第2話 染めていく

うちの店は元々オーナが居て、僕がいて、金宮という社員がいた。

でも僕が代替わりで任されて、結月に言い寄って鬱陶しかった金宮を半ば追い出した。


店的にはそれで良かった。

金宮の行動には目に余るものがあって、僕がみんなの前なのにあまりに腹が立って殴りかかってしまったのが決定打。


そこを見ていたパートのお姉さん達が金宮に、


「稜ちゃんをここまで怒らせるのはよっぽどだよ?あとはどうするか決めな。」と言ってくれた。


まだ収まらない僕を結月が金宮から離して別室で

落ち着かせてくれた。


でもこの時一番大人なのはお姉さん達と結月だった。この時まだ結月は高校三年生で正式にはまだ付き合ってはなかったが、事実上、結婚前提という感じに周りには見えていた。


僕に対して物事をはっきり言えるのはお姉さん達でも金宮でもなく、結月だった。


でもそれをちゃんと受け入れて周りに頼れるようにしてくれたのも誰でもない結月だった。

そういう所を見てくれていたお姉さん達が居たので金宮のしつこい態度に嫌気がさしていた。


背が小さくて、目が綺麗でおおきくて、ツインテールで、でもどこか大人っぽくて。

多分、嫉妬してたんだと思う。


だからってわけじゃないけど、いつ頃だろうか…結月が高校二年生の頃かな?



町のお祭りに誘った。

金宮からも誘われていたが断って僕を選んだ。


その日の結月は髪型もいつものツインテールではなく、髪を後ろで束ねて上げていた。


もう…それだけで…危なかった。


初めて2人で行くお祭り。

歳の差なんて感じなくて2人ではしゃいでいた。


そして、最後に花火が上がって、そのフィナーレで僕からキスした。




―――――――「この先は?したことあるか?」


耳元でそう聞くと彼女は答えた。


「あるわけないでしょ。」と。


「じゃあ卒業するまで取っとけ。」として半ばカッコつけて言うと、


「もし、して欲しくなったら?」と聞いてきた。

折々に見せる妖艶さはもうこの時からあった。


「…その時は遠慮なく頂く。」と返すと彼女から僕にキスしてきた。



「…結月、舌出せ。」


彼女は素直に従った。


「…パパとは出来ねーキス、俺とするぞ。いいな?」


彼女は舌を出したまま返事してくれたのでそのまま抱き寄せて絡ませた。



その日から少しずつ、少しづつ、卒業式の日に狙いを定めて染めて行った。



初めて会った日から僕は結月を帰したくなかった。

学校なんて行かせたくなかった。

ずっと、ずっと、目の届く場所で可愛がっていたかった。


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