カイトの不思議な冒険

幸崎 亮

カイトと浄化の秘宝

第1章 少年の旅立ち

第1話 カクセルタスのヤッコス村

 これは、とおとおい、べつかいのおはなしです。はるかちゅうとおくのしょに、カクセルタスというまえの、かいがありました。そこでらす、しょうねん〝カイト〟は、おとうさんといっしょに、今日きょうはたけごとをしています。


「おとうさん! こっちのウサニンジンは、ぜんぶしゅうかくできたよ!」


 カイトは、れたばかりのウサニンジンをせながら、おとうさんにをふります。


「おう、ありがとうな。よし、とうさんも、このモグラダイコンをっこぬいて……」


 おとうさんはモグラダイコンをめんからっこぬき、カイトにやさしそうながおをみせました。このダイコンは、おとうさんのなかの〝けん〟よりもおおきくておもそうです。


「すごいなぁ。ぼく、そんなおっきいの、ぜったいかたじゃてないや」


 カイトは、おでこのあせをハンカチでぬぐい、おとうさんにそんけいまなしをけます。そして、カイトがなになくそらげると、そらおおう、しろがいかくすきから、あかるいたいようひかりしこんでおりました。


 このかい、カクセルタスにあるまちむらは、こうした〝がいかく〟という、タマゴのからのようなドームでまもられているのです。しかし、ながねんげつのなかで、ドームはだんだんとふるくなり、ところどころにヒビれや、あなができてしまいました。



 カイトが、そらげていた、ちょうどそのとき。ドームのてんじょうから、ちてくるのがえました。カイトはあわてて、そのことをおとうさんにらせます。


「おとうさん! マモノだ! うえから、マモノがってきた!」


「なんだって!? よし、おまえはあんぜんなところへがっていなさい」


 さいぐるまんでいたおとうさんが、すぐになかけんかまえます。カイトも、いそいでわれたとおりに、はたけからすこはなれた、かげへとかくれました。


 カイトがかくれたすぐあとに、まるでてつでできたオオカミのような姿すがたをした〝マモノ〟がさんびきそらからちてきました。たかいところからちたというのに、マモノたちはいたがるようもなく、おとうさんにかって「ギギギ……」とうなごえをあげます。


「さあい! ヤッコスむらは、このせんリキヤがまもってみせる!」


 カイトのおとうさん、リキヤは〝ヤッコスむら〟でも、さいきょうせんです。いっぴきひきと、あっというまに、てつでできたマモノのからだを、けんぶたつにします。


「すごい! がんばれー! おとうさん!」


 かげからかおし、カイトはおとうさんをおうえんします。そして、さいさんびきめのマモノがたおされたのをて、カイトはおとうさんもとへとはしりだしました。



「カイト、もうすこしだけはなれていなさい。とうさんが、マモノをめるからな」


「うん! やっぱり、おとうさんはかいいちつよいや!」


 マモノのからだには〝どく〟があり、まわりのひとたちに、わるびょうを、まきらしてしまいます。そのため、マモノをたおしたあとは、かならめんめなければいけません。


 おとうさんはおおきなスコップをち、はたけからはなれたへとかいます。そこにふかあなり、こんおもたいマモノをはこぶために、カイトのところもどってきました。



「マモノには、さわってないな? とうさんはだいじょうだが、どもにはあぶないからな」


「うん、やくそくまもってるよ。ぼくはや大人おとなになって、マモノを退たいしてやるんだ」


「ああ、そうだな。いつかふたたびて、かあさんのかたきをとろう」


 おかあさんは、まだカイトがちいさいころに、マモノにおそわれてくなりました。それからカイトは、おとうさんといっしょはたらきながら、たびゆめています。



「よし、あといったいだ。もうすこしでわるからな。かえったら、おひるごはんにしよう」


 さんびきめのマモノを、ちいさなぐるませながら、おとうさんがカイトのほういてがおをみせました。カイトもうれしそうなかおで、おとうさんにります。


 すると、ちょうどそのときぶたつになったマモノが、ゆっくりときあがり、カイトにかって、びかかってきたのです――!

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