている現実、すなわち色「の、全体」である。この全体は本当に全体で、可能な限りその解釈可能性の幅を広く取ろうとしているのが伺える。
解説本を読むと、ヴィトゲンシュタインのなそうとすることはこの「対象」を解説しうる最強の言葉を編み出した上で、それでもなお結局のところ対象の「向こう」にあるものについて論じることは不可能である、と言うところにたどり着きたいそうである。ここでも対象にはたとえば様々な知覚属性(位置、色、匂い、堅さ)が帯びたりもするのだが、そういったことを極限まで一般化しようとしているのが伺える。
2.14 と 2.141 のような内容はものごとの表裏のようにも見えるのだが、あえてここに表裏を見せているのがまた重要なのだろうな、とも思う。どう重要なのかはまだわからない。そもそも論として「なぜこの表現形式「でなければならない」のか」が未だ全然見出し切れていない。おそらく必然なのだろうが、どうしてその必然が生じているのか。
とりあえずざっと追ってざっと拾って振り返って、を幾度となく繰り返さねばならないのだろうなあ。それにしてもこの形式だと直前をうまく振り返られないのが痛い。どうしよっかなあ、やってる時別ウインドウに前話、前前話くらいまでは置いておくべきか。
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