第2話 お父さんのピンチ

 おとうさんとふたで、はたけごとをしていたしょうねんカイト。ちゅうてつでできたオオカミのような〝マモノ〟にもおそわれてしまいましたが、つよくてたのもしいおとうさんのかつやくのおかげで、さんびきのマモノをにやっつけることができました。


 しかし、カイトたちがあんしんしていた、ちょうどそのとき――。たおされたはずのマモノがきあがり、カイトにかってびかかってきたのです。


あぶない! カイト!」


 マモノがきゅううごいたのをて、おとうさんもカイトのまえへとします。


 さきにカイトのところにいたのはおとうさん。そして、きんにくムキムキのりょううでひろげ、いそいでカイトをまもります。いきなりのごとに、さすがのおとうさんも、けんかんがなかったのです。そんなおとうさんのうでに、マモノがみつきました。


「ぐわっ!? カイト、げるんだ! このことを、ちょうろうさまにらせてくれ!」


「そんな……! それじゃ、おとうさんが……!」


とうさんはだいじょうだ。でも、いそがないと、マモノのどくまわってしまう……!」


 そうです。マモノのからだにはどくがあり、おとうさんはみつかれたうでからながしています。いそいであてをしなければ、たいへんなことになってしまいます。


「わっ、わかった! すぐにちょうろうさまをんでくる!」


たのんだぞ……! おまえだけがたよりだ!」


 おとうさんはマモノとたたかいながら、けんめいにカイトをはげまします。カイトはギッといしばり、むらたてものえるほうがくへと、ぜんりょくはしってゆきました。


             *


 カイトたちがらす〝ヤッコスむら〟は、ちいさなむらです。むらひとたちはぜんいんどうなかく、みんなでごとぶんたんし、たすってせいかつしています。


「どうした、カイト? そんなにいそいで。なにかあったのか?」


 むらなかぜんりょくはしるカイトをて、おとこひとびかけます。しかしカイトにはまってこたえるかんはなく、いっしょうけんめいちょうろういえまではしりました。いそがなければ、マモノのどくで、おとうさんがたおれてしまうかもしれないのです。



ちょうろうさま! おとうさんがマモノにまれて……! たすけてください!」


 ちょうろういえんだカイトはハァハァといきらしながら、おおきなつえった白髪しらがのおじいさんに、はたけでのごとせつめいします。そんなおじいさん――ちょうろうまるくしたあと、いそいでちかくにいたひとたちに、はたけくようめいじました。


「まさか、むらいちばんせんであるリキヤがやぶれてしまうとは……。カイトよ、おまえはここにいなさい。ワシらが、おまえのちちたすけてくるからな」


いやです、ちょうろうさま! ぼくきます! ぼくが、おとうさんをたすけなきゃ!」


たのむ。カイトよ。おまえせいになれば、きっとてんごくははかなしむぞ」


 そうってちょうろうは、わかおとこひとたちをれて、いえからてゆきました。のこされたカイトはゆかひざをつき、いつのにかなみだでぬれていたかおりょうおおいます。


「そんな……。ギセイって、おとうさんがんじゃうってこと……? そんな……」


 さきほどちょうろうは、うっかり〝せい〟とってしまったのです。カイトのかんがえているとおり、マモノにおそわれてせいになるとは、んでしまうというです。



 カイトは、ちょうろういえにしゃがみんだまま、うごけなくなってしまいました。どれだけかんったのか、もう、まどそとからは、オレンジいろゆうしています。


 すると、ドアがいきおいよくひらき、カイトとおなどしくらいのおとこはいってきました。おとこは、うずくまっているカイトをて、すぐにはしってきます。


「おい、カイト! さがしたぜ。……まだ、ここにいたんだな」

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