第9話 ちょっと話がある

―――――――――1ヶ月後。


「あれ、頼んだ、」

「あれ?」

「グラスの発注。」

「あぁ。って言わなきゃわかんないから。」


「きさ、あれ頼んだ。」

「はいはい。冷食の会社に電話ね。」


「なんでわかんの?」

「なんでだろ。結構最初の頃からなんだよね。あいつの頭の中大体見えてる。」

「ほんと、スケベだよな。」

「どっちがよ。」


「…希咲。」

「なに?」

「夜、話あるから。ちょっと残れそう?」

「店の話?」

「いや、プライベート」

「なら店外にしてよ。」

「いや、ここでいい。」


結月はじっと僕を見ていた。



―――――――――――――閉店後。



「きさ、俺、結月と結婚するから。」

「知ってる。聞いてる。決め手は?」

「決め手?」

「答えが合ってるかはわかんないけど、

結月が誰かと歩いてたら多分刺しに行くと思う。でも希咲がそうしてもそこまでじゃない。『幸せそうだな』って見てると思う。」


「なるほどね…。」

「ごめん。」

「別にいいけどさ、、ほんとにいいの?」

「……。」

「なんで即答しないの。」


彼女が笑う。


「……」


僕は立ち上がって、隣に座る希咲にキスした。


「俺と結婚しろ。過去の男全部記憶から消せ。俺に殴られても逃げるな。殺される覚悟しろ。…他の男と歩いてて何も思わないなんて嘘だよ。間違いなくお前の事引きずり回して分からせてやるから。そういう事されても噛み付かないで足元で謝ってくんのはお前だから。『捨てないで欲しい』ってすがってくんのはお前だから。俺はそんなお前に興奮してやりたくなる。…でもこんな俺でも受け入れてくれるのはお前だと思ってる…違うか?」


「……ねぇして?聞いてたら我慢できなくなってきた。」

「…お前をこんな風にしたのはどこの男だ?いつの男だ?今から殺しに行ってやるから教えろ..。」


「そんなの稜太しかいないでしょ。」

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